2013年11月28日

やればやれるぜ全員集合!!

「やればやれるぜ全員集合!!」

NHKBSプレミアムで放送。

正直、なんでこんな映画まで
NHKは放映するのか、と
思わなくもなんだけれど。
クレージー系はまだ解かる。
当時の文化保存だと思えば・・
観賞に耐えられなくもないし。
でもさ〜これはね〜。

あらすぢ
村の鼻つまみ者だった5人の男たちが、
東京でひと旗あげようと上京する。碇矢と
加藤の二人は、仕事場の埋立地に食事を
売りに来る娘・みつ子にそろって密かな
思いを寄せている。そのみつ子が、
レストラン花園の社長・北小路に、昔父親が
借りた金のために強引に結婚させられそう
だと知った二人は、メンバー5人を集結させ、
北小路を誘拐し国外に連れ出してしまうが…。
あれやこれやと奇想天外な作戦が展開する
大爆笑喜劇。

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ひどい映画だった。凄くアナーキーで
品よく笑いも起こらず。

当時、松竹はクレージーキャッツ路線の後継者
育成に必死だったのかもしれない。
でも”ドリフ”という材料をどう使いこなして良いか
すべて手さぐり、映画自体がそういった作り。
(ドリフ映画としては、これで2作目)

当時であって、映画館でこれ観て笑うのは
劇中でドリフが演じているキャラと
同階層のおとうさん達が、
酒をかっくらいながら「たーーはっはっ!」てな位
だったんじゃなかろうか・・と勝手に想像。
(もちろん姿格好は「鬼瓦権造」で)

で、映画の話。あらすぢの
”村の鼻つまみ者だった5人の男”とは
ご存じのとおり、以下の面々。

いかりや長介、加藤茶
 この二人はセット。これからは貿易の時代、と港へ。
仲本工事:音楽家志望。
高木ブー:調理師志望。
荒井注:政治家志望。

一年後の再会を約し
それぞれ東京砂漠に展開する。

バカで思い込みが激しい長さんと
その彼をバカにし、いつかは長さんの元から
逃げ出したいと思いながらも
やっぱり自分もバカなんで現状維持のカトちゃん。
お芝居なんだけど、観ていて痛々しい。

二人の下宿先の管理人のおばさんも
長さんとカトちゃんのことを
基地外、基地外」と連呼。

仮にもNHKなんで修正は入っているが
音声も最小限の修正にとどめてあった。

一年後。
当時の”精一杯”のおしゃれをして
銀座に集合するドリフ。
長さんとカトちゃん
一年ぐらいじゃ芽が出るはずもなく、今も港の人足。
これは仕方ない。
ところが残りの3人は
仲本工事
 50社を越えるレコード会社から
 引っ張りだこの作詞家。
高木ブー
 いよいよ銀座に店を構える話ありのコック。
荒井注
 「青少年遊戯地域見回り会議議長」だかに
 就任して忙しい日々

長さんとカトちゃんは、早々に芽を出しつつある
仲間を誇らしげに思いつつも、負けてられんと
埋め立て地で工事人足として頑張る日々が続く。
(品川地区埠頭造成工事だったかな)

コンビニなんかない時代、さらに何もない
造成地に、お昼になると出張販売でやってくる
”サッポロ一番”と大書きの移動屋台。
(その名の通り、サッポロ一番が
 映画とタイアップしてたんだろう。
 バヤリースとか森永ミルクキャラメルとか
 当時の人気産業と映画とのタイアップは面白い)

彼ら唯一の慰めは、そこの看板娘(演:松尾嘉代)。
この看板娘というのが、よく寅さん映画に
出てくるような天然のヒロインで、
罪作りというか、無意識にお愛想を振りまく
性質が悪い女。
ちなみに相方は「木の実ナナ」なんだが
彼女はやはりブ○だと思う・・。

あーコホン。んでその屋台の
お品書き”が非常に興味深い。
キャプチャ画面から書き出してみる。
(デジタル化とHDの恩恵だ。昔だったら
 画像が潰れていて読めなかったに違いない)

だれが書いたか”墨書き”だ。
___________________

牛乳 25エン
コカコーラ 50エン
サイダー 40エン
ミルクコーヒー 30エン
レモンソーダ 30エン
ジュース 30エン

<菓子>
大福 15エン
ドーナッツ 15エン
どら焼き 20エン
茶まんじゅう 20エン

<価格表>
中華そば 60エン
日本そば
手打ちうどん 50エン
ライス 50エン
___________________

コーラが50円なのに、ラーメンが60円ってのは
当時からコーラが高すぎたのもありそうだが
この数十年、飲料より、ラーメンやうどん類といった
食物の価格上昇率がハンパなかったのだろう。
いまどきのラーメンは10倍以上する。

