<あらすぢ>
昭和20年7月16日、110余名の乗員と
人間魚雷回天を乗せた伊五八潜水艦が
呉軍港を出港した。フィリピン東方を
通過する敵艦船をグアム―レイテ線上で
撃沈せよとの特命を受けた倉本艦長は、
宿敵マックベイ大佐と太平洋戦争における
艦艇同士の最後の闘いに挑む―。
全く新しい戦争サスペンスの誕生。
読後感はなかなかのもの。
題名でソンしている気もします。
「ローレライ」マイナス
「出口の無い海」=
「雷撃深度一九・五」
って感じですか。
「潜水艦」「大戦末期」という
共通項があるだけで
結局は「フィクション」だけど。
「ローレライ」のように
一種の「サイコミュ」やら「美少女」も
出てこなければ
「出口の無い海」のように
戦争の悲惨さを描くため、
記録に残らない部分を想像でまかなった
ハーフドキュメンタリー
「記録に残っていないだけで
きっとどこかで起こり得たに違いない」
といった内容の小説でもありません。
あくまで「海洋冒険ロマン」
史実を基にしたフィクションです。
アメリカ海軍側の登他人物名と
「インディアナポリス」が
撃沈されたと言う史実、
この二つだけが史実通り。
けど、物語の途中で主人公が
実質、変わってしまったのには
結構びっくり。
もっとも、最初の主人公格である艦長は
後から来た真の主人公に
艦の全権をゆだねることの
できるくらいの度量を持つ男。
そんな意味では充分、
もう一方の主人公と言えますが。
司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」にある
「児玉源太郎」と「乃木希典」の
あるシーンを思い出した。
「イー58と回天」
作者の「池上司」さんは
「四十七人の刺客」の作者、
池宮彰一郎氏の実の息子さんだそう。
そもそもは広告代理店勤務で
その後、小説家になった方。
その割には読みやすい文体と構成でした。
それから欠点というほどのこと
ではないのですけど
作者はやっぱり
「潜水艦」とか「ミリタリー」が大スキみたいで
そのあたりの専門用語が
しきりに連発します。
話の筋とはまったく関係ないので
その辺は読み飛ばしても大過ありません。
宇宙戦艦ヤマトで言えば
「エネルギー充填120%」とか、
波動砲発射までのシーケンスが
ただずらずらと。
もはや様式美のようなモンです。
多分。
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物語は結局、主人公達は最小限の犠牲で
無事?終戦を迎えます。
大任を成し遂げた矢先に
司令部に知られることも無く
国民から振り返られることも無く
つまらん事故により、
沈没していった方がリアルだったかも。
(史実の戦没潜水艦もみんなそうでした。
彼らの末期がどうであったかは
死んでいった彼らにしか解からないのです)
そういう点で昔の西独映画
「Uボート」は凄かった。
「ローレライ」の作者は
多分、この小説
「雷撃多度一九・五」読んでますね。
「ローレライ」とは「雷撃多度一九・五」に
ガンダムから「サイコミュ」を
エヴァから「美少女」を
をプラスしただけに過ぎない。
ええとこ取り。
「ローレライ」はあれで面白いけどね。