「新宿!新宿御苑!・・・永谷園」
(べーしッ君より)
首都消失っていうとべーしッ君の
上記のネタがまず頭をよぎるジブン。
<あらすぢ>
ある日突然、首都・東京を覆った高さ2km、
直径50kmの巨大な“雲”。外部から一切の
連絡は行えず、中でいったい何が起きているのか
想像すらできない。判っている事は2000万人
という都民を飲み込んだまま、日本の中枢が
突如、機能を停止したという事だけだ……。
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まず・・映画が長い。
いちいちワンシーンが長い。
どうでもいいシーンに時間かけすぎだ。
後30分は圧縮できよう。
ある日突然、「雲」が首都圏を覆う。
ざっくりいえば環八に沿ってかな。
「雲」はあらゆる物理的アクセスを遮断し
生命が通り抜けようとするものなら
稲妻が走って「黒コゲ」確定。
装甲車も「電子機器」があっさりとオシャカになる。
原因究明と事態打開に乗り出すのは
「北斗電気」なる民間の電機メーカー。
ここのアツイ技術部長(演:渡瀬恒彦)が
勝手に使命を感じ、事態の収拾に乗り出す。
政府や自衛隊はほとんど何もしない。
国がひっくり返りかねない「原発事故」を
未だ、すちゃらかイチ民間企業
(退職者続出なんで、課長職以上に
一律10万円を支給したという
あのアホ企業です)に任せきりな
我が国の現在が
この時代に見事にシミュレートされている
・・ようだ。
「新宿!新宿御苑!」
とP‐3C上から叫ぶのが
芸能界最強伝説にして主人公の渡瀬恒彦氏。
あのシーンは当時さんざんTVCMで流れました。
「雲」のわずかな切れ間からセンサーを投下。
雲の中が一体どうなっているのか
確認しようとする大事なシーンであります。
技術部長、渡瀬恒彦さんには、
高校生の娘がおり、雲の中には離婚寸前の妻がおり
さらには今回の騒ぎで知り合った美女
名取裕子(こちらはすでにバツイチ)が居る。
サミシイなあ、この女にすがっちゃおうかな・・
いや主人公としてそれはどうだろう。
離婚寸前といっても妻は妻だ、
そんな葛藤がダラダラと。
北斗電気顧問、つくば大学教授
「大滝秀治」博士。
彼の発案で、つらい時期だが息抜きも必要と、
博士の定宿らしいとこで
主人公周辺一同のささやかな宴会が開催される。
ここで恒彦氏の娘は酒に手を出す。
女子高校生の飲酒シーンだ。
たしなめる周囲に
「少しくらいいいだろう。
彼女たちだって疲れているんだ、ええ?」
とは「大滝秀治」博士の言。
そんなもん?緩やかな時代だなあ。
(今話題の「風立ちぬ」に
タバコをいいように描きすぎと
日本禁×協会とかいう
抗議したようだけど、ジブリ作品だから
擁護するわけじゃない。
ああいう組織がなんでもかんでも
我が物顔でクレームつける姿勢が
気に入らないのだ)
「大滝秀治」博士は言う。
「我々の時なんか戦後、東京・名古屋・大阪・・
日本全部が焼け野原だったのにここまで来た。
それに比べたら東京が無くなっただけだ。
大丈夫、お父さんや私の世代が
きっとなんとかしてみせる」
首都が消失しても
日本人や国が消失したわけじゃないから
まだ頑張れると。なるほど団塊世代はしぶとい。
東京への一極集中がひどいと
いわれるようになった80年代
もし「首都」が無くなったら
残された日本人はどうするだろうか?という
シミュレーション描写がメイン。
だから「雲」の原因は最後まで不明。
宇宙人の地球調査センサーなんだとか
小説には書かれているようだけど。
大阪人が
「やったー! 太閤はん以降、
ようやく大阪が主役に返り咲く時がきたでえ!
