2017年09月24日

「生存者ゼロ」「夏の災厄」

「生存者ゼロ」「夏の災厄」

どちらもパンデミック
(伝染病が爆発的に広がること)
パニック小説・・のような風体をしている。

PONは過去に「感染列島」とか
ちょっと毛色は違うけど
(角川ホラー文庫だし)「感染
なんて本も読んだ。

映画だと、ダスティンホフマンが
頑張りすぎな「アウトブレイク」とか
ペッパーボッツがビッチだったため
世界が危機に陥った
コンディイジョン」とか

結構、好きなんだな、パンデミックモノ。
日常が足元から崩壊する話。
もちろん、日常では絶対に
起きて欲しくないけど。

そういえば小学生のころ
復活の日」を観ちゃったからかも
しれない。
アレの英題は「Virus」だった。
まんまだ。

とにかくウイルスとか細菌とかが怖い。
怖すぎである。

自分もうんざりするくらい共感が持てる
日本の地方都市での日常生活。

その日常が、徐々に崩れ始める。

もう少ししっかりお願いしたい。
頼むよ、人類の砦。
WHOとか厚生省とか
地域保険医療センターとか
保健所とか。大学病院とか。

・・あと産廃業者もしっかりして下さい。

生存者ゼロ」安生 正 著

ネタバレあり。
秋田にある海底油田みたいなところで
ある日、連絡が途絶えた。
駆けつけた自衛隊レンジャー隊員が
そこで目にしたものは・・
って話。

目にしたものは・・血だらけになって
死んでいる職員達。
原因不明のまま手をこまねくうち
今度は北海道のある町でも
油田と同じ惨劇が起こってしまった。
町はまるごと全滅。
「生存者ゼロ」の題は伊達じゃない。

さまざまなミスリードの要因が
出てきてですねぇ、原因究明に向かって
引っ張ること引っ張ること。
主人公も政府も、そして読者も、
致死率100%という
とんでもない伝染病が相手
・・だと思っていたら、

書いちゃっていいですかね?

結局、自分が読んでいた小説は
怪獣ものジャンルだったという。
へ?という感じのラストでした。

夏の災厄」 篠田節子 著
この人の作品では
「ハルモニア」とか「斎藤家の核弾頭」とか
読んだことがある記憶が。

個人的に思うのは、この作者の文って
描写がくどくて読みにくい。
特に作者の門外漢な部分
(この小説でいえば医学的な描写やセリフ)
などは執筆協力者の話した内容を
まったく咀嚼せずにそのまま自分の
小説としているような。それでいて
切り貼りが雑なんで、なめらかに
一体化していない。

読者を驚かせようと
一生懸命ぶっ飛ぼうとしているのに
なんか尻すぼみに終わる。
前に読んだ「ハルモニア」とか
「斉藤一家の核弾頭」とかも
そんな感じだった

特にネタバレになっちゃうけど
ある種の陸上巻貝(カタツムリ)が
今回のウィルス感染に関係があるんだけど
自分、ネットのフシギサイトで
このウイルスに操られたカタツムリの話
知っていたから、話を散々引っ張って
どうだ〜知らなかったろ?
ウイルスって怖いだろ?とか
ドヤ顔で種明かしをされてもね。

主人公格の「小西」が
若い小心者の役所の職員で
普通、少しは見所があったり
物語を通して成長したりするもんだが
最後まで全然ダメ野郎だったのが
ウソがなくってよかった。

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2012年02月04日

「自由殺人」大石圭

自由殺人 大石圭 角川ホラー文庫

久々の「大石」先生作品。
相変わらず文章が読みやすく、爆発シーンとか
人が死ぬ描写とか、客観的なモノの書き方は
ピカイチだと思う。
もし自分が小説家目指す気だったら
あの乾いた描写は、大いに参考にするな。

―「隣人愛」という言葉は、この日に死んだ。

あらすぢ
ある日、突然、殺人を選択する自由があなたに
与えられたら、どうしますか?謎の人物から
送られてきた爆弾。それを手に入れた人物たちは、
エゴと怨念を剥き出しにしていく。
元マラソンランナーの朝香葉子もまた、爆弾を
受け取った一人だった。しかし、彼女は何の
ためらいもなく爆弾を警察に届ける。犯人は
そんな葉子に、あるゲームを持ち掛けてきた。
人間の業を深く、そして鋭く描いたホラーの新境地。

***********************

―殺人の道具が高度になればなるほど、
 人を殺すということの実感は薄らいでゆく。


爆弾は13個。どちらかといえば、社会の底辺層で
生活しているが、犯罪に奔るほどではなく、ひとまずは
普通に暮らしている・・という、
いまの日本にありえそうな人々に配られる。
現状に汲々としている人間が
急に「力」を手にしたとき、人はどういった行動に出るか?

