2007年12月31日

男はつらいよ

今更ながらだけれど
PONも大好きな映画。

男はつらいよ

話もさることながら、
映画としてディフォルメ
されていることをさっぴいても
ホンの30年前の日本各地の生活が
映像として残っている。
日本文化のタイムカプセルだ。

何かで読んだのだが、この映画の
ロケコーディネーター
(カメラマンだったかな?)を
長年勤めた人に言わせると

一般的日本人が郷愁を感じたり、
ふと思い浮かべるところの「ふるさとの風景」って奴を
1980年代にはもう既に、すぐに撮ることは
むつかしくなっていたらしい。

大元凶は「ガードレール」で
これに「ファミレス」「コンビニ」
「ファストフード」といったチェーン店が加担。
日本の風景をどこも画一化=徹底してつまらなく
してしまったのだとか。

以下に忘備録として
寅さんの名口上を転記載するものなり。
年の瀬だし。

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さて、いいかねお客さん! 
角は一流デパート、
赤木屋、黒木屋、白木屋さんで、
紅、白粉つけたお姉ちゃんから
下さい頂だいでいただきますと
5千が6千、7千が8千、1万円はする品物だが、
今日はそれだけ下さいとは言わない! 
いいかいい! ハイ!

 
ならんだ数字がまず一つ 
物のはじまリが一ならば 
国の始まりが大和の国 
島の始まりが淡路島 
泥棒の始まりが石川の五右衛門なら 
助平の始まりがこのオジサンっての、ネ! 
笑っちゃいけないよ 
助平ってわかるんだから目つき見リや。  

続いた数字が二だ、
二冊こうやって負けちゃおう。
兄貴さん寄ってらっしゃいは
吉原のカブ 仁吉が通る東海道 
日光結構東照宮 憎まれ小僧が
出来ないように教育資料の一端として
お負けしましょう! もう一冊。

産で死んだが、三島のお仙、
お仙ばかりか女じゃないよ。
京都は極楽寺坂の門前で
かの有名な小野小町が
三目三晩飲まず食わずに野たれ死んだのが
三十三、とにかく三という数字はあやが悪い 
三・三・六方で引け目が無いというね!
 

どう負かった数字が四つ、四冊目。
四谷赤坂麹町、チャラチャラ流れるお茶の水 
粋な姐ちゃん立ち小便
 
白く咲いたか百合の花 
四角四面は豆腐屋の娘 
色は白いが水臭い 
一度変われば二度変わる 
三度変われば、四度変わる 
淀の川瀬の水車、誰を待つやらくるくると 

ゴホンゴホンと混さんが、口の浜辺でねえ、
あなた、私しゃあなたの妻じゃもの 
妻は妻でも坂妻と来やがった。

続いた数字は六つだ、六だ!
昔武士の位を禄という 
後藤又兵衛が槍一本で六万石、
禄でもない餓鬼が
出来ちゃあいけないというんで
教育資料の一端としてお負けしましょう。
この本、どう!

七冊目 七つ長野の善光寺 
八つ谷中の奥寺で 
竹の柱に茅の屋根 
手鍋さげてもわしゃいとやせぬ、
信州信濃の新そばよりも 
あたしゃあなたの側がいい、
あなた百までわしゃ九十九まで 
共にシラミのたかるまで
って云うやつ。

どうホラ! これで買い手が無かったら 
あたし浅野内匠頭じゃないけど 
腹切ったつもり、
だめか、えー チキショウー。

全くねぇ、今日はしょうがねえ、
貧乏人の行列だ、
まぁ、いいよ。いいっていいって
帰んなさい。みんないなくなっちゃったね。
どうおじいちゃん。

じっと見てるけどお孫さんに
持っていきたいんだろうねこれ。
いくら見てたってだめ 
いくら見てたって買わなきゃ、そうでしょう。
ねえいくら掘っても畑にゃ
はまぐリ出て来ないっていうじゃない 

どとうてえしたもんだよ
蛙のションベン 
見上げたもんだよ屋根屋の褌
って、
ねえ来たまた来た。

どうです。見て頂きましょ。
先程説明しちゃったの。
これだけねぇお安く負けちゃうよ。
なぜこんなに安い品物かというと 
本来ならばこれ輸出する品物ですよ 
アンタなで輸出で出来ないかというと 
はっきり言っちゃおう。

今迄言わなかったんだ、
私が知っている東京は花の都、
神田は六万堂という大きな本屋さんが
僅か百五十万円の税金で
泣きの涙で投げ出した品物

だからこんなに安いんだ。

本来ならば文部省選定、衛生博覧会
ご指定大変な品物だ。
これ、これだけ安く売ちゃおう
英語の本なんか見てごらんなさいこれ。

英語でずーと書いてある。最も解り易いよ、
この英語見てごらん。あたしだって読める。

NHKにマッカーサー、メンソレータムにDDT、
こういう昔の古い英語から出てるんだから
買ってちょうだいよ。どうねえさあー。

えー、ありがとうございます。
じゃ、これ持ってってねえ、
はいはい、どうも有り難うがとうございました。

渥美清の啖呵売り より

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啖呵売(たんかばい)っていうんだそうだ。
これだけの口上はもうひとつの芸だから、
お客さんは売り物にというよりは
いい芸を見せてもらった、といって
お金を出す意味合いが濃い。
当時よりこれほどの啖呵売ができる
売人は少なかったので、そういう人は
よそでも特別待遇を受けたらしい。

だから寅さんはその手の世界
(テキヤ≠ヤクザ)における
エリートセールスマンだったのだ。

映画じゃあ全部は無理だからねぇ。
部分、部分では映画に良く出てくる
フレーズもあります。

この口上を全部理解するには
結構、日本の庶民文化を
理解しないと笑えないな。
かく言う自分も、良くワカラン
物言いが続く。
知っていそうなジイサンも
どんどん亡くなっていっているから。
ラベル:男はつらいよ
posted by PON at 21:00| ☁| Comment(2) | TrackBack(1) | 映画(ア行) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ウマキング様

返事が遅れました。こちらこそ
コメント&TBありがとうございます。

>私の周りには寅さん好きが少ないので、
あらら、そうなんですか。
意外とそうかもしれませんね。
ただ、寅さん好きはデフォルトであって
ことさら公言しないだけなのかもしれませんよ?

>ではでは、今後とも宜しくお願いします。
こちらこそ宜しくお願いいたします。
Posted by PON at 2013年01月16日 12:58
PONさん、
コメント&TBありがとうございます。

私の周りには寅さん好きが少ないので、
このようなつながりは大歓迎です。
「男はつらいよ」に関しては、
週に一本程度、紹介したいと考えております。

ではでは、今後とも宜しくお願いします。
Posted by ウマキング at 2012年12月21日 15:31
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