ナイフ 重松清 新潮文庫
ヒトが行う最悪の愚行もしくは犯罪の
「イジメ」を主題にした短編集。
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「ワニとハブとひょうたん池で」
ワニはどうでもいい。
やっぱハブだな。ハブ。
小説というのは基本、独りで書くもの。
だから小説内に出てくる女の子の
思考や話し方は、結局、作者が
作品内で女子中学生を演じているわけだ。
別にリアルな女子中学生が書いた
小説が読みたいわけじゃないし
あの人らの生態とかが
知りたいわけでもないんで
いいんだけどね。
どことなく、登場するローティーンの
おんなどもの後ろに作者の顔が
浮かんでしまうのだ。
もっと言うなら重松清が
女子中学生の制服着て
作品に出てきているような。
そんな言葉はしらんだろ、とか
そんな言い回しする女子中生っているかぁ?
と思ってしまった。
それはソレとして。
子供達はつまらない日常生活のなかに
ゲーム性を求めている、という辺りは
にわかに賛成。
「ナイフ」
「けれど私はナイフを持っている」
この話で賞をとったらしいのだけど
この短編集の中では
読んでて一番面白くなかった。
「キャッチボール日和」
「正論」を武器にブルドーザーのように
人間関係を突き進んでゆくタイプの父親。
そんな父親の中に全てが真逆の
息子が生まれた。そこに起きる悲劇と再生。
荒木大輔話がうるさすぎ。
「反省と後悔の違いが初めてわかった」
「完全にコドモじゃないから、
やってはいけないことや
悪いことはたくさんわかってる。
でもやっぱりコドモだから
わかっていることをうまくやれない」
「エビスくん」
痛い。やってることも痛いが
存在が痛い。謎の転校生エビス君。
読んでいて最後までエビス君に
親しみを覚えなかったから
最後に主人公が・・
「どこにおんねや、きみはいま」
とか呟いたとしても
それがいったいナニ?
という気がした。
まあいいか、これは彼の物語なんだから。
「ビタースイート・ホーム」
この話、あんまりイジメって
感じがしなかったが、
考えてみれば、学校を舞台とした
イジメとは、生徒VS生徒、
あるいは生徒VS教師といった
構図ばかりじゃなかった。
父兄VS教師ってのもあるのだ。
この主人公夫婦の喧嘩とか
生活をめぐる言い争い
双方の仕事と子育てを
どのあたりで両立させればいいか?
教育に対する男女でのスタンスの違い
等など、いちいち身に覚えがあるので
誠にもって耳に痛い。
あーあるある、いろんなところで
共感しながら読んだ。
「ほんと間違っているんですよね。
偉そうな事言ってても後悔すること
だらけです。たぶん、みんな。
親って間違いばかりするんです」
「変わることが負けというなら
私達は負けた、それを認められるほど
変わった。そして、誰もが結局は
何かに負けてしまうのだとも知った」
「正しいことを同時に二つ選べなかった
悔しさを背負って、私達は子育てをし
年老いてゆく・・」
人生の最期は、あーこの人と一緒で
良かったなあ、と言えるようでありたい。
ありたい・・うん。
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