とか叫ぶのに、他県の知事は
そうはさせじ、と足の引っ張り合いをしたり
政界を引退した大物政治家OB(丹波哲郎)が
(「前民主党幹事長」w)
フタを開けてみたら全然使い物にならなかったり
ミンス、ダメダメまでシミュレートしていたとは。
一方、アメリカも冷戦まっさかり。
ニッポン人が必死で取ってきた「雲」データも
SDI計画(別名:スターウォーズ計画、
その言葉すら懐かしい)に転用すべく隠ぺい。
更にこの際だから日本を信託自治領にしたくて
軍事介入のシオを狙っていたり、と
とにかく国際社会も頼りになりません。
画面に、丹波哲郎、大滝秀治、渡辺文雄
このお三方が収まってるシーンがありまして
ビジュアルを見れば
何かやってくれそう・・と「頼もしく」見えますけれど
お三方とも物故者ですよ。
嗚呼、昭和は遠くになりにけり
TV報道部長役に財津一郎。
映画で彼にスポットが当たるたび
財津さんの「つるつる頭」からイン。
シワのよった頭がちょっとキモチ悪い。
報道機関なんで、映画の展開が変わる情報
(台風直撃、米ソ軍の動向、「雲」の動き等)は
まず彼のもとに集まってくる。
必然的に彼のハゲ頭が画面に大写しだ。
山下氏演じるTVディレクター。
いちいちムカつく言動ばかり選択
元恋人の名取裕子にたしなめられると
一瞬だけ静かになる男を熱演。
彼、演技がクサくって昔からニガテだ。
「雲」の境目ギリギリのところで
野外フェスにいそしむロッカーたち。
雲の見物客のために屋台まで出現する始末。
「事態の深刻さがわからず
騒ぐネタにしか思っていないらしい。
全く最近の若い者は・・」
そう思って山下がロッカーを注意してみれば
ロッカーは視覚障がい者だった。
「雲の向こうの友人に俺の音よ届け―」
とばかりに野外ロックに励んでた様子。
なんか注意したほうが急に
「悪い人」のような奇妙な空気に。
それがどうした、障がい者ならいいのかよ?
という気もする。
演ずるは松村冬風氏。
誰だこの人?とググったら「一世風靡セピア」の
一人でした。ギバちゃんや哀川翔のお仲間。
他に渡瀬恒彦の部下の一人に岸部一徳。
まだこの頃は自分の演技を確立していない
時代らしく、セリフも棒読み。
そんな彼の奥さん役がこれまた棒読み
演ずるは海老名みどり。
彼女なんかホントどうでもいい役。
あやしい関西弁を話す商社マン役に津村隆。
「元地球防衛軍(ZAT)のエリート」だったのに
こんなところで株価の話ばっかりしている。
「時節をわきまえず儲け話ばかり話す男
=関西人」ってイメージは
こういうステレオタイプがメディアを通して
長い年月の間に浸透しておこるものなんだと思う。
禁×協会より関西人さんこそ
こういうものに怒るべき。
で、まあいろいろありましたけれど
問題の雲は「電磁波」で
なんとかなりそうだと。
実は北斗電気で渡瀬恒彦氏が
離婚危機を招いてまで熱中していたもの。
それはリニアむけ「電磁発生装置」の
研究開発だったのでした。
社外秘の「電磁波発生・むっちゃスゴイ機械」
(たぶん「超電磁ロボ」にも
転用しようとしていたに違いないのである)
を日野のエンブレムも眩しい民間トラックに搭載する。
このトラックがまた・・色だけはオリーブドラブ
なので、辛うじてミリタリーっぽいが
運転席は一般車そのまんまのガラス。
世のゾンビ映画にあるように
せめて鉄の角材を溶接するとか
あるいは自衛隊の73式装甲車にでも
搭載すればよかったのに。
やっぱ国は全面非協力だった模様。
てなわけで、衆人注視の中
1号車、2号車とも北斗電気の技術者が
乗り込んで「雲」に突入を開始する。
機器の操作もあるだろうから
エンジニアが乗り込むのは仕方ないが
運転手こそ自衛隊員にやらせるべきだろう。
ところが突入作戦は
急激に雲の状況が悪化したので中止になる。
「くそー、何が何でも
妻をすくいだすんじゃぁ〜」
ヤケになった渡瀬恒彦は1号車に乗り込み
突撃を敢行する。
どうやらこのトラック。気合を込めて
ハンドルをがっちり握りしめるほどに
頑張ってくれる仕組みのようだ。
でも結局、渡瀬氏は失敗。1号車ごと
スタートラインに吹き飛ばされてしまった。
「今度は俺の番だ!」
と山下氏。
いや、違うから。
誰も君の番だなんて言ってないから。
彼は唯一残った2号車トラックで吶喊する。
「うおおおおお・・・」
気合と涙で何とかなるのは
スクールウォーズだけ。
やめろよ、お前単なるTVマンだろ。
日本に二台しかない改造トラックに
素人が乗り込んだって壊すだけじゃんか。
更に事態の悪化を招くだけだろ。
そして期待通り自爆。
トラックは昭慶バクハツ!
