2008年06月08日

「落下する夕方」江國香織

「落下する夕方」 

江國香織著 角川文庫

「アウトニア王国」の独立戦争と帝国の内紛が
一息ついたので(「王国奮戦記」→「王国再興記」)
嫁が勧める小説を読むことにした。
宇宙巡航艦がどーの、帝国がどうしただの
ばっかり読んでいないで、タマにはこういう小説も
読んで「男女間の機微」ってものを少しは学びなさいっ
てことなんだろーか。

ふん、馬鹿にするでないよ。こんなワタクシも
なにを間違えたか、江國香織さんの作品を
読んだことがあるのです。あれは嫁さんと結婚する
結構前。「冷静と情熱のあいだ」赤版、青版。
「世界の真ん中で愛を叫ぶ」みたいな
メディアミックス系盛り上がり方で、当時、映画化も
した気がする。

話の内容は・・うーーーんと、よく覚えていません。
別れた恋人同士が、いろいろ有ったけど最後は
イタリアのどこかの都市の教会の屋根で奇跡的に?
再会する話だったような??あと、男の方は
イタリアで修行中の美術品の修復者だったかな。
それから映画のヒロインは中山美穂さんだったかな。
うん。
ま、そんな程度です。

この小説が面白かったのは「冷静〜」の青版を作家
「辻 仁成」氏が、赤版を「江國香織」さんが書いていて、
青版は男性側から描かれ、赤版は女性側から
描かれていた点。(逆だったら、つまり男性作家が
女性を、女性作家が男性視点で書いていたら、
それはそれで別の展開が期待できそうだけれど)

例えば、青版の主人公である男性。別れた女が
どうにも気になって数年ぶりに思い切って日本に
かけてみるけど留守電になっている。思い切って
吹き込もうとするが、やめて電話を切る男。
それを赤版から読むと、失恋の痛みからようやく
順調に回り始めた女性が、日々の生活のなかで、
たまたま電話に出られなかった日になる。
見慣れない番号なんでリダイヤルもしない。
読者からすれば神の視点で二人のチャンスロスが
解るわけ。

作家が打ち合わせをまめにしながら
(あるいは双方の担当者が頑張った?)
小説を書きあげたんだろうな・・と、当時は
その発想の驚いた記憶がある。

さて、本題は「落下する夕方」でしたね。

あらすぢ
梨果と8年一緒だった健吾が家を出た。
それと入れかわるように押しかけてきた
健吾の新しい恋人・華子と暮らすはめに
なった梨果は、彼女の不思議な魅力に
取りつかれていく。
逃げることも、攻めることもできない
奇妙な三角関係。そして愛しきることも、
憎みきることもできないひとたち・・・。
永遠に続く日常を温かで切ない感性が
描いた、恋愛小説の新しい波。

先日、読み終わりました。
だから何?とかそれでどうなったの?というよりも
透かし彫りっていうか、行と行の間の「空気」を楽しむ
小説ですね。

そういえば金八先生の名言だかで
「空気は読むものではない、吸うものだ」
って最近の若者のこずるい風潮を叩いていました。
なるほどね。PONもそう思います。

ちなみに、この不可思議なヒロイン「華子」を
映画では菅野美穂さんが演じているそうで。
ふーーん。なんだかな。ちょっとイメージが違う気も。

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posted by PON at 21:00| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書(他) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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