2016年08月01日

シン・ゴジラ(観賞済み)

「シン・ゴジラ」

キャッチコピー「現実 対 虚構

公開三日目の日曜。
地元のシネコンにて一家で観賞。
英題の「GODZILLA Resurgence」
resurgenceとは
【名】〔中断の後の〕再開、復帰 復興、復活、再生
なんだって。

ベースは短編”巨神兵東京に現る”。
んで主役を巨神兵からゴジラに入れ替え
自衛隊SIM映画といえば・・
やっぱパトレイバー2THE MOVIE風味で
エヴァを上から振りかけたら・・
あら”シン・ゴジラ”
昔の漫画”神の獣(けもの)”のエッセンスも?)

あらすぢ
東京湾で大量の水蒸気が噴出するという現象が起き、
同時に海底を通る東京湾アクアラインでもトンネル
崩落事故が発生する。これを受けて政府では緊急会議
が開かれ、事故の原因を海底火山や熱水噴出孔として
対応を進める。その際、ネットの動画で事故の様子を
確認していた矢口蘭堂内閣官房副長官(長谷川博己)
は、未知の巨大生物が海底に潜んでいるのではないか
と疑問を呈するが、証拠もなく一笑に付される・・

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真のカイジューとは
アンノ監督その人だった。
もうやりたい放題で・・。
でも面白かった。
本当に怖いカイジュー映画だった。
きちんとゴジラによる死者も描写している。
(ゴジラ映画では初めてなんではないか?)
つまり、シン・ゴジラとは
怪獣映画の名を借りた災害映画なのだが
こんなジャンルにありがちなのが
困難が愛を育てる、とか
結局、愛がすべてを救うんだ・・といった
一種の幻想・・っつーか余計な恋愛シーンが
一切無かったのに好感度大。

無茶苦茶忙しいはずの
長谷川、竹野内、石原の面々が
突然、合流してしかも屋上や
モノレール基地とかで
遠い目しながら日本の将来について
議論を交わすシーンだけは
あんたら・・話なら会議室や煙草ルームなんかで
できるだろ?と思わなくもなかったけど
まあ無問題。

S.H.モンスターアーツ シン・ゴジラ ゴジラ (2016) 約180mm PVC製 塗装済み可動フィギュア

以下、少々ネタバレあります。







それにしても、ほんとに人をくった
(びっくりさせる)演出が
大好きなんだなぁアンノ監督。
ゴジラの最初の上陸シーンなんかホントに
その最たるモン。
定形を崩した先の面白さを
求めているんでしょうね。

かの幼少形態なんか
唐津とか長崎のお祭り”くんち”を
思い出しちゃった。
さあ、お祭りが始まるぞ!って感じ。

今作のゴジラは、生物は食わないようだ。
個人的に”生きながら喰われるってのが
最悪の死に方”だと思うので、
その方面での恐怖は心配せずともよかったけれども
それにも増して”真の怖さ”ってヤツあ
生殺与奪をもつ圧倒的な存在なのに
こちら側からはまったくコミュニケーション
不能な状態であって
何考えているのか全然見当つかない奴が
こちらを凌駕する攻撃力を持っている・・
その点では充分な恐怖だった。

シン・ゴジラ音楽集

ネットの考察で思わず唸らされたことがある。
今回のゴジラは完全生物ってことなんで
”耳”を持っていない。
”耳”とは本来、敵から逃げられるように
周囲に張り巡らせた”センサー”なんであって
完全生物(≒最強)たるゴジラに耳は不要と。

その完全生物って実は今のニッポン人の
メタファーなんじゃないかと、ある人は考察しているのだ。
別にニッポン人=最強って意味じゃなくって
音楽なり、スマフォなり(ポケ○ンG0でもいいや)に
集中して周囲に気を使わなくなっている
われら日本人そのものなんだと。
周囲に気を遣わず(そもそも興味がない)ので
そこに人が居ようと建物があろうと
突撃してゆくし、一朝、攻撃を受けたらば最後
相手が死ぬまで(たとえ死んじゃっても)
徹底的攻撃する。アンノ監督は非寛容社会の
日本人そのものを描きたかったんじゃないかと。
うーーん。

