2013年11月20日

さらば海底空母イ401

「さらば海底空母イ401」

「日本映画専門チャンネル」
特撮国宝‐TOKUHO‐より。
樋口監督が選ぶ、日の目を見ない
「特撮」作品の再発掘および
そのメインクリエイターと対談する番組。
ってなわけで、特撮はともかく話の内容は
重要ではない。要はそのクリエイターとの
対談メインだから。

あらすぢ
太平洋戦争後期に建造された
海底空母ともいうべき巨大潜水艦イ401と
特殊水上攻撃機・青嵐の全貌を当時の
乗組員の証言と再現ドラマで構成した
セミ・ドキュメント。海底から自在に
攻撃するという、核ミサイルをもつ
現代の原子力潜水艦に先んずる
アイディアを生んだのは山本五十六(高松)。
そして、その実現に心血を注いだ男こそ、
日本潜水艦隊きっての猛将・
有泉竜之介大佐(宝田)だった。

〜本編放送後に、特撮監督の川北紘一さんと
樋口真嗣監督による対談があります〜

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1982年ごろに制作されたらしい。
日本テレビ「木曜スペシャル」向けTV映画の特撮。

『さらば海底空母イ401
 幻のパナマ運河大爆撃』


懐かしいなあ。あの頃。
テレビの内容を純粋に信じていた。
だから矢追さんの番組には
地球の危機を感じてたし
サリドマイド児」という言葉と
薬害を知ったのもこの番組。

高松英郎が演じる山本五十六提督
潜水艦隊創立者有泉大佐を宝田明
同僚の海軍士官を平田昭彦が演じる
ショートドラマシーン。

1982年といえば戦争が終わって
まだ37年。
終戦当時若い軍人だった方でも
55〜60才といったところ。
当時、現役のサラリーマンが次々と証言にでてくる。

お相手は
映画ってホントイイものデスネッ
でおなじみ水野晴郎。

水野晴郎氏の台本に忠実に、かつ
自らが質問しているのにもかかわらず
相手の返答を頭で咀嚼しているように思わせない
淡々とした司会っぷりが心地よい。

この映画のどこが特撮かといえば
乗組員の思い出話の傍ら
「もしイ―401のパナマ運河攻撃が
 実現していたら?」の線で、
良くも悪くも東宝らしい戦闘シーンにだ。
(史実だとパナマに向かっている最中に終戦)

毎度の悪い癖だが、映画で気になった点がふたつ。
・イー401は空気圧縮式カタパルトが
 船体前についており、折り畳み式
 専用攻撃機「晴嵐」を撃ち出して発進可能。
 撃ち出された晴嵐が
 UFOのごとくいきなり浮かび上がってしまう点。
 シュトルヒじゃないんだからさ。

・せめて空想の世界だけでも、と番組では
 晴嵐攻撃隊がパナマ運河の稼働ダム壁を
 攻撃するんだが、いきなりの魚雷発射
 晴嵐に魚雷搭載可能だったようだが・・
 ダムに魚雷って・・効果あるの??

史実でもイギリス空軍はドイツ軍のダムを
破壊するのに「ダムバスター」なる
”飛び石”を応用した爆弾を開発して
ようやく成功したというのに
 飛ぶだけでやっとの攻撃機に
800kg爆弾×1個程度
 しかも総勢10機だという、ダム破壊・・無理でしょコレ。



イー401がどれだけデカイのか
そのスケールを実感してもらうために
わざわざ・・いきなり「船の科学館」へ。

まだ、お台場ってどこ?
日本国民みんなが思う時代。
「ゆりかもめ」なんてあるはずもなく
そこに行きたければ「都営バス」しかない。
そんな時代の「船の科学館」と宗谷だ。
周囲は雑草ばかりで
羊蹄丸はまだない。

「見てくださいッ海底空母イー401は、
 この宗谷より大きいンデスネ!」

と、水野晴郎氏は語るや

こんどは70年代ヒッピー風の番組スタッフが
丸めてあった長い紙を
宗谷のヘリ甲板で、もそもそと展開している。
何やってんですかッ?
と、水野氏の棒質問に対して

え・・ええ。イー401のカタパルトが
 どれくらいのものであったか
 確認してみようとして広げてイルンデス・・

と、これまた棒回答。

さらに晴郎は、呉の海上自衛隊基地にも出向く。
当時の現役潜水艦を背景に
「イー401はどのくらいの大きさですか?」と
イー401生き残りの兵員に棒読み質問。
いやあ、こんなに小さくなかったですなァ」と
海上自衛隊員が気を悪くするような
コメントまで引き出す。

ま、とにかくですね
樋口監督が紹介したかったらしい「特撮」よりも
時代を感じさせる番組進行のほうが
大変面白い番組でした。



確かに、インターネットなんて
概念もなかった時代、こういう番組で
海底空母の存在を知り、
翌日の職場、学校、飲み屋で話題になるけど
大抵の人はすぐ忘れ去り、
ごくごく一部の人が、そのまま書物の海に乗り出し
周囲から妙に戦争を知っているマニア扱いを受ける。
そういった時代は確実にありました。



ドキュメンタリー
『さらば海底空母イ401 幻のパナマ運河大爆撃』
(1983年、木曜スペシャル、日本テレビ系列)


出演:水野晴郎/宝田明/平田昭彦/高松英郎
監督:松本正志
特技監督:川北紘一
脚本:山浦弘靖/松本正志
公開年:1983  
上映時間:75分

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 特撮 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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