2008年02月29日

「ぼくらの alternative 第二巻」

4年に一度のうるう日ですなぁ。
今度うるう年を迎えるとき
自分は40を越えていると思います。
確実に。ふう。

************************

著:大樹連司  
原作・イラスト:鬼頭莫宏
小学館 ガガガ文庫収蔵 
月刊IKKI連載作品。

この話は主人公が順番に回ってくる。
ロボット=人形のパイロットになるたび
そいつが主人公になるわけで。
第二巻では主に「チズ」「ワク」「キリエ」の
話になります。

あらすぢ
第5章 ワク :一見、いちばん主人公栄えしているが
第6章 チズ :げげ・・
第7章 キリエ:出来すぎ中学生

「ぼくらの」が凄いのは、ロボット=人形が
作品の表題でないこと。「エヴァンゲリオン」とか
「アクセリオン」etc・・。
ロボットは最後までメインではないんですな。
多分にネタばれになってしまいますが、
「カンオケ」にカッコイイネーミングなんか不要
ってことでしょうかね。

この巻において、戦いはもはや子供達だけで行う
モノではなくなり、最後にはやはり嗅ぎつけてきた
日本政府と日本防衛軍が全面介入してきます。
(一回の戦いで死者が12000人を越えてしまえば
 さすがにどんな国家でも動かないわけにはいかない)

突然、子供たちだけの戦いへ介入してくる
軍人達だったが、そのうちの一人がポロっともらす。
「私たちは― 私たち大人は、君たちにとって、
 そんなに信用できない人間だったろうか」

作者の本気度はともかく、どんな社会にも
「一応まともな大人」も存在するんだよ・・
というポーズの意味も込めてなのか。
唐突な台詞ではありますが
主人公たちの世代からすれば間違いなく
大人であるはずのPONからしても
嬉しいセリフです。

「人形」を調査(あわよくば自国の軍事力
向上に利用)しようと申しでた軍人に対し、
解析したけりゃ止めないが無駄なことだ
と、ゲーム支配人「コエムシ」は
言い切ります。

「そこのあなた、ここでひとつ問題ですけどね
 原始人にノートパソコンを与えたら
 どうなりますか?
 原始時代に情報技術革命が起こりますか?
 ・・せいぜいカドで殴ると痛いステキな箱
 思うんじゃないですか?
 そういうことですよ」

子供達の「人形」(推定全高500メートル)を
調査する日本国だったが、日本の敵性国家が
偵察やいやがらせを繰り返してきて・・

軍人「こんなことなら、洋上じゃなくて
   ジオフロントで調査すれば良かったね」
子供「なんですか、それ?」
軍人「知らない?首都の地下にある巨大秘密基地のこと」
子供「そんなのあるんですか?」
軍人「いや・・ない・・ごめん忘れてくれ」

ジオフロントという言葉はアニメ作品独自の言葉
ではもちろんないのですが、こういう遊びは
やはり嬉しいですね。
(実はホントに布石なのかもしれんけど)

2巻より、田中美純一等空尉
(40歳代の子持ちウェーブ:女性軍人)
が物語に絡んでくるが、このキャラは
エヴァンゲリオンの「ミサトさん」を
当然意識していると思われる。
ある程度きれいで、母性を持ち
かつまだ女性を捨てていない存在。

前にも書いたけれども、この物語は
庵野監督に途中で投げだされ未完成に
なってしまったがために名作扱いされた
「エヴァンゲリオン」を夢中で見た
いちファンが、俺ならここまで面白く作れる!と
ばかりに焼きなおした物語だな。

ラノベとは、比較的、社会の光が
あたりにくい分野であるが、であるからこそ、
本当に好きなものだけを、人目をはばからず
好きに作品化にできるジャンルなのかもしれない。
だからこそ、「大化けする」作品が
でる可能性が高い。

たかだか「巨大ロボット」の物語を、
ここまで昇華してしまうものかね?と
素直に感心しております。

マジンガーZで済んでいた頃は
無邪気だったなあ。
兜甲児くんはホント幸せ者だ。
(碇シンジ君すら実は幸せ者かもしれない。
 この小説の主人公たちの立場に比べたら・・)



まだ続きます。
(3巻以降、読み終わり次第、書きます)

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posted by PON at 21:00| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書(SF) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>北斗様

>原作(コミック)だと真っ先に
>決まったんですがね。
>あえてズラしたっぽいです。
ほうほう。なんかこの小説の全体の印象として
原作に忠実に「ズラしている」感じがしました。
しかしながらその原作は読んでいないわけ
ですがw、常に原作やアニメではこんな風に
処理したんじゃないの?とあたりをつけながら
読んだものです。

>僕の代わりがいないなら
>普通に流れてたあの日常を
>この手で終わらせたくなる
>何も悪いことじゃない

ちなみにインストールの作者は
「芥川〜萌え〜賞」の、りさタンだったな。
確か。
Posted by PON at 2008年04月01日 12:54
>「カンオケ」にカッコイイネーミングなんか不要
>ってことでしょうかね。

原作(コミック)だと真っ先に決まったんですがね。
あえてズラしたっぽいです。

>マジンガーZで済んでいた頃は無邪気だったなあ。
>兜甲児くんはホント幸せ者だ。
>(碇シンジ君すら実は幸せ者かもしれない。
> この小説の主人公たちの立場に比べたら・・)

敵を倒す事だけ考えれば良かった主人公。
なんのかんの言いながら、敵は一応人類の敵であった主人公。
それに較べれば・・・・・。

OP曲「アンインストール」の2番。

僕の代わりがいないなら
普通に流れてたあの日常を
この手で終わらせたくなる
何も悪いことじゃない
Posted by 北斗 at 2008年03月21日 00:41
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