残念だったのが一点だけ。

太平洋戦争で地獄の戦場を生き抜いた老人が
自分だけが生き残った、という忸怩たる思いの中
自サイトに、自己の経験をすべてアップしてゆくのだが
彼の戦記に、違和感を覚えてしまった。
それはもう、なんども読み返してしまうくらいに。

「宙の一点に静止したヘリが壕からでた
 日本兵を狙い撃ちにし・・」
ヘリが辺りをまんべんなく機銃掃射し・・」

あれ?このじいさんの戦場はベトナムか?
ここのヘリって「縁(へり)」のことじゃなくって
やっぱりヘリコプターだよなあ。
太平洋戦争時に「ヘリコプター」は実戦参加していないはず。

あるいは、このじいさんの記憶力が
本人の悲愴な思いとは裏腹に、
かなりイイカゲンなものになってきている、という
ボケの描写だとか??

どうもPONにはワザとには思えない。
おそらく大石圭さんの穴なんだろう。
作者はミリタリー方面について
それほどご存じないのではなかろうか。

―この国は果たして守るに値する国なんだろうか?

かつて、この国を守るために多くの若者が無意味に死に、
いまの世代はその国で無意味に生きている。
そのやるせなさが小説のテーマであるのにちょっと残念。

だとしても、話の面白さは損なわれないけれど。

―人々は素知らぬ顔をして隣に潜む
  恐ろしく凶暴な悪意を見た。


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2011年12月05日

「夜市」(よるいち)恒川 光太郎

「夜市」 恒川 光太郎 (著)

久々の角川ホラー文庫。
作品の収蔵先を間違えている気が。
文春や新潮文庫とは言わないけども
もう少し一般的なところからの出版だったら
目にする読者も増えたかも。

夜市.jpg

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から
「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて
出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を
売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。
夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに
夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに
「野球の才能」を買ったのだという。野球部の
ヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、
弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。
そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたと
いうのだが―。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。

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正直、薄いし短編2作だしで敬遠していたんですけど。
薄いのはともかく、短編と短編集ってキライなんです。
ようやく興に乗ってきた・・さてってところで
終わってしまうから。
折角、人物配置や世界観をマスターしたならば
少しでも長く、読んでいたいのですね、自分の場合。

第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
大賞受賞は伊達じゃない。
確かに「ホラー」なのかも知れないけど
ホラー?嫌い!で敬遠するとソンするかも。
伝奇ファンタジーぽい文学作品。

以下は、伝わるヒトにだけ伝わればいいんだけど
TVアニメ、うる星やつらの後半作品群に
ちょっとフレーバーが似ている。
(かかしの三四郎さんとか、子キツネが絡む話)

あるいは、トトロや「千と千尋」の世界観。
神々とか夜の住人が闊歩する「異世界」ってやつは
人間ばかりが幅をきかす「現世」とは別に厳然と存在し
どこかにぽっかりと開いている入口が
迷い込んでくる人々を待っている。

行かなくてすむなら、行かないほうがいい。
知らないですむなら、知らないほうがいい世界。

それとこの作者の文章表現は素敵だ。
ふしぎな空気を帯びた叙景的な作品なんだけど
叙景的にしては使っている言葉が平易で読みやすい。

特にムツカシイ言葉を使いこなさなくっても
あれだけの空気感(セピアで無音で乾燥した)
が出せるのだな。言葉で身を立てようとする人たちって
やっぱ凄いわ〜。

文庫のための書き下ろし作品も同時収録。
風の古道(こどう)」
こちらも思いのほかイケル。っつーかむしろ
ボリューム的にもこっちのほうがメインディッシュ
のような。

「森の奥で 生まれた風が
 原っぱにひとり立つ 楡の木
 フワリ かすめ やって来た
 あれは 風のとおり道〜」(これはトトロですが)

作者は「永久放浪者」って言葉が好きみたい。
どちらの作品にも出てきます。



いずれにしても、この人の作品は
映画とかドラマ化したら魅力半減ですの。
(かえってアニメ化の方がいいかもしれない)

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2011年12月03日

「レフトハンド」中井 拓志

レフトハンド (角川ホラー文庫)
中井 拓志 (著)

この人の作品では同じ角川ホラー文庫の
サイコホラー「アリス」を読んだ事がある。
あれも分量がむやみに多いうえ、登場キャラも
感情移入しにくいヤツラが多く、最後のほうは
ウンザリしたキオクがあるんだけど、さて。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
製薬会社テルンジャパンの埼玉県研究所・三号棟で
ウィルス漏洩事件が発生した。漏れだしたのは
通称レフトハンド・ウィルス、LHVと呼ばれる
全く未知のウィルスで致死率は100%。
しかし、なぜ三号棟がこのウィルスを扱って
いたのかなど、確かなことはなにひとつわからない。
漏洩事故の直後、主任を務めていた
研究者・影山智博が三号棟を乗っ取った。
彼は研究活動の続行を要請、受け入れられなければ
ウィルスを外へ垂れ流すと脅かす…。
第4回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。

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・・これ何の冗談?そんな小説。
読後感が悪いのに、作者は「海」でムリヤリまとめ
あとは巴投げで放り出したような
不思議な作品。
思い入れのできる登場人物がほとんどいないし。
とても人には勧められない。