でもこんなつぶやきもありましたよ。
”シン・ゴジラの考察している人たちへ
 また20年間を無駄にすることになるゾ”
には激しく同意しました(笑)
そこら辺は確かに自戒しましょうかね。

で、映画に戻りますと・・
まず、3.11時の政府対応のまずさに対する皮肉が効いてる。
原発事故の時は、いつまた爆発するかもしれない現場へ
注水のため、悲壮すぎる覚悟とともに出撃した
重機群があったけども後半、まさにあれを観ているようだった。

頭のいい政府お抱え学者は
有””者会議にて、口々に難しい言葉の
言い回しで(要は責任取りたくないから)
決定的な発言は避け、
「調べてみないと解りません」という
小学生でも言える内容を異口同音に回答。
しかも何かあれば「想定外」だ。
これってなんかデジャビュと思えば
やっぱフクイチの原発事故そのものなんだな。
いつだって「不用意な発言はパニックを招く」と
誰かが必ずホザクから国民まで話が届かない。

(週刊誌で読んだんだけど
 フクイチの事故の時、全在日イギリス人に向かって
 英国科学アカデミーのような頭のいい集団から
 メールが来たらしい。
 今回の爆発はチェルノブイリとは性質が違う。
 都内なら2〜3日室内に籠っていれば問題なし。
 慌てて国外脱出する必要はない、と。
 そうだよ、あの時我々が欲しかったのは
 そんな情報だったんだよ。
 おい聞いてっか?フルアーマーえだ○んとか、
 空き缶とか)

閑話休題。

それでも漸く設立される対ゴジラ対策委員会
巨大不明生物対策委員会
彼らがこれから行う大仕事の割には
あまりにささやかな発足式で
主人公はスタッフに向かって訓辞を垂れる。

「いいか、ここにいるのは
 それぞれ能力を持ちながらも各省庁で
 オタク、変人、奇人、ハミダシ者と
 称される人たちばかりだ。
 だがこのような非常識な状況は
 我々のような者にしか対処できない・・」
(意訳)

自分には一番笑えたところ
(二番目はJRの大爆笑爆発)
たぶんこの言葉は、アンノ監督の本音なんだと思う。
これまでファンとして怪獣映画を楽しみ
仕事に反映するにしても
せいぜい自分の作品でパロディーにするくらいしか
できなかったクリエイターたちが
良くも悪くもゴジラを作り続けてきた
大御所たちが引退したり亡くなったりしたんで
スポンサーに金を出させて
ようやく表舞台で好き勝手に作る環境が整った。
だからこそのアンノ監督大暴れなのです。

自衛隊(というか近代兵器)の描写にも驚き。
昔はゴジラの着ぐるみの周囲を
とにかく派手に爆発エフェクトするだけ。
人類側の流れ弾が周囲を破壊しまくり
いったいどっちが敵なんだかわからない状態だったが

精密誘導攻撃は全弾、ゴジラの頭部に命中。
電子技術の進歩と自衛隊の訓練のたまもので
武蔵小杉の街並みそのものに
直接の被害はほとんど確認できず。

自衛隊の兵器群にMLRSという
ロケット兵器があるんだけど
GPS誘導弾で射程が160キロくらいあるのかな。
だから本来はワザワザ目標の
そばにいなくてもいい兵器なのです。
劇中では無線からの報告だったけれども
彼らは御殿場から武蔵小杉へ撃ち込んだらしい。
しかも全弾。
昔のゴジラ映画だったら、ニギヤカし
ゴジラの足元に置いておいたでしょうな。
長距離兵器ですら。

それと10式戦車や高機動戦闘車が走り回ること。
戦車の履帯(キャタピラ)とは
道なきところへ道を持ち込むシステムなんだなあと
見つけたり。
それと戦車の機動(どう動くか)ってのは
写真じゃわからないな。やっぱ動画ですよ。
昔のドイツ軍のように戦車は鈍重ってイメージでいると
確実に時代に置いて行かれること必定だ。
って誰にむかって書いてんだって話。

