2017年09月04日

善き人のためのソナタ

「善き人のためのソナタ」

そのまま、浦沢直樹の漫画
「マスターキートン」で
お話にできそう、そんな内容。
つか、彼の絵柄で漫画版
「善き人のためのソナタ」の
脳内再生が出来てしまうワタクシ。



あらすぢ
シュタージ(国家保安省)の局員ヴィースラー
(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家の
ドライマン(セバスチャン・コッホ)と
恋人で舞台女優のクリスタ
(マルティナ・ゲデック)が反体制的である
という証拠をつかむよう命じられる。
ヴィースラーは盗聴器を通して彼らの監視を
始めるが、自由な思想を持つ彼らに次第に
魅せられ……。

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いまの中国や、たぶんもっと
キツイであろう某北の国なんか
特にそうだけど、
国家権力が”人を人とも思わない”活動を
奨励している所
ってホントいただけない。

最近ではわが国の政権ことを
ゆるい独裁だとか騒ぐムキもあるようだけれど
”人民主権”という建前が、まだ通用するだけ
ずいぶんマシ、政治として腐ってない。

炭鉱や、毒ガスが想定されるところに
カナリヤの鳥かごを
持ってゆくのと同じような理屈で
どこかの女性党首や、
ソーリソーリの人が
まったく生命の危機を感じることなく
夜に外出できているウチは、
ニッポンはまだまだマシで
あり続けるんじゃないか〜とか思った。

以下、完全にネタバレで書きます。

特に何を考えていたわけではないが
共産党独裁政治に疑念を持たず
職務に精励してきた主人公ヴィースラー。
彼は命ぜられるままに
完璧に権力の犬として機能しており
不穏分子の諜報活動を始める。

対象は、意気込みだけは高いけど
当局に睨まれたらイッパツのハズの
わきが甘い芸術家集団。

盗聴など地味にイヤーな職務のプロである
ヴィースラーは、簡単に彼らの尻尾を
つかむが、監視を続けるうちに彼の心に
微妙な変化が起こり、許されざる体制の敵
であるはずの劇作家ドライマンを
影ながら守るような行動に出はじめる。

ヴィースラーの思想転向は
西側の自由思想や理念に共鳴したからというより、
ドライマン達の、恋や創造活動などに情熱をかけ
自分たちの信念に忠実に生きる姿に、
”人間”のあるべき姿を見たからに他ならない。

ヴィースラーが所属する共産体制側の
言う事は立派だが、権力にモノをいわせた
セクハラ、パワハラの数々。
そのあまりに醜い姿を見続け
どちらが人として自然か、自ずと答えは出ていた。

ドライマン達は、あまり意識することなく
共産党独裁の暗黒時代を生き永らえることができた。
ヴィースラーの影の行動によって。

時代が変わる。
共産体制が倒れ、ベルリンの壁も破壊。
東西ドイツが一緒になるという
ヴィースラー達からすれば信じがたい時代が
やって来た。

ヴィースラーのような
共産政権を闇の面で支えていた人間なぞ
生きてゆく場所なぞない。
殺されないだけマシ。
日陰者として生きてゆくほか無いのだ。
実際、ヴィースラーはチラシ配りをして
細々と暮らすしかなかった。

ドライマンだってまんざら馬鹿でもない。
体制崩壊と情報公開の波の中、
色んな悲劇はあったけれども
自分が生き残れたのは
”HGW XX7”なる共産政権側の
エージェントがいたからという事実に
たどり着く。

ようやく日のあたる場所に
出ることが出来たドライマンは
一冊の本を出版する。その表題が
「善き人のためのソナタ 」



統合したドイツでほぼ最底辺の暮らしをする
ヴィースラーは、本屋でドライマンの
新作を手に取った。

そのトビラには
「感謝を込めてHGW XX7に捧げる」
と書かれていたのだった。

ヴィースラーはレジの人につぶやく。
包装はいらない。これは私の本だ・・

善き人のためのソナタ
Das Leben der Anderen

監督:
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
脚本:
フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
製作:
クヴィリン・ベルク
マックス・ヴィーデマン
音楽:
ガブリエル・ヤレド
ステファン・ムーシャ
撮影:
ハーゲン・ボグダンスキー
編集:パトリシア・ロンメル
配給:アルバトロス・フィルム
公開:2006年3月23日
上映時間:137分
製作国: ドイツ

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posted by PON at 21:00| 神奈川 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画(ヤ行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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