ウィルスが発生する経緯や、彼らの生態が
細かく記されているのは面白かったけれども
副所長との余計なののしり合い、とか
大学時代の研究仲間で、事態に巻き込まれて
しまう女性研究員(城之内)に関する描写など
かしこに余計な描写があって、無闇に
長くなってしまったように思える。
そんな描写を読み進める間に感じるウンザリ感が
そのままこの世界観につながっており
・・それがこの作品の持ち味なのかもしれない。

以下、ネタバレ。

レフトハンドってご存知、左手ですけど
ウイルスに感染すると、左手だけ別の生き物
として本体から離脱。本人は死亡するという・・
えらく迷惑なウイルスが元凶。
何故左手?といわれても困りますが。

実験体にされた女の子に
なんとか同情できたのは救いだった。
それと最後のほうに出てくる、女王と化した女の子に
得体の知れない「肉」を献上しにやってくる
「働きアリ」ならぬ「働きレフトハンド」や、
宮殿を守る「ロイヤルガードレフトハンド」には
ちょっと同情心もわいてくる。

最後、レフトハンド軍団は筋肉の脳みそで
自衛隊相手に戦いを挑んだわけで
結局、焦土作戦を行なったのかな?
ラインハルトみたい。
そのワリには宮殿まで攻められてますが。
脳みそ筋肉だなやっぱ。



主人公格の男(津川)
カンブリア、カンブリアって連呼しすぎ。
人が死んでんだよ?たくさん、ねえブライトさん。
それでいいの?
うるさすぎ。カンブリア。

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2011年11月27日

「バイオハザードアンブレラ・クロニクルズSIDE A」

バイオハザード アンブレラ・クロニクルズ SIDE A
(角川ホラー文庫) 牧野 修 (著) ¥580

ま、100円だったんでね。上下。
ゲームをとおりいっぺんクリアしたくらいでは
理解出来ない裏設定とかが解ればいいと思って。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
黄道特急の中でゾンビ化した乗客に襲われる
レベッカとビリー。洋館で命がけの戦いをした
クリスとジル。それに続くラクーン市の壊滅。
これらの事件には、すべて巨大企業アンブレラ社が
関わっていた。そして裏で暗躍する男、
アルバート・ウェスカー。生物をゾンビ化させる
ウィルスと、ウィルス全滅をかけた人類との
知られざる戦いのすべてと謎が、今明かされる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
牧野 修
1958年大阪府生まれ。大学卒業後、雑貨屋主人、
コピーライターなど様々な職業を経験。
99年『スイート・リトル・ベイビー』で
第6回日本ホラー小説大賞長編賞佳作

************************

あのメンドクサイゲームをやらなくっても
バイオハザード0、1、2、3あたりを
追体験できる。
(ハンクも出てくる!豆腐の出番はさすがないけれど)
利点はそれくらい。

牧野センセイ・・なんてやっつけ仕事なんだろう。

一冊5ミリくらいしかない。
こんなの上下巻にしなよ。角川もさ。
それに一冊580円で販売。
まったくもってヒデエ会社だ。
というかゲームファンがなめられているんだ。
一般人は買わないだろうし、コアなファンなら
買うだろう・・と。



バイオハザードアンブレラ・クロニクルズ SIDE B
(角川ホラー文庫 (H66-12)) 牧野 修 (著) ¥580

んでこっちが下巻。・・これもつまんね。
ゲームのキャラの行動(ゲームシナリオ)を
ただそのまま書き下しただけだもの。
牧野さん、こんな仕事で一応小説家名のって
ギャラもらえる訳?

<あらすぢ>
内容(「BOOK」データベースより)
製薬企業、アンブレラ社の陰謀により死人が
ゾンビ化する世界。ラクーン市壊滅後、新たな
陰謀が、アンブレラのロシア工場にて計画
されていた。アンブレラ社の計画、
アルバート・ウェスカーの行動、すべての
思惑がひとつにつながる。黄道特急から始まった
バイオハザードのすべての事件が、今ここに
終結する。カプコンが世界に誇る人気ゲームの
ノベライズついに完結。

************************

ゲームをやったことのある人間なら
ああ、このシーンはバイオ2のあの工場での
エイダとの別れだな・・とか
たしかにゲーム上ではここにケルベロス(ゾンビ犬)が
配置されていたなあ、とか
意味もなく海洋生物ゾンビ(ネプチューン・・ゾンビ鮫)
が泳いでいて・・これまたたまたま水槽が壊れていて、とか
ゲーム攻略手順にひじょーに忠実ではあったけれど。

ゲームをやったこと無い人には、ほぼ拷問に近い本。
とても小説とも呼べない。

久々にバイオでもプレイしてその世界観を追憶したいけど
時間も無いし、ただ攻略本読むのもなあ・・って
キトクな人が仮に、仮にいらっしゃれば、そんな方には
よろしいかも。



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2011年11月26日

「水霊」(みずち) 田中 啓文

水霊(みずち) ミズチ (角川ホラー文庫)
田中 啓文 (著)

