日本映画専門チャンネルにて。
植木等さん出演のこのシリーズの中では
最高傑作、と映画紹介されていたので
いつものごとく、60年代の日本の
文化風俗を確認がてら観劇する。
<あらすぢ>
西北大学の学生初等(はじめ・ひとし)は
三段跳の選手で東京オリンピックの候補だった。
ところが、練習中に誤ってアキレス腱を切ってしまい
出場を断念。療養の為に故郷に帰った等は、
偶然にも「ホラ吹き」と呼ばれ続けた
先祖・初等之助の自伝を発見する。
一浪人に過ぎなかった等ノ助は大胆にも大名
になることを決意し、ホラ吹きと揶揄されながらも
徐々にその腕を認められついに2万石の大名と
なったのだ。「ホラにしてホラにあらず」
この言葉に感銘を受けた等は気持ちを新たにし、
大企業の増益電気に就職して出世の三段跳びを
すると宣言する。しかし、面接試験であっけなく
落とされてしまうのだった。一計を案じた彼が
取った行動は…。
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おもしろかったけれども
思いのほか「クレイジー」のメンバーが
出てこない(そもそもリーダーが出てこない)
植木等メインの映画。
クレイジーのメンバーでは
研究所研究員役「谷啓」さん。
大学の同級「安田伸」さん。
社長の運転手「桜井センリ」さん
私のような世代には、植木等映画といえば
昔の映画、スーダラで、無責任だろ?と
決めつけてしまうところだけれども
Wiki先生よれば、植木等映画として
ジャンルが確立するまで
はるかな道のりがありまして、
映画製作会社ひとつにしても
東宝、大映、松竹等々が争奪戦。
植木等という素材を前に
ヒットすることは解っているんだ。
どうやって調理するかだ、と
時のプロデューサーに映画監督やら
映画会社社長もいろいろチャレンジ。
その結果が「日本一の、シリーズ」であり
「無責任シリーズ」であり「クレージーだよ!〜」
という作品を生み出したみたい。
で、PONイメージではこの映画も
C調の男が、無責任ゆえに
場当たり的に行動、
なのに全てが図に当たり、
出世街道を驀進するもの・・と思っていたのだが
この映画の植木等。
確かに「ホラ吹き男」だけど、実現にむけて
計算高くガムシャラに行動できる男であり、
一応戦略をもって行動しているのだ。
無責任でもなんでもない。
実現できるホラは大言壮語というのだ。
一ヶ月で係長
三ヶ月で課長
一年で(経営側)部長になる!と宣言。
植木等は、大学の教授に
日本で一番将来性のある会社は?と尋ね
「増益電気」との答えに
そこ一本で就活、見事に落ちる。
そこで彼がとった行動とは、
「職業に貴賤はない、とにかく懐に
飛び込んでしまえばいい」と
「増益電気」の警備員(契約社員として)になる。
入ってしまえばこっちのもの。
社長の半生記を熟読し
社長付運転手と仲良くなり
社長がゴルフ好きと聞くやゴルフを勉強し
いつのまにか社長の朝ゴルフに帯同。
強引に正社員になる。
配属先は「営業部 資料課」
今と違ってパソコンも電卓もなく
あるのはほこりをかぶる台帳とソロバンだけ。
やる気のない左遷社員ばかりのなかで
1か月の泊まり込みを敢行。
先輩達1年分の仕事を終わらせてしまう。
労働組合側からすれば、
そんなに働かれてしまい、
しかも残業代もいらないと言われると
立場がない(困る)
人事部長としては
社長の命令で採用したからにはクビにできない。
仕方ないから(社規で残業代のつかない)
係長に昇格させる。
見事、植木等は入社1ヶ月で
まず一つ目の大ボラを実現したのだった。
映画はすべてこんな感じで続く。
これは喜劇だ、としてもだ。
自分も含めて、入社試験を受けるとき
目標の会社の社長の自伝を
読もうとなんて思います?
でも彼は読む。
落ちてしまったらば、
第二希望会社へ狙いを変えますよね?
でも彼は諦めない。
その手のビジネス本で
どこかの社長が言ってたな。
「靴磨きなら靴磨きのプロになればいい。
そうすれば誰も君を放ってはおかないだろう」
出演者。気が付かなかったけれど
ライバル会社社長役が「江川宇礼雄」さん。
ウルトラQの立派なヒゲ博士だ。
私にとっては初めからお婆さんに
しか思えない、「草笛光子」さんが
銀座の美人ママ役。
ものスゲエいい加減で
あっさりとオリンピック候補生(=植木等)を
捨ててしまう、陸上のコーチ役・・「田島義文」さん
あまり必然性を感じないが
仮にも「コメディ」映画ならば出しておきましょう的
本社守衛役の「由利徹」さん。
「ロボコンくゥん」
あと、主人公の先祖の一代記を
掘り当てた土木作業員の一人に
「二瓶正也」さん。言わずもがなイデ隊員だ。
若いなあ。
Wiki先生にはロケ地も書いてある。
こういう映画では、60年代当時の風景が
うかがえて何気に楽しみなところ。
主人公が「西北大学」出身なんで
やっぱ「都の西北」早稲田大学
ヒロイン浜美枝さんとボートに乗ってる「狭山公園」
主人公が目指した一流企業「増益電機」が
「東芝川崎小向事業所」
映画後半で入札の舞台になる
ナイロニヤ国大使館が
「宗教法人生長の家本部会館」
これはまあどうでもいいや。
ライバル社丸々電機の本社
「八重洲大和證券ビル」
ここって数々の映画で
「一流企業本社ビル」として
ロケに使われていたはず。
ほかにも植木等がイキナリ歌いだす
「向ヶ丘遊園」の大階段
どこに使われていたのか解らないけれど
(あ、谷啓研究員のいた研究所かな?)
「松下通信工業株式会社綱島事業場」
「東芝科学館」
植木等演じる「初等(はじめ ひとし)」の
ご先祖は刀ひとつで大名になる、って設定なんで
前半はご先祖の活躍を描く
さながら時代劇の様相。
ロケ地のひとつは「小田原城」
後ろにはゾウさんがいたと思いますよ。当時。
あんまり知っている歌(スーダラ節とか)を
歌ってくれなかったのが残念。
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日本一のホラ吹き男
監督 古澤憲吾
脚本 笠原良三
製作 渡辺晋/森田信
出演者
初等(はじめ ひとし)/
初等之助(はじめ ひとしのすけ) - 植木等
つね - 飯田蝶子
南部可那子 - 浜美枝
増田益左衛門 - 曽我廼家明蝶
大野総務部長 - 山茶花究
古井資料係社員 - 三井弘次
山田富子(資料係)- 中真千子
井川(研究所研究員) - 谷啓
宮本 - 安田伸
社長の運転手 - 桜井センリ
西條社長 - 江川宇礼雄
清水花江 - 草笛光子
山下教授 - 高田稔
本屋のおやじ - 坂本武
陸上のコーチ - 田島義文
本社守衛 - 由利徹
本多宣伝課長 - 人見明
七味一刀斎 - 佐々木孝丸
労働組合幹部 - 堤康久
土木作業員 - 広瀬正一、二瓶正也
音楽 宮川泰
萩原哲晶
撮影 飯村正
編集 黒岩義民
配給 東宝
公開 1964年6月11日
上映時間 93分
製作国 日本
言語 日本語
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古澤憲吾って監督。
Wiki先生によれば
晩年は結構サミシイ生活を
送ったみたいです。
一時代を築いたというのに。