2007年01月09日

「レテの支流」早瀬乱

「記憶の忘却と死者。そして死者の復活。ありえない・・」

「角川ホラー文庫」より。
早瀬乱氏の「レテの支流」です。

毎度、どこかでの105円購入。
(買い取り価格は10円)
まあ、90円の期間無制限
長期レンタル本だと思えば腹も立ちません。

<あらすぢ>
その水を飲むと過去を忘れてしまう
忘却の川・レテ。怜治はS大医学部で
脳を研究している友人、山村が記憶を
消去する装置を開発中だと知り、
自分の記憶を消す決意をする。
それは一世を風靡したバンド「レテ」の
ボーカルとして活躍した栄光の二年間の
記憶だった。だが、過去と決別した怜治に
連鎖するように、次々と奇妙な出来事が
起きる!
 前代未聞のアイデアと圧倒的な
ストーリーテリングで読者を魅了する
驚愕の記憶ホラー。
第十一回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。
(「BOOK」データベースより)

レテ.jpg

面白かった。
話がどの方向で決着つくのか。
全然わかんない。
ハッピー?バッド?
結局原因は
心霊?宇宙人系?化け物?サイコ?SF?
早く見極めたくなるノンストップな面白さはある。

作者が小説を書く上で
思いついた壮大な「ネタ(オチ)」を
いかに文章として落とし込むか?
無理矢理とはいえ、いかに理屈をつけてゆくのか?
小説家の文章能力や知識量によって
毎度、そのあたりの手腕が試されるものだけども。

作品中で、主人公の友人である科学者が
「自分は科学者なので、こんなバカな話を
 唱えたくないのだが、「仮説」というよりも
「たんなる話」として聞いて欲しい・・と
しつこいほど前置きしたあとで
作品世界で起こった怪現象について
見解を述べるシーンがある。
「なんで?と言われても実際に世界が
 そうなっちゃってんだから仕方ない!

と言う感じの、素敵な強引さで押し切っている
あたりはさわやかですらあり、苦笑した。

他にも自分から見ても「そんなのあり?」と
いった強引さが結構あって
典型的な理系SFマニアあたりが
細かいところを突っ込み始めたら、
穴だらけなのでしょうが、ストーリーに
ついてゆくのが精一杯のPONには
充分楽しめました。

物語のキモになる、作品世界のロジックを
きっちり把握しようとPONは必死でしたが
その割に作品にあまりストレスを感じなかったのは
新人作品なのに、文体が読みやすかったからでしょう。

例えば「クローン技術」とか「人の脳」とか
その辺の技術が暴走すると、
「自己」と「他」の「境界」を
ぶっ壊す事になりかねない。

作品のような結末が待っているから
止めよう、とかそう言うんじゃなくて
「人が人であるために」
絶対、そのままにしておいた方がいい部分
(神の領域と言ってもいいかも)
は確かに存在し、それはそのままの方が
いいんだろうな。

中の上。
けど・・これ「ホラー」かな?

************************
管理人モチーベーション維持のため
クリックしていただけますと助かります!
  ↓ ↓ ↓
e8c67347.gif


(「リング」→「らせん」「ループ」の
 オチにイメージが似てる・・)


「8になると次元が変わる」
「管理人」
「分岐と合流があってこその河」
「河川改修土建屋と微生物」
「記憶こそは防御壁」
「パラレルワールド」
posted by PON at 21:00| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ホラー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック