東宝モンスター人間シリーズ第一弾。
「ガス人間第1号」「電送人間」「マタンゴ」
なんかに続いてゆく。
「ガス人間第1号」なんか題名が「第1号」なんで
あっちが第一弾かと思えばさにあらず。
思えば、幼少の頃、映画を観る事が出来ない自分は、
怪獣大百科のスチールを見て
これら「○○人間シリーズ」に慄くばかりであったが
まさか今頃になって
これらの作品を観賞することになろうとは
改めてフシギな時代である。
<あらすぢ>
城東大学助教授・政田は必死だった。現在
彼の友人である警視庁の富永が追っている
麻薬密売事件のウラには、恐るべき液体人間
が暗躍している。その事実を全く信じようと
しない富永ら捜査陣の行く先々で不思議な
出来事が起こり、捜査は暗礁に乗り上げる。
重要な証人、新井千加子に魔の手が伸びるに
至って、やっと事の重大さに気付いた捜査陣は
政田の意見を取り入れ、地下下水道を焼き払い
液体人間を倒すことを決意した。だが、そこには
たった1人で恐るべき敵から逃げまどう千加子
がいた。
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話の展開が「もったらもったら」していて
途中で寝てしまったことを告白しなければならない。
1958年の作品で、舞台は銀座とか築地。
すぐ横には運河というか川が普通に
流れている。その頃はまだ首都高が開通していない
(開通は1962年)ので、川も埋め立てられたり
しておらず、お空も広い。
ちょっとカメラが別の場所をパンすると、
華の都といえど、結構貧相な町並みが続く。
やっぱり、時代を感じるな。
ひとことで言えば「ダサい」。
服飾やインテリアデザイナーって存在は
進み方は緩やかではあるが
その時代時代で、それなりに仕事してきたんだなって理解。
平田博士(今回は警視庁のお偉方役)のメバリが凄い。
それと昔の絵本の桃太郎みたいなピンクのチーク。
平田博士、インテリなとこ見せようと
「めくら、蛇に怖じず」
なんて、すげえ言葉をさらっと。
キーパーソンになる三崎。
白川由美のコレ、にして物語冒頭で
いきなり消失する男だ。
行方を捜す警察とギャングが
映画の間ずっと彼の名前を連呼する。
自分なんか、三崎という名前だけで、
なんかもう、三崎はマグロ漁船員決定って
感じを受ける。
刑事さんが重要参考人の白川由美に言う。
「キャバレーの歌手だから
結構稼いでいるんだろ?}
「ひと月5〜6万くらいです・・」
ええ?パートですか?
麻薬を手に入れようと躍起になる
ギャング(演:佐藤允(まこと))が言う
「(麻薬を)うまく売りさばければ
末端で7〜800万にはなるか」
少なくないか?
彼は更に言う。これで
「トランク一杯の5000円札だァ・・」
おお、最高金額が5000円だったのな。当時。
(豆、1万円札発行は1958年(昭和33年))
佐原健二演じる科学者。
朴訥な坊ちゃんみたい。
捜査が行き詰まりの様相の中、
あんまり熱意ないまま
ただなんとなーく警察に迷い込んだついでに
刑事さんにフシギ話を持ってくる。
「第二竜神丸に遭遇した生き残り漁船員が
不思議なことを言ってるから聞いてくれよ
警察のみなさん」
そして回想シーンへ。
洋上で第二竜神丸(幽霊船)に遭遇し
中の様子を調べる漁船員。
ドリフで幽霊のコント時に盛んに使われる
「ほわわわ・・」の音を多用。
そして仲間が液体人間に遭遇して
パニックになるシーンで
「困ったなあ、困っちゃったなあ・・」
と船員がつぶやく船員がいる。
どうヒイキ目に見ても、君、パニックじゃないだろ?
結局、第二竜神丸は某国の
洋上!水爆実験を知らないで通りかかり、
甲板にいた船員が、放射能を浴びて
犠牲=液体人間になってしまったらしいのだ。
んで「セシウム137・プラトニウム
ストロンチウム90」なんかが検出されたんだって。
(今も検出されているよ。ニッポンでね)
「放射能で人類が滅亡するかもしれない中
放射能を超える生物が生まれた」
そして出ました千田是也科学者。
大怪獣バランでも、凄いんだか凄くないんだか
よくわからない言い切りや断定をしてしまう彼。
城東大学生物学科とか聞いたことない大学(架空)
のエラーい教授がそういうのだから、
これはもう誰も反論できませんけど。
マスコミに公開実験をする科学者。
「1000 SCALER MODEL
SA-1000C KOBE KOGYO」
と書かれたメカを実験に使う、彼ら。
何の機械?と思ったら
本物の放射能測定器らしい。WEBで検索したら
さるサイトの昭和30年代の論文に
神戸工業製放射能測定器
”SA-1000C”使用とありました。
神戸工業はその後合併して
現在の富士通テンだそう。これ豆ね。
しかしズバッと報道するなあ。東宝マスコミは。
小気味いいぞ。東宝マスコミ諸君。
「液体人間出現!」
「第2の人類出現か?」
(田島義文氏演じる)「坂田刑事殉職」とか
さり気に出ているのも高ポイントだ。
当時のニッポン人が採った「液体人間殲滅作戦」は
とっても豪快さん。
銀座界隈にたくさん残っていた運河や堀など、
水っ気に液体人間は棲息しているようなので、
三菱スーパーガソリンを水路や下水に流して着火、
炎上させるのだそうです。
さっすがあ、火に弱い液体人間は
これでイチコロだネッ。
・・ってアホかい。銀座・築地界隈大火災だ!
「もし地球が死の灰に覆われ、我々人類が滅亡したら
次に地球を支配するのは液体人間かもしれない」
まあ、美女の前では
世の男性はすべて液体をたれなが・・バキッ、死亡。
キャスト
新井千加子 白川由美
政田 佐原健二
富永 平田昭彦
宮下刑事部長 小沢栄太郎
真木博士 千田是也
内田 佐藤允
三崎 伊藤久哉
花枝 北川町子
管理人のおかみ 中野トシ子
田口刑事 土屋嘉男
峯子 白石奈緒美
スタッフ
製作 田中友幸
監督 本多猪四郎
特技監督 円谷英二
監督助手 梶田興治
脚色 木村武
原作 海上日出男
撮影 小泉一
音楽 佐藤勝
美術 北猛夫
録音 三上長七郎
撮影 荒木秀三郎/有川貞昌
美術 渡辺明夫
照明 城田正雄
合成 向山宏
1958.06.24 87分
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