・・なのに顔がススで汚れる程度で
道端に倒れる山下さん。
あの爆発の中どんなトリックつかったんだ?
もうだめか・・そんな空気が流れだした頃
絶対遮断されてたはずの雲のむこうから
一匹の小犬が迷い込んでくる。
結局、トラックが役に立ったのか立たなかったのか
それすらよくワカラナイ「活躍」だったが
なんと雲が晴れてきた。
山下氏ドヤ顔で、名取裕子も
取り返したからグッドエンディングなんかな。
あ、あと「あさりよしとお」の漫画
宇宙家族カールビンソンにもパロディーがあった。
改造トラックには「竹やり」を装備。
まんがでの雲の正体は
「お父さん」がお遊びで用意した
巨大なザルでできたバリヤー。
ザルには電気と磁力が流れるが
基本は”綿”だった・・ってオチ。
首都消失
監督 舛田利雄
脚本 山浦弘靖/舛田利雄
原作 小松左京 製作 徳間康快/村上七郎
音楽 モーリス・ジャール
撮影 飯村雅彦
編集 谷口登司夫
製作会社
関西テレビ/徳間書店/大映映画
配給 東宝
公開 1987年1月17日
上映時間 120分
出演者
渡瀬恒彦 - 朝倉達也(北斗電機技術開発部長)
名取裕子 - 小出まり子(フリーキャスター)
山下真司 - 田宮洋介(関西放送報道部員)
石野陽子 - 松永美恵子(女子大生。北斗電機バイト)
大滝秀治 - 大田原権造
(筑波大学電子工学教授<物性物理学>北斗電機技術顧問)
夏八木勲 - 佐久間英司(航空自衛隊二等空佐)
財津一郎 - 川村(関西放送報道部長)
ザ・ぼんち・おさむ - 小山(関西放送報道部カメラマン)
津村隆 - 浦部(32、商社マン)
松村冬風 - 松尾豊(20、学生)
江角英明 - 竹田(北斗電機研究所員)
岸部一徳 - 安原(北斗電機研究所員)
並木史朗 - 吉武(北斗電機研究所員)
星正人 - 北斗電機研究所員
苅谷俊介 - 森田(関西放送報道部員)
平泉征 - 和田(関西放送社会部デスク)
宮内洋 - 関西放送外信部デスク
平淑恵 - 朝倉由美子(朝倉の妻)
濱田万葉 - 朝倉佐和子(朝倉の娘)
三木のり平 - 木村松吉(双子の祖父)
浅利香津代 - 木村光子(双子の母)
海老名みどり - 安原敬子(安原の妻)
加藤治子 - 小出梅子(まり子の母)
青木義朗 - 末富海将
児玉謙次 - 荒木空将補
相馬剛三 - 谷崎陸将補
ドン・ノード - ローガン准将(横田基地司令官)
ジョー・グレイス - グレイス中佐
デビッド・ワインバーグ - フォード大佐
クリスティン・マレン - ローラ中尉
ジェリー・L・インマン - バーナード博士
トム・キロー - EP3E(アメリカ海軍哨戒機)機長
不破万作 - 国鉄東海道新幹線車掌
山本亘 - 城南医大・久保教授
丹波義隆 - 駿河テレビディレクター
うえだ峻 - 関西放送取材ヘリ・パイロット
安井昌二 - 大槻駐米大使
田口計 - 植草駐英大使
入江正徳- 北海道知事
梅野泰靖 - 愛知県知事
尾形伸之介 - 鹿児島県知事
久遠利三 - 福島県知事
河合絃司 - 兵庫県知事
竜雷太 - 堀江(外務省国際局次長)
渡辺文雄 - 小室達夫(大阪府知事)
石橋蓮司 - 三好大一郎(郵政大臣秘書)
丹波哲郎 - 中田代議士(前民主党幹事長)
清水大敬、浜田晃、毛利八郎、
飯島大介、大塚国夫、栩野幸知 ほか
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