2012年09月25日

居酒屋兆治

「居酒屋兆治」

自分がこの映画を最後に観たのは27年前。
中学生くらいのとき。
うる星2「ビューティフルドリーマー」の
挿入歌だった「時代遅れの酒場」由来の
映画があると知ったからだ。

あらすぢ
函館で居酒屋「兆治」を営む藤野英治。輝くような
青春を送り挫折と再生を経て現在に至っている。
かつての恋人で今は資産家と一緒になった
「さよ」の転落を耳にするが、現在の妻との生活の
中で何もできない自分と振り払えない思いに
挟まれていく。周囲の人間はそんな彼に同情し
苛立ち、さざなみのような波紋が周囲に広がる・・。

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居酒屋「兆治」に、毎夜集う人々と
店主健さん(それに奥さん)
それぞれには、それぞれの家族、想い、過去があり
毎日毎晩少しずつ、いろんなことがある。



健さんのカッコよさについては
もう今更おいとくとして。
忘れてた。この映画、大原麗子さんがヒロインだった。
(大原麗子といえば、昔、さんまがさんざん
 モノマネしていたのを思い出す。
 実際の彼女も孤独死でした・・)

大原麗子が演じるヒロイン、
実在したら結構、迷惑な女だ。

話に物語のキーアイテムである、
若かりし頃の健さんと大原麗子の写真が出てくる。
昔の銀幕スタアのブロマイドみたいな。
微笑む大原麗子の頭にアゴをのせ
上から包み込むような健さん。

団子3兄弟ならぬ2兄弟みたいな画。
彼ら若い頃の幸せの象徴なんだろうけれど
無理ありすぎ。

色々あって死んじゃう「さよ」(演:大原麗子)

形に違いはあれど、同じ女性を
愛したことがある男が3人、女の葬儀で
芝生に佇む。

「酒で救われる事もあるんですね。
 変な女でしたが、私はやつと出会えて
 良かったと思います・・」
(さよちゃんの旦那の牧場主 演:左とん平)

「変な女なんかじゃない!!」
(さよちゃんで童貞を捨てた男、演:平田満)

「・・・・・」
(健さん)

加藤登紀子さんが健さんの女房役。
「私、居酒屋の女房で後悔していないわ・・」

加藤登紀子さん演じる女房なんか
今回の健さんをめぐる騒ぎを通して
いくらでも大騒ぎの渦中になれる立ち位置であるのに、
全然そんな素振りを見せない。
元が歌手なので、演技のほうは最低限
であればいい。そういった割り切りが
ひょっとしたら監督の方にあったかもしれないが
錚々たる出演者の演技合戦に
巻き込まれることもなく、ただ健さんを信じて
ニコニコと静かに待つという
誠に出来た女性を演じている。

(女房)「もしかして、あの人と
     行っちゃうのかと思ったわ」
(健さん)「いけないよ。店もあるし。
     道子も幸子もいるし・・」

道子も幸子も健さんの娘の名前なんだけど
健さん、そこはまず「お前がいる!」と
いうべきじゃないだろうか。
実はもっと深い読解力が必要な
場面なんだろうか・・あそこは?

ま、口下手キャラが健さんの持ち味なんだけど。

出演者が無駄に豪華。
函館市役所職員役になぜ「細野晴臣」さんが
出ていなければいけないのか。
武田鉄矢(・・は黄色いハンカチ以来、
坂本竜馬の次に高倉健シンパらしい)
あと初代水戸黄門、東野英二郎。
伊丹十三さんも監督として名をはせる前
役者として、健さんの先輩を演じている。
小松のオヤブンさんの金属バットの話にも涙。
寝ている人に扇風機をあててはいけないのだ。

Last、兆治が誰もいない店で
酒を呑み、カメラ目線でひとこと。

元気出してゆこうぜ!

チオビタとかその手のCMかと思った。
そして健さんの仕事着(背中に兆治と染め抜かれ)に
名曲「時代遅れの酒場」が被る。
「この町には・・不似合いな・・」のあれ。

作詞作曲「加藤登紀子」さん。
いい歌である。映画の内容をそのまま歌に。
セルフカバーもしているけれど。
ここでは歌:高倉健さん。



加藤登紀子さんに演技力を期待しないように
健さんにもまた歌唱力を期待してはいけない。
いけないのである。
「あーあーあー どこかに何かありそうなそんな気がして〜」
を歌いきるや、リピートもロクにせず
健さんの歌はスキャットへ移行する。

るーるーるー る・・るるる
がとっても「るるる」でした。

るるる。

監督 降旗康男
脚本 大野靖子

出演者
藤野英治 - 高倉健
藤野茂子 - 加藤登紀子
河原 - 伊丹十三
佐野 - 細野晴臣
神谷さよ - 大原麗子
岩下義治 - 田中邦衛
峰子 - ちあきなおみ
有田 - 山谷初男
小寺 - 河原さぶ
越智 - 平田満
堀江 - 池部良
秋本 - 小松政夫
神谷久太郎 - 左とん平
河原洋子 - 中島唱子
秋本鈴子 - 立石凉子
岩下靖子 - 片山満由美
吉野耕造 - 佐藤慶
井上 - 美里英二
相場先生 - 大滝秀治
相場多佳 - 石野真子
小関警部 - 小林稔侍
中村巡査部長 - 三谷昇
松川 - 東野英治郎
桐山少年 - 佐野秀太郎
モツ屋 - あき竹城
アベックの男 - 武田鉄矢
アベックの女 - 伊佐山ひろ子
酒場の客 - 山口瞳、山藤章二

音楽 井上堯之
配給 東宝
公開 1983年11月12日
上映時間 125分
製作国 日本

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1983年。物価が安。
酒200円、ホタテバター400円、ビール300円。
作中、健さんが、火を通したかさんざん
気にしてた「モツ煮」。食ってみたい
(そういや、大井町でかつて食ったことがある
 モツ煮は、臭みがまったくなくなって、
 もはやクリームシチューでした。あれも再食したい)
posted by PON at 21:44| 神奈川 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(ア行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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