某古本屋100均コーナーにて採用。
厚いよ。3センチ近くあるんじゃないかな。
著者の田中啓文氏といえば
以前に「蝿の王」(おなじく角川ホラー文庫)で
PONに強烈な印象を残した作家。
厚みもあることだし読みごたえはありそう。
んで・・。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
『平成日本の百名水』神社の遺跡から
湧き出た水を商品化する、過疎村の村興し事業の
目玉企画だった。ところが、その計画に携わる者が、
人間離れした食欲をしめした後、痩せ衰えて
死亡する怪事件が発生する。湧き水と事件の
関連性を指摘する民俗学者・杜川己一郎は、
遺跡の学術調査を進めるに従い、疑念を確証へと
近づけていくのだった。―現代文明の危機に
警鐘を鳴らすフォークロア。その想像を絶する、
真の意味を紐解く驚天動地のホラー大作。

************************

面白かった。次はどうなるんだろう、っつーか
どうやって落とし前つける気なんだ?この作者は!と
グイグイ読ませてしまう筆圧ならぬ筆力がある。

ネットで探ってみたんだけど、本来この作者は
ダジャレが好きで、小説もすちゃらか系(←要する
に軽めってことらしい)が持ち味らしいんだけど
「蝿の王」にしても、この「水霊」にしても
そりゃ設定そのものはむちゃくちゃで
コートームケーではあるが結構マジメに書いてあった。
自分もいずれ、彼の本性がわかる小説にブチ当たる
時が来るのだろうか。別にこなくてもいいけど。

敬愛する星野宣之さんのマンガで、大学教授が
古代の謎に迫る「宗像教授伝奇考」
てのがあるんですが
インテリが未知の世界に挑むには、主人公が
それなりの戦闘力を備え(あるいは助手周囲に
強い奴がいる)かつ、ちっとやそっとじゃ動じない
「胆力」を持っていないと、作者も話を動かすのに
苦労する・・ていうのはよーく判った。
インディージョーンズしかり、
マスターキートンしかり。

というのもこの主人公。相当ヒドイ奴。
出だしは結構期待したんだけど〜。
戦闘力は仕方ないとしても知識力はさすが。
学者として、物事にシロクロつけるには
呪いだとかあいまいなものではなく、
なにか因果関係があるはずなんだ・・
とかなんとかいっては、色んな場面で
ウジウジしているし。
相方になるオカルト雑誌編集員のほうが
まだマトモだった。

なによりビックリしたのは、主人公(←実はロリ)
はキーパーソンである女子中学生を、現場に連れ出す。
そこで事件が発生、女子中学生は発狂して失踪。
ところが急用ができた彼は、次の瞬間、飛行機で羽田へ。
「あの女の子、急にどっかいっちゃったけど、
 奴(←オカルト編集員)も宮崎に残っている
 ようだし、大丈夫だろ・・いろいろあって疲れた
と言って機内で寝てしまうのだ。

大丈夫じゃないだろ!おい。

探せよ!そこは。人として。

あれでは「先生に生きていて欲しいからそうするの」
とか、いじらしい言葉を残して昇天した
女子中学生が、まったくもって浮かばれない。

この他にも、すました顔の主人公の呆れた過去とか
編集者とのあわや仲間割れ、とか
突然現れる義弟の外科医とか。
ひたすら古代文字を解読する19歳の在野研究家とかとか。
(それも登場人物があらかた事件を経験したあとに
 スバラシすぎるタイミングで解読に成功する始末!)
ようやく仲間?になった役所の生き残りにしても
こっちは火急だから連絡してんのに
眠いから明日にしてください」はないだろ?
村長一味の異様さを見ていなかったのかよw
まともでない人たちばかり。
人間味があるといえば、人間味があるのだけど。

主人公には生意気に?フィアンセがいるんだが
嫁き遅れで焦っている女性の、イタイ、痛すぎる行動
(仕事と私とどっちが大事?のアレ)と
主人公をいじめるタイミング真に迫っていた。

グロ描写は「エイリアン」ライク。
「蝿の王」にもあった田中啓文節
「ネトネト、ぐちゃぐちゃ、ネチャ、ビチャ」は健在。
悪の陣営の目的は結局「ショッカー」だったし。
その上、萌え(ロリ)要素まで。
終わりかたも「お約束」どおりの「END?」
とにかくもお、盛りだくさん。
んで最後は、ドリフのコントでいうところの
エンディングテーマで〆でした。
(YOUTUBEにある「〜で人類滅亡」シリーズの
 動画のような
 「でーーーん、ちゃかちゃちゃんちゃかちゃんちゃ・・
 のアレです)

それにしてもなにやってんだか。
代々「黄泉醜女」を封印してきた宗家のばあさん。
神代文字なんかで書くなよ。大事なことだろーよ。
「お役目」のノウハウを伝承することは。

ま、以上の様にツッコミどころ満載なんだけども
いろんな参考文献から引っ張り出している割には
事実と虚構の差があまり感じられず、
また文体もうまくまとまっていて切り貼り感もなく
いや〜久しぶりにおバカ小説を堪能いたしました。

・理由はなんであれ夫婦喧嘩はロクなことにならない。
・生水は沸かしてから飲みましょう。

この小説から言える事はそんなとこかな。

あ、あと「古事記」「日本書紀」とか「神道」について
いざというときに人並みくらいは
俺も知っておかないと・・という気になってきました。
なんだそりゃ。



映画化もしたようだが原作の劣化版で
コピーですらないらしい。

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完全ネタバレ
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2011年10月19日

