2007年01月30日

ゼロの白鷹

PONがはじめて「本宮」作品を読み
かつ「特攻」というものを
具体的に知ったのはこの漫画からです。
泣いたなあ。小学生ながら。
全部立ち読みなのに。
よく黙認したな、地元の本屋のおばさん。

zero.gif

中山義竜 二飛曹
第七期乙種飛行予科練習生

<あらすぢ>
田舎の暴れん坊(本宮作品に共通)
中山義竜は、海軍予科練に合格する。
ひとく癖もふた癖もある、バカだが
パイロットの素養は高い
連中は
けんか・ばくちはお手の物
予科練番外班に配属される。
ここは半年の一般教養
4年もみっちり飛行訓練(飛練)
なのだそうだ。

本来の予科練正規班は
2年半の一般教養&体育、2年の飛練
「番外班」そのものは
たぶん漫画オリジナル設定
だと思うけど。

「番外班」が一人前の戦士になるまでは
しっかりと描写しておきながら
メインキャラの戦死は義竜の口から
思い出としてあっさり描写するのみ。
この辺がすごい。
ヒロイックでもなんでもない。

同期 北島(義竜の同郷・ケンカ仲間) 
ラバウル上空で、米軍機に
袋叩きにあっていた義竜の身代わりに
なって戦死

同期 平岩(ヤクザのせがれ、ガタイのいい奴)
第七期乙種飛行予科練習生
珊瑚海海戦で被弾、空母に突撃して戦死

同期 絹城(オカマっぽいがセンスは一級)
ミッドウェーで母艦を失い
燃料切れで海中に突っ込み戦死

・・そして戦争も末期になると
あのお調子者の義竜でさえ
乱暴なところは変わらないが
数々の地獄を見てきた為か
悟りきった落ち着いた顔に変貌している。

「おれはな
 重慶、初出撃以来
 真珠湾、珊瑚海、ミッドウェー
 そしてラバウル上空でいやってほど
 敵機相手に戦ってきたんだ」
「おれのバカな頭でもやっとわかったぜ
 この戦争がいかに
 ばかばかしい
 かがよ・・・・・」

そしてついに戦局の悪化は
ベテランパイロットの特別扱いを許さず
「特攻隊」へと駆り出すにことになる。
義竜からみれば「ヒヨッコ」の
即席特攻隊パイロット達と共に出撃する。

・故障と偽って故郷の空へ戻り
 基地にも戻れず、地元の山に自爆した隊員
・自爆用250Kg爆弾を抱えた零戦は
 離陸が非常に難しいのだが、力みすぎて操縦桿を
 引き起こしすぎて失速、戦う前に
 爆発炎上した隊員。

敵空母にまでたどり着いた義竜機だったが
仲間の突入を見届けた後、敵空母の上空で
アクロバットをやりだす。

「連続宙返り」「急降下」
「きりもみ」「超低空背面飛行」・・

ポカンとする米空母の乗組員。
「ナンダ?アノかみかぜハ?
 曲芸飛行ヲヤッテルゾ!?」


「ひっひひ・・びっくりしてやがる」
「見たかアメ公 日本海軍のパイロットってのはなあ
 これだけすげえウデをもっとんだぞ

「それが爆弾積んでつっこむんだ」
「てめえらにゃ わかるめえ この悔しさをな

義竜は絶叫する
「どいつもこいつもくたばりやがれっ」

「ばかやろう〜〜!!」

そして漫画は義竜の個人史から
歴史フィルムに移行、義竜機が
空母に突入する瞬間をバックに
「特攻」についての数字が淡々と流れる。

昭和19年10月から開始された特攻
戦死者数陸海軍合計3912名
命中244機
成功率16.5パーセント
海軍1325機
陸軍1178機
平均年齢21歳
戦果 撃沈49隻 損傷270隻・・

いやあ、「サラリーマン金太郎」なんか
読んでいる場合ではないですよ。

この漫画の影響を受けてから
いろんな戦記を読み漁ったけれど
あれ?この話聞いたことある?
というエピソードに結構ぶつかった。
漫画の中の番外班(主に義竜)は
実話の最大公約数キャラだったんだね。

やっぱ戦争はイクない。
気に入らないからといって
ミサイル撃ったり
背中蹴っ飛ばしてはいけないんだよ。

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posted by PON at 21:00| ☔| Comment(5) | TrackBack(0) | 漫画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
心を揺さぶられる「零戦」の話。私は自分の部屋に置いてある「零戦」を眺めていると折れた気持ちが立ち直ってゆきます。
Posted by 泉野こころ at 2007年10月20日 23:25
>REALLIFE様

PONであります。
>現代の人間が読みやすくするための
>漫画って手法は本当に有効ですよね。

そうですね。ホントそう思います。
・・がもはや迷走(深刻なのは当事者と
その敵の文化人だけで、一般市民には
主張も勝ち負けも、もはやどうでもいい
内ゲバ状態)な「ゴー宣」とか
最近の「江川達也」系漫画などもどうか?と
思いますが。

>私も松本零士さんの戦場まんが
>シリーズで育った部分もありますし。
そうですね。イケメンでも英雄でもなく
戦場でたまたま出合った同士が、
やけくそ?から英雄的な行為を行いながらも
歴史に埋もれてゆく・・という話の数々は
好きですね〜。

けどときどき、お前どう見ても
敵性国出身だろ?という亜流メーテルが
戦場に出現するのはどうでしょう??
ま、戦場のメルヘンってことで(笑)
Posted by PON at 2007年03月22日 23:02
>るしは様

ご無沙汰?しております。

>ところで、このところ更新がされてないのは、
>もしかすると時限式更新予約がseesaaの
>メンテでリセットされてしまってる
>から・・・とか?
しばらく「更新」休止していたことは
もうご存知の通りですが
実は20%くらいの理由として
上記にご指摘の理由もありますマジで。

自分の時間指定が悪いのか?
自分はいつも21:00にアップをセットしてます。
大量のブログ処理をしているサーバーですから
なにも21:00ジャストに更新されるなんて
最初から期待してませんが
22:00を越えても更新されない
(F5キーを乱打しても!)
こともありました。最近は落ち着いてきて
居るみたい(と申しますか、自分が
気にしなくなっているだけかも・・)

まあ、ぼちぼちのんびりと復帰に向けて
前向きにゆきたいと思います。
るしは様もブログを拝見しましたが
ご自愛くださいませ。
Posted by PON at 2007年03月22日 22:53
こんにちは〜。
こんな漫画があったのですか。全然知りませんでした。現代の人間が読みやすくするための漫画って手法は本当に有効ですよね。私も松本零士さんの戦場まんがシリーズで育った部分もありますし。
またいいのがあったら紹介してください。
Posted by REALLIFE at 2007年02月11日 16:31
へ〜サラ金には全く興味わかないけど、コレは読んでみたいなぁ・・・

ところで、このところ更新がされてないのは、もしかすると時限式更新予約がseesaaのメンテでリセットされてしまってるから・・・とか?
(前、なんかそんなこと言ってたよね)
Posted by るしは at 2007年02月10日 07:45
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