で、いろいろあったが、残りの三名の成功は
”真っ赤なウソ”だったことがバレてしまう。

仲本工事:飲み屋の流しで日銭を稼ぎ
高木ブー:銀座で石焼いも屋。失火で消滅。
荒井注:パチンコに入ろうとする学生から
      金を巻き上げる、ちんぴら。

そこで長さん

全員集合!!

となって、まとめて面倒見る!と大口をたたく・・が
残りの3人がその気になって埋め立て地に
やってきたその日、長さんは仕事でシッパイし
現場監督(演:左とん平)からクビを宣告される。

さあ、どうしよう。
そんなとき、新聞で求人を発見。
家付き、飯付き、頑強な男子であればOK。
それが「船橋ヘルスセンター」での背中流しだった。
5人は背中流しだけでなく、あらゆる場面で大活躍。

船橋ヘルスセンター
こち亀にもあったけれど
当時の人たちにとって夢の楽園・・だったみたい。

「中華そば 60円」という物価の世の中で
5人は100万を稼ぎだすのですよ。
食住提供、賃金+チップ。
5人労働/1か月/30万のアガリ。
たぶん、期間は3ヶ月やそこら。

でまあ、なんでそんなに金を稼ぐかといえば
埋め立て地ならば土地が安い。
そこを買って「風呂場」をつくり
労働者の天国にしよう、というのだ。
ところが手付10万を持ってかれた上
結局土地を売ってもらえない5人。
悪徳業者役「田中邦衛」の怪演ぶりは
映画を観ていただくほかないが

その黒幕は「松尾嘉代」を付け狙う
レストラン社長。(演:藤村有弘)
これがどっからみても、成り金の「中国人」で
時節柄大丈夫か?NHKとか
余計な心配をしてしまうが
この社長は、移動屋台もレストランも
長さんの汚い下宿先も
造成工事の土木会社も経営。
おまけに松尾嘉代の父は
そんな彼から500万借りているし・・

どうあがいてもドリフの面々は
彼の手のひら内なのでありました。

さあ、もうこうなったらこの社長を
ギッタンギッタン(死語)にしてやる!
彼らが起こした行動とは?

高橋圭三氏が、ニコニコしながら
しなくてもいい質問をドリフの面々に
投げかける。
そのほほ笑みは、すべてを知っているくせに
ドリフの連中をカラかっているかのよーだ。

ドリフは、ビートルズがやって来るヤアヤアヤアの
武道館公演で前座を演じたのは有名な話だが
そもそも、ドリフはお笑い集団である前に
歌って演奏のできる集団なのだ。
(そういう意味ではTOKIOとかのご先祖さんか)

物語の最後はまるでGSのPVのよう。
長さんをはじめとするドリフの面々が
似合わない「スーツ」姿で、港で演奏。
ギターをかき鳴らす。歌うは
ビバノンロック
(クレージーキャッツと違ってドリフは
 「歌」にも恵まれなかったのかもしれない)

左とん平、最近見ないけど元気だろうか。

そうそう、最近の加藤茶の家庭・・
ひどいもんみたいだ。

他人だからどうでもいいか。

やればやれるぜ全員集合!!(1968)

上映時間 88分
製作国 日本
初公開年月 1968/01/03

【クレジット】
監督: 渡辺祐介
製作: 青木伸樹/脇田茂
脚本: 森崎東/渡辺祐介
撮影: 堂脇博
美術: 加藤雅俊
音楽: 宮川泰

出演:
いかりや長介
加藤茶
仲本工事
高木ブー
荒井注
松尾嘉代
水谷良重
木の実ナナ
犬塚弘
安田伸
平尾昌晃
藤村有弘
田中邦衛
ザ・ドリフターズ

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横でちらっと観ていた
7歳の息子が
「あれ?お父さん
 シムラケンが出ていないよ?」と
ツッコミ。

彼はファミリー劇場で
時々親父が録画してた
「ドリフ大爆笑’87」とかが
好きなのだ。
(ついでにチャップリンも好き)
posted by PON at 21:00| 神奈川 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(ヤ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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