それと、アンノ監督お得意の明朝体による
説明テロップが、若干うざく感じ始めてきたころ
内閣対策会議シーンに
”里見農林水産大臣は外遊のため欠席”とまで
テロップが出てきたので、それはさすがに
あまりにイラなすぎる情報なのでは?
思っていたのだが・・見事にやられました監督。

今回のゴジラは光線や放射能ゲロwなんかで
街を破壊するため、自分の中に存外
ゴジラの肉弾攻撃による破壊活動シーンが
意外なくらい印象に残らなかったかな。
それでもモンノスゴイ破壊活動だった。

自衛隊の方々の中には
ガメラ映画でも奮戦されてた面々が
ちらほら見えたようだったな。
詳細はまだ精査していないが。

監督お抱えの音楽家”鷺巣”さんが
クレジットされているのはわかるけど、
まさかあのシーン(作戦会議で)で使われるとはね。
感服しました。その選曲はやりすぎじゃない?

それとJRグループは全然まったく非協力作品。
それはおそらく未来永劫、これからもw。

ゴジラFinalWarsなる作品を作っちゃった
どこかの人は・・本作をどんな気持ちで
観るんだろう。おそらく観ないだろうし
観たところで自分を揺るがすことは
決してないでしょうけども。

次作は・・あれじゃあ作れないなかなあ。
まさか”シン・アンギラス”とかが出現しちゃって
怪獣プロレス世界へ戻すわけにも
いかないだろうし・・あるとすれば
ガメラでいえばギャオスのように
ゴジラが単性生殖して大量発生した世界での話とか?
そうなればいよいよガメラVSゴジラって線も
ありかも知れない?

また観たいな。今度は4Dでか(笑)

河野太郎氏のツイッターより。
シン•ゴジラには、有明にある
本物のオペレーションルームが出てきます。


シン・ゴジラ考察


『シン・ゴジラ』
(英題: GODZILLA Resurgence)

監督:
庵野秀明(総監督)
樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明

出演者:
キャストは総勢328名が出演

矢口蘭堂(内閣官房副長官):長谷川博己
赤坂秀樹(内閣総理大臣補佐官):竹野内豊
カヨコ・アン・パタースン(米国大統領特使):石原さとみ
大河内清次(内閣総理大臣):大杉漣
東竜太(内閣官房長官):柄本明
志村祐介(内閣官房副長官秘書官):高良健吾
尾頭ヒロミ(環境省自然環境局野生生物課課長補佐):市川実日子
財前正夫(統合幕僚長):國村隼
西郷(戦闘団長):ピエール瀧
花森麗子(防衛大臣):余貴美子
里見祐介(農林水産大臣→内閣総理大臣臨時代理):平泉成
国土交通大臣:矢島健一
総務大臣:浜田晃
文部科学大臣:手塚とおる
警察庁長官官房長:古田新太
警察庁刑事局局長:モロ師岡

音楽:鷺巣詩郎/伊福部昭
製作会社:東宝
配給:東宝

公開:2016年7月29日
上映時間:119分
製作国:日本
前作:ゴジラ FINAL WARS

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posted by PON at 23:35| 神奈川 ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画(サ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コバヤシマサキ様

どうもPONです。
お暑い夏、外回りの際には体には
どうぞお気を付けください。

さて、ええ観てきました。
しかも2回。2回目は4DXという
席が揺れたり水が飛んで来たりと
大変な選択をしてしまいましたw
演出には”香り”もあったようなのですが
さすがに生臭さとかは漂ってきませんでした。

好き嫌いありますからね。
そんな方にはDVD(ブルーレイ)でも
いいかもしれませんよ。
Posted by PON at 2016年08月26日 08:24
おお、観たんですね。何となく食指が動かないんですよねぇ。なんでかわかりませんけど。
Posted by コバヤシマサキ at 2016年08月08日 02:05
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