「川を覆う闇」桐生祐狩

「川を覆う闇 著:桐生祐狩」角川ホラー文庫

角川ホラー作品も気がつけば何作くらい
読んでんのかなあ。
最初は「パラサイトイブ」か「リング」
シリーズあたりから入ったと思うが。

コレも角川ホラー。作者に見覚えが・・
あの斬新で独特な世界観をPONに
見せつけてくれた「夏の滴」の作者じゃないですか。
たしか・・村興し(金儲け)のために
子供らを「木人」に変化させ、一種の漢方薬
としてネットで販売する大人たちの話ですよ?
子供達も子供達で大人顔負けの
陰湿な足の引っ張り合いしているし。
いったいナニそれ?ですや。んで・・。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
警備会社に勤める土岐は、副都心に程近い
マンションから失踪したある女性を捜すよう
依頼を受けた。女性の部屋を訪れた土岐は、
腐乱したゴミが堆積し、想像を絶する悪臭を
放つさまに驚愕する。次第に土岐の周りに
出現し始める汚穢に満ちた空間。
そして中世ヨーロッパで清潔の追求を
基本理念としながら、迫害によって消滅
していた宗教、ドゥーゼ派の復活を目論む
怪しげな組織。現代人の潔癖信仰を揺るがす、
驚天動地の長編ナスティ・ホラー。

************************

・・・あ、アホな小説。
豊富な文章力、作家とのしての力量を
全力で無駄使いして作品化したうえで
そんなジブンを大いに楽しんでいる。
つまらない、というワケではないけれど。
ナスティって英語では「悪趣味」とか
「吐き気がするような」の意で、俗には
「やるじゃん!」「すげーよ」という意味も
あるらしい・・が。

角川ホラー文庫収蔵。
ホラーじゃなくって・・うーん。
ホラ吹き文庫?そんな感じでおk。

二元論、人間の幸せとか救いとか
ハナから置いてきぼり、
勢力争いだけのために戦う神たち。
聖書だとかなら、善と悪の戦いだったりします。
神対神の構図のなかでは、
けっきょく右往左往するしかない人間。

この話では、ネタバレしますと
「うんこ VS デオドラント剤」
の戦いなのです。いやホント。

もっと神々しい、もっと壮大な叙事詩として
展開できるハズなのに、なんでまた
ああいう方向に行くかなあ(笑)
浄神 VS 不浄神・・

不浄神に目を付けられてしまった東京近郊の町が
(たぶん荻窪とかそんなあたりだと思う)
意味も無く壊滅する。
世界穢(せかいえ)とかいって、要は
我々が想像できるキタナイものってありますよね
ウ×コ、ゲ口、ゴキ×リ、生ゴミ、ウジ、
ネズミの死骸、腐った水
etc・・書いていて嫌になるけど
そういった類のものが次々と出てきては、
渾然融合一体化。
キレイ好き世の中に逆襲を開始するのだ。

掃除といっても、ヨゴレがさっぱり消えるワケも無く
A地点のヨゴレがB地点に移動するだけののこと。
均一だった汚れが、掃除をすることで清潔な場所ができる
反面、いずこかに濃度がこくなった「汚れ」が蓄積される。

極端なキレイ好きはキタナイのと一緒。
と、作者(作中のキャラ)は言うのである。
えーー?でもなあ。

さらに言うなら、汚れとは生命活動の結果。
世界穢こそは「生命のスープ」なのだ!とか
聞こえはいいけども、とにかくヒドイ世界観。
エヴァンゲリオンはLCLの海に世界が飲まれて
同化してしまったけど、ここでは全てが
「ドロドロになったゴミの海」に一体化するという・・。

世界穢とは世界中の「ヨゴレ」のかたまりなんだけど
ヒロインが世界穢と同化してしまい、主人公の土岐と
再会するシーンがある。

映画アビスでは、水の壁に人間の頭が立体的に
浮き出てくるシーンがある(当時はCGの進歩を感じた)
あえて書くが、この小説には、ウンコやらゲロやらの
滝壁に、ヒロインが浮き出てくるシーンがある。

 いかなファンタジー、いやSFでもゴシック小説でも
 よもやこんな現れ方をする女性など
 最も悪趣味で偏屈な書き手ですら発想しないであろう。

と、作者も小説内で自虐する始末だ。あーあ。



先に書いたけども、作者のデビュー作「夏の滴」は
この作品は後日談に相当する作品であるらしい。
自分も「あとがき」で知ったのですが。

あれに出てきた、馬鹿ガキの壮絶なイジメに耐える
裏のヒロイン「八重垣 潤」が転生した姿。
ここに出てくる、かなり困ったヒロイン
「森 志穂子」なのだそう(同一人物ではないけど
かなり意識して書いた様子)ほほう。



途中までは、ほとんどギャグのノリで読んでたんだけど
やっぱホラーだと思ったのはエピローグ。
自分が作ったキャラ、世界にまったく愛着を
感じることなく突き放すエンディング。
あの突き放し方、作者の醒めた製作姿勢は
たしかにホラーだった。

皆殺しのトミノ的?

