「俺は楽園を求めている。ただそれだけだ」
上司に借りた「小説」シリーズ。
まだ続きます。上司もいよいよ
御愛用「某三色古本屋」100円文庫
コーナーばかりでは、読む本探しに
不便を感じ始めたようで。
(いきなり2巻しかなかったりする)
今回は新品。
奥田英朗作 「サウスバウンド」です。
(南に向かう)の意。
<あらすぢ>
小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。
父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と
言う。父が会社員だったことはない。
物心ついたときからたいてい家にいる。
父親とはそういうものだと思っていたら、
小学生になって級友ができ、ほかの家は
そうではないらしいことを知った。父は
どうやら国が嫌いらしい。むかし、過激派
とかいうのをやっていて、税金なんか払わない、
無理して学校に行く必要などないとか
よく言っている。家族でどこかの南の島に
移住する計画を立てているようなのだが…。
型破りな父に翻弄される家族を、少年の
視点から描いた、長編大傑作。
内容(「BOOK」データベースより)
結構面白かった。
PONスコープでは上の下。
読みやすさも良好。
登場人物の会話もテンポがよくって
出てくる人物も魅力的なキャラが多い。
PONが借りたのは文庫版で。
上下巻に分かれている。一冊の薄さは
5ミリ程でかなり薄い。
物語は、イントロであり主人公家族の
紹介の意味合いが強い「中野在住編」と
東京に見捨てられて(見捨てて)
「西表島」へ引っ越す「西表在住編」に
分かれ、上下巻になっているが、
はっきりって二冊に分ける意味が分からない。
文庫一冊でいいじゃないか!と思った。
角川の「売らんかな」主義が
感じられて、そこのところがちょっと減点。
(PONは買っていないので偉そうなことも
言えないのだけど・・)
伝説の活動家が西表島に来たのを聞いて
左翼運動家は当然、自分たちの
味方をしてくれるもんだと思い
共闘を申し出ると・・
「おれは、あんたらみたいな運動屋には
もうシンパシーを抱いていない。
左翼運動が先細りして活路を見出したのが
環境と人権だ。つまり運動のための運動だ。
アメリカと同じ。ポスト冷戦で
敵が欲しいだけだ」
活動家のおばさんをもつヒロインは
自分のおばさんに代表される
運動屋(プロ市民)のことを
「小学生にはうまく言えないけど、
働かないことやお金がないことや、
出世できないことの言い訳にしている感じ。
正義を振りかざせばみんな黙ると思っている」
急にまともなことをいう父
「二郎、前にも言ったが、おとうさんを見習うな。
おとうさんは少し極端だからな。
けれど卑怯な大人だけにはなるな。
立場で生きるような大人にはなるな」
「母は父のファンなのだ」
物語では比較的静かで主張しない母が
最後にいいことをいう。
「おとうさん、おかあさんは、人の物を盗まない、
騙さない、嫉妬しない、威張らない、悪に
加担しない、そういうのすべて守ってきた
つもり・・唯一常識から外れたところがあると
したら、それは世間と合せなかったって
ことでしょう」
何気なく上原兄弟をフォローする
大城さん、ベニー、ヨダさん。
あんたら最高。
つい最近、映画化したらしい。父親の一郎は「豊川悦司」
母親のさくらは「天海祐希」
こうやって改めてPCに入力してみたけど
そういや「さくらと一郎」っていたなあ。
ネーミングに際し、作者はその辺も
考慮に入れたのかも?
トヨエツはナイスキャスティングかも。
たぶんだけど映画は「西表島」での
生活しか取り上げていないのではないか?
そんな気がする。「中野在住編」を
映画化しても、二郎の父母の過去である
「中核派」と「内ゲバ」を題材にすると
まだまだ生き残りが居るんで、なにかと
差しさわりがありそうだし、なにより
ビジュアル的につまんない。
映画会社が困ることで、自分がそこまで
考えることもないのだけど。
その映画も、都会からはみ出た家族が
痛快で破天荒な父親の元、家族のキズナを
取り戻し、家族ごと成長する。時折、現代社会の
矛盾にちょっと光を当てつつ・・といったセンで
落ち着くのではないか?
よく調べもしないのに
テキトーなことを書いてみた。
監督はテレビ局系がお抱えの「森田芳光」氏。
「家族ゲーム」とか「失楽園」とか。
まあそんな監督。
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「オヤケ・アカハチ」
「パイパティーローマ」
・・伝説の島。波照間のさらに南。秘密の楽園。
八重山の人々すべてが秘密にしているところ。