アルバイトに至るまで、この映画を
研修題材として観ていただいてはいかが?
伊丹監督の奥さんへの愛がわかる。
決して若くもなければ美人女優でもない
宮本信子さんが
とてもチャーミングに撮られているのだ。
<あらすぢ>
スーパー“正直屋”の専務・小林五郎は、ライバルの
“安売り大魔王"が価格破壊の激安キャンペーンを
開始したと知って早速調査に出向いたが、そこで
偶然、幼なじみの井上花子と再会する。五郎は、
スーパーの内情にやたらと詳しい花子が次々に
安売り大魔王の激安トリックを見破ったことから、
正直屋を立て直すために彼女にレジ主任として
働いてもらうことにした。
「いいスーパーには主婦を興奮させるドラマがある」
と、花子は正直屋の改善に乗り出したが、現実は
厳しかった。
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スーパー業界に限らず、
ただなんとなく自分は大丈夫だろ?位に
根拠なく社会を信じることが出来ていたあのころ
この映画が製作されたのはそんな時代。
先見の明ありすぎな映画でありますな。
この映画の後、
豚インフルエンザ、鳥インフルエンザ
ヤコブ病に、産地偽装、期限偽装・・
中国産農薬入り餃子、韓国ゴミ入りキムチ
どこぞの料亭のボソボソママのような
「食材使い回し」、ミートホープに
レバ刺し騒ぎ・・
そして「風評被害の名の下の実害」等々
食に関する問題は
もはやすっかりお馴染みであります。
結局、日本だけは、自分のだけは
ダイジョウブに違いない、では全然なくって
どの社会でも、見えないところでは
やり放題だったということが
結果的にバレてしまいました。
ただ、我々が知らなかっただけで。
そんな社会の裏を知るようになった今となっては、
この映画の舞台、スーパー“正直屋”の手口など
かなりカワイイ部類に入ってしまう。
映画に出てくる話なぞ、序の口というか
もうその手は古いよ、なんて事情通が
したり顔で言いそうだけども
とにかく、やろうと思えば出来てしまう
流通の舞台裏。不正の数々。
その手口が面白おかしく描写されています。
古い肉の再加工
売れ残りのリパック、消費期限修正
高い値段を付けて値引き感を煽り
余計な肉を混ぜ、産地偽装、
お惣菜は、スーパー各所で転用できなくなった
売れ残り商品で作る・・。
スーパーからしてみれば
生き残るため、すべて当たり前の行為。
生活の知恵ともいえ、そんな商慣習に
ずっぷし浸かっているスーパー“正直屋”
ヤンチャな女ガキ大将だったらしい
井上花子(演:宮本信子)と
今でこそ地方スーパーの経営者として
偉そうにしているが、実はケチで小心でスケベな
小林五郎(演:津川雅彦)は小学校時代の同級生。
二人の掛け合いが面白い。
なにしろこの井上花子。
主婦の知恵を身をもって習得しているバツイチ。
相手もガキの時分はさんざんイジメテた
五郎なんで、なんら怖いものがない。
「馬鹿だな〜、頭使えよ」
主婦目線から、思うところをそのまま
ズバリと提言する花子。
嫌われたり、ウザがられたら辞めればいいだけのこと。
金に困っているわけじゃないし、
行動パターンはとてもシンプル。
主婦からすれば当たり前の花子の提言が
図にあたり、五郎専務は大喜び。
彼女を主任に昇格させ、
ちょうど奥さんを亡くしたばかりで
寂しかったこともあり、ベッドに誘う。
「それじゃぁアタシは単に専務の女じゃないか
専務の女が仕切っても誰もついてこないんだよ」
話も終盤。
生活に根付いたスーパー業界を描いた
映画だというのに、カーチェイスまで飛び出し。
(そんなサービス精神いらないのでは?伊丹カントク)
しかも運転手がアフロじゃない頭の蛾次郎氏。
最近の自分は
放射能汚染の危険のある食材と
悪意のある国からの食材と
ただひたすら儲けのための国の食材と
どれがモットモ、リスクが少ないのかとか
マジ考えてしまう。
今やニッポンは、この映画が作られた時代の
はるかナナメ上を突っ走っている。
やれやれ。
キャスト(役名)
宮本信子 (井上花子)
津川雅彦 (小林五郎)
矢野宣 (正直屋店長)
六平直政 (精肉部チーフ)
高橋長英 (鮮魚部チーフ)
三宅裕司 (青果部チーフ)
あき竹城 (惣菜部チーフ)
伊東四朗 (安売り大魔王社長)
松本明子 (レジ)
金田龍之介 (五郎の兄・一郎)
小堺一機 (販促部員)
柳沢慎吾 (精肉部助手)
金萬福 (精肉部助手)
伊集院光 (鮮魚部助手)
原日出子 (パートさん)
野際陽子 (お客さま)
迫文代 (お客さま)
田嶋陽子 (お客さま)
柴田理恵 (お客さま)
ヨネスケ (安売り大魔王店長)
渡辺正行 (店員)
岡本信人 (おにぎり屋の社長)
不破万作 (屑肉業者)
佐藤蛾次郎 (運転手)
奥村公延 (漁港のおじさん)
あご勇 (青果部)
スタッフ
監督 伊丹十三
脚本 伊丹十三
撮影 前田米造
音楽 本多俊之
助監督 中嶋竹彦
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