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でも花の都パリが・・
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2011年01月10日

「死霊列車」北上 秋彦

死霊列車 北上 秋彦

角川ホラー文庫。ネーミングがアレなんで
ちょっと・・という気もしたんだけど
しかも表紙絵がねえ、どうもね。
(ケッソクヒデキ氏)



最初、北斗星なのかと思ったんだけど
島根で走っている観光列車
「奥出雲おろち号」とゾンビさん達である。
なるほどよく見ればDD51ではなく
DE15だ。

あらすぢ
東京と出雲市で発生したダーズ(致死的急性狂犬病
症候群)が感染爆発、死者1800万人と推定され、
政府の主要機関が札幌に移された。
ダーズは人を咬むことによって鼠算式に患者を
増殖させ、発病後の死亡率は限りなく100%に近い。
国民はこのまま滅びてしまうのか。
空路が絶たれ、青函トンネル閉鎖の時刻も刻々と
迫る中、家族を失った15歳の鉄道少年、翔太は
トロッコ列車「おろち号」を運転し北を目指す。
タイムリミットホラー。

oroti.jpg
トロッコ列車「おろち号」

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これが結構面白かった。傑作ではないけれど
ゾンビ物が好物な人間にはオススメ

ゾンビと鉄道が大好きらしい作者が
思わず書いてしまった小説。

ゾンビで溢れる日本列島を、理論的には線路の限り
走ることのできるディーゼルカーで縦断。

その際、起こりうるであろう、作者の好きなゾンビ映画
の名シーンをイベントにちりばめ(脱線、転覆、戦闘、
ゾンビ駅、悲劇、惨劇、陰謀、究極の敵は人間、戦闘・・)
路線に沿って展開する。

銀河鉄道999のように、各駅や道中に丁寧に
トラブルイベントが用意されている。
RPG、あるいはスゴロクに近いかもしれない。

oroti2.jpg
おろち号の2号車。簡易運転台装備。

ちょっと文章力に難があり、最後まで気になった。
説明や表現がイマイチで。

納得できない所も結構ある。
それがホラーの醍醐味なのかもしれないが
重箱の隅をつつかずにはいられない私がいる。

乗客たちの飲み物食べ物をGETするため
マックラな鳥取駅ビル内へ探検隊が組織される。
自衛隊員5名に案内者兼荷物運びの女性2名。
うち自衛隊員2名は積極的遊撃隊とかで
わざわざ分離して別階で行動するんだが・・
そんな隊員がオシッコするんだよ。
マックラな駅ビルのトイレで。
それってどうなの??
初歩の初歩でしょうよ。任務前の用足しはさ。
ま、ご想像の通りの結末になるんだけど。

それと自衛隊員があまりにも
撃つのを躊躇しすぎ。
目の前で仲間が生きながら食われているってのに
人権がどうの、守るべき国民がどーのとかほざく。
それを一応ヒロインである美都子が
煽ってみたりして、さらに険悪なムードに。
国産最強ヒーロー「古閑(こが)」隊員に
むかってなんたる言い草。
あんただって、助けられているんだろうに。
なんで説教するかな。

(ゾンビの概念ってフツーは死体が生き返るものだが
 この世界のゾンビは、映画「28日後・・」
 (当然オマージュ作品である)同様、元は生きた
 人間がウイルスに感染してゾンビ生態へ移行する。
 だからゾンビに食われたりして心停止した人間、
 つまり死体はゾンビにならない。また、ゾンビと
 呼称されている連中も死んだ経験がない。
 みんなみんな、生きているんだ友達なんだ〜
 というリクツなのですよ)

後ね、毎度毎度のアテにしている移動手段の消失。
(ここではヘリの墜落ね)
映画エイリアンUでもあったパターンだが。
墜落しなければ、自衛隊員が列車に乗り込むことも
ないんだけどさ・・せめて複数機で行こうよ。
それか飛んでいなさい。ミッション中くらいは。

あとはそう・・ぶ厚い文庫の半分を過ぎたというのに
列車はまだ「津山」あたりにいたので、この先
大丈夫なんだろうか?と心配になったけど
神戸と大阪(いずれも大都市)をスルーしたので
きちんと帳尻は合っていた。
けど・・それはどうかな?って感じ。
第二の都市、大阪通過した時点で列車は全滅だろ。
順当?にいけば。

だからといってこの二つの駅
での出来事をまんま描写したら、この文庫、
あと1センチは厚みが増すね。

京都のキハ40が悲しかった。
imagesCAC54SAF.jpg
「こいつが芸備線のキハ」

古閑隊員。カッコイイ。最後まで頼りなる。

あらすぢにあるとおり「タイムリミットホラー」と
「トロッコ列車」ってキーワードが
自分からすれば逆に興味をそいでしまい、
以前、古本屋でのチョイスから除外したことすらもある。

