2013年01月20日

「スピカ 原発占拠」高嶋哲夫

スピカ 原発占拠  高嶋哲夫 (著)

上司からいただいた小説。
311のフクイチ事故を目の当たりにした
今となっては、原発のキョーフ感というか
なんか描写が甘い。

著者はかつて「日本原子力研究所の研究員」
だったらしく、主人公の原子力科学者
「日野佑介」に思いを託し

「原発も、いろいろあるだろうし
 事故がおきれば大変だ。
 でも自分たち科学者だって全力で
 日々研究に取り組んでいるんだから
 そう変なことは起こるはずがない。
 万が一にも原発が人類の敵になるとしたら
 悪意を持った人間が
 そういうことを企んだ時」

と、基本的に科学万歳スタンスで書いている。

311が起こらなければ、ここに書かれている
科学的なウンチクは半分も
理解できなかったろうが、さすがに今は違う。

様々な意味で、311の前と後では
原発に対する「意識」にも「知識」にも
自分に変化がおきてしまったのは確かだ。 

あらすぢ
舞台は、運転開始を間近に控えた日本最大の
原子力発電所。科学技術の粋を集めたこの
原発が武装集団に襲われた。世界が認める
最新鋭の原発が、テロリストによって脅威の
「原爆」と化したのだ。
政府首脳はこの原発の生みの親である
科学者・日野佑介に協力を要請した。
原発の絶対的な安全性と人類への貢献を
強く信じて建設に取り組んできた
日野は、自分が行ってきたことが間違っていたのかと
苦悶する。圧倒的な武力と豊富な科学知識をもつ
敵から原発を解放し、未曾有の惨事を防げるか!?

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いきなりネタバレします。

原発を占拠した犯人は
行き場を失ったロシア軍人ドモ
+日本赤軍
+ロシアの原子力物理科学者連
なんですけど。

黒幕の一人であるロシアの原子力物理科学者さん、
おまえ馬鹿だろ?

なんかね、彼らはロシアの原発管理の
いい加減さと危機感を全世界的に訴えたかったらしく
たまたま「馬鹿=日本の原発へのテロ」を
実施しようとするテロリストに
便乗したらしいですよ。えらいメイワク。

この小説のようなテロを起こしたかったら
腕力はあるけど馬鹿な元軍人や活動家たちじゃ無理だよと。
科学者も協力しないとね。
なのに世界的に科学者に対する扱いがヒドイじゃん?
あんま科学者ナメテッといずれコワイことになるよ・・
そう訴えたかったのかも。作者は。

主人公の科学者が
美人ではないがよく見ると魅力的とされる
グリーンピースに代表される環境保護団体の
運動家女性(しかもひと回りちかく年齢差)と、
恋仲になるという設定にはとても無理を感じた。

また、この作者は、原子力の技術知識は
詳しいかもしれないけれど、
軍事と(特に)女性を描くのには慣れていないのが伺える。

最後に、自衛隊90式戦車にロシアのロケット砲
(RPG−7「携帯式対戦車擲弾発射器」ロシア語)
を正面からぶつけると、各坐しちゃうものなのか?

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(ミステリ) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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