PONの友人である北斗氏にお借りした
「時空のクロスロード 一番列車は朝焼けに」
にプロットが似ているかな。
荒廃した世界を駆け抜ける(ある意味)鉄道賛歌。

ま、いろいろ書いてしまいましたが
楽しめました。

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2010年12月23日

「マタンゴ 最後の逆襲」吉村達也

「マタンゴ 最後の逆襲」吉村達也 /
角川ホラー文庫

マタンゴと入力したら「魔単語」だって。
IMEよ。まあ確かにそうだ。

最近では久々の「角川ホラー文庫」
しかもあの吉川先生作品。
先生は1952年生まれ。
東宝映画「マタンゴ」が1963年作品。
先生も幼少期に影響受けまくった世代なのでしょう。
東宝お墨付きの正式な後編。

ちなみにこの世代には妙に「キノコ嫌い」が
多いという研究結果はさすがにでておりませんが。

この先生の作品は、相変わらず文量は多い。
(文庫の厚みが2センチ以上!)
文体は読みやすいので助かるけども
それでいて中身が薄いんだ。
小説としてこの人の作品には
まったく期待しておりません。ジブン。
んで・・

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
富士山麓の樹海の奥深く、大型ヨットが浮かび、
亡霊がさまよっている―その「都市伝説」を
確かめようと訪れた五人の男子学生と二人の
女子高生を包み込む極彩色の胞子の霧。
そして現れたキノコの怪物!
十年後―悪夢を忘れ、女優、作家、キャスター、
刑事、実業家、細菌学者、宇宙飛行士として
活躍する彼らのうち、四人の身体に異変が。
十年の潜伏期間を経て、肉体がキノコに
変身しはじめたのだ!その裏には
国際バイオテロ計画が。
伝説のマタンゴが、半世紀ぶりに蘇る。

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先ほど、読破しましたが。
ま、これはこれでアリだと思いました。
正直面白かったし。
でも第一作(名作)至上主義の人には
頭にクル作品でしょうね。

世に「名作」とされるものの続編は誠にムツカシイ。
ご存知スタンリーキューブリックの
「2001年宇宙の旅」にも
続編「2010」が製作されましたが
なんかあんな感じ。

疑問点や解りにくかった点をクリアにしたい、
というのは人として当然の要求だとは思いますが
敢えて「答え」や「詳細設定」を「ボカす」終わらせ方で
読者にいろいろと解釈させる・・という表現方法。
またそういう作り方が、映画であれ小説であれ
名作を名作にさせていたりします。

「世間ではイロイロ解釈があるようだが
 あの作品を一番理解している(≒好き)なのは
 この俺(わたし)だ!」
なんて作品、誰でも一つや二つはあるはずですよね。

だから、名作品の「主人公のその後」や
後だから話す秘話、外伝、「実はあの時・・」
なんてのはみんな「蛇足」なのかもしれません。
自己流の解釈が、後から出た
公式設定で覆されてしまったら・・
それは「わが心の作品」と、オノレの読解力を
否定されることに他ならないからです。
いやだよなあ。それは。

ありがちですが、この小説を読む前に
東宝映画「マタンゴ」は観ておいたほうがいいです。
もっとも、マタンゴ知らない人間がこの小説を
読むかってーと・・比較的レアケースだと思いますが。



「水の溜まった石畳、
 アカシアの花、寂しく浮かんでいる。
 水の表を風が吹き抜けて、
 思い出をのせて揺れている」


映画マタンゴの最初と最後に
黒ブチメガネにメッシュの靴下、そして七三
というスタイルの60年代のサラリーマンが
憧れていた夜の銀座の風景描写があります。

そしてBGMが、なんていったら良いんだろ?
ムード歌謡?
「銀座の恋の物語」とか「ハイそれまでよ」の
イントロとか、なんかそんなところをイメージ
してください。
あのケバケバしさと水野久美さんの妖艶さ
そして、毒キノコがかぶるんだよなあ。

たのしいロンドン!ゆかいなロンドン
ビバ!高度成長期。



若干ネタバレですが

「秘密機関」がバックにあれば
何でもアリだなおい、とか思いました。

最後の脱出ルートはなんか、あまりに
世界観ぶち壊しな感でしたけど。
それと官房長官、調子に乗りすぎでしょ。

「せんせ〜ぇ せ〜んせ〜」

【参考】狂言 〜茸(くさびら)

文庫: 590ページ
出版社: 角川書店 (2008/1/25)
ISBN-10: 4041789877
ISBN-13: 978-4041789872



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2010年10月17日

「迎え火の山」熊谷達也


「迎え火の山」(講談社文庫) 熊谷達也(著)

面白かった。
作者の熊谷達也氏は仙台在住で
東北地方を舞台にした小説を多数書いている。

東北を舞台にしたオオカミ小説(明日紹介予定)
「漂白の牙」が面白かったんで
今度はどんなもんだろうと読んでみたら・・

あらすぢ
祝≪第131回≫直木賞受賞!
生と死の臨界に迫る傑作伝奇ミステリー
史上初!山本周五郎賞と同時受賞
旧盆の十三夜、出羽三山の霊峰月山(がっさん)の
頂から麓に連なる迎え火。即身仏(ミイラ)取材で
帰省した工藤の友人正志は、古来の採燈祭
(さいとうさい)復活に奔走していた。
だが工藤の父親に続き、正志も闇の中で襲撃される。
もう1人の同級生由香は工藤に、鬼から村を
守ってきた一族だと明かし、
「祭を止めて。ソ乱鬼(そらんき)が降りてくる」
と告げた。

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なんか「七夕の国」(名作漫画「寄生獣」の作者の
次の作品)を思い出した。関係ないけど
あの作者の描く女性キャラってなんか魅力的だ。
最近ひそかにブーム?になっているらしい
「あひる口」を真っ先に取り入れたからじゃないかな。
それと必要性があれば脱ぎっぷりもいいし

それはそうと「迎え火の山」です。

さまざまな思いを抱えつつも
地方には地方の暮らし方があり・・

故郷の学校を卒業するや
都会に出ていっさい帰郷しない者

田舎と都会に愛憎半ばの気持ちを持ち
地元に就職してそのまま同化する者

ま、かるくネタバレすると、真相を突き止めるべく
奔走する主人公にこそ最大の理由っつーか事情が
隠されている、というパターンの小説です。

誰が味方なのか敵なのか。
最後まで見逃せない。
その辺の「話はこび」はさすがだと思った。

それと小説内で語られる「人の死」と「霊」に
関する解釈が独特でこれまた興味深い。

この世界では、人間も含めた動物が死んだとしても
死後の世界は存在せず、無。
さらに神もいなければ仏もいない。
でも「死霊」だけは存在するのだ。

「死霊」ってのは「この世に対する執着心」
というパワーが形となってしまうもの。
であるから人間にしか存在し得ない。

誰かが「死霊」になったとしても
生前の本体はきれいさっぱり消えてしまっており、
そのほとんどは、生前の行動パターンを
何も考えずにただ繰り返す。
いわば実体のないゾンビのようなもん。
それがうろつけば「幽霊」とりつけば「背後霊」。

背後霊なんか、別に責任感を持って
子孫を守ってやろう・・とか
そんな知性も理念もない。
たとえば、死んだばあちゃんが
孫をもう少し見ていたかったな・・と思う
そんな気持ち=「執着」が「霊」になって
背後に取り付くだけ。
死の直前に「孫」を守ってあげたいと考えた
その気持ちに忠実な死霊が
結果的に「背後霊」になるのだ。
(恨みを持った悪質な霊が背後霊とならぬために
 自分が取り付くという意味もあるようです)

んで、「この世への執着」でもっとも
粘着質で悪質なのは「恨み」の念とのこと。
積もり積もった「恨みの悪霊」
そんなものを生み出してしまう人間こそが
一番始末に悪い存在ということになる。

それがこの世界の「能力者」には
見えてしまうのだ。

昔は世界の各地にその「能力者」がいて
「悪霊」の封じ込めかたも心得ており、
なにより庶民レベルでも畏れ敬いつつ
儀式を行ってきたが、
近代化、合理化の波が席巻している
今となっては・・



最大の敵がなんか結構「あっさり」だったなのは
ちょっと拍子抜けでしたが。

一気に読んでしまいました。

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2010年10月16日

「沈黙の教室」折原 一

沈黙の教室(ハヤカワ文庫JA) 折原一 著

藤谷文子のオヤジが、元凄腕工作員でありながら
現在は学校の用務員。彼が学校を襲う日狂組と戦う・・とか
ガッコウが変形して潜水艦になって、自衛隊の指揮
勝手にを離れてNYに向う・・とかそんな話では
全然ありません。

教師も生徒も、正体不明の恐怖に支配された
田舎中学校のあるクラス。そこに関係してしまった
人間たちの現在過去未来の迷い道くねくね。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
青葉ヶ丘中学3年A組―悪魔のようなこのクラスを、
担任教師が名づけて「沈黙の教室」。何者かが
不気味な恐怖新聞を発行し、つぎつぎと粛清の対象を
指名していく。そして行なわれる残酷ないじめ。
やがて20年がたち、クラスの同窓会の告知が新聞に
載った時、報復を誓う者による大量殺人計画が
ひそやかに進行しはじめた!
めくるめく多重構造の謎と、じわじわと忍びよる
恐怖。日本推理作家協会賞長篇賞に
輝くサスペンス。

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「めくるめく多重構造の謎」??
改めて思うにめくるめく・・てなんだろ。
ページを次々と「めくりたくて」しょうがないとか
そういうことではないみたい。

目がくらめく・・・うれしくて、
 目がクラクラする
」そんな多重構造の謎

誰もがそれなりに裏でアヤシイ事やっているから
犯人というか黒幕に見えてしまって
ヤヤコシイことに。
謎が謎を呼んでしまうのだ。
ああ、それが「多重構造の謎」なのね。



ま、なんてのかな。
コドモは無邪気だとかいうけど
「思春期の子供」が一番コワイってことで。

・・女生徒も怖いかな。別の意味で。
一時の劣情に流されるなってことです。

「足を踏んだ方はすぐに忘れても
 踏まれた方はその痛みを忘れない」
ありがちですけどね。

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2010年10月12日

「蝿の王」田中 啓文

どうもPONです。長かった残暑がようやく終り
ようやく秋かと思えば通り越して
冬になりそうなイキオイですが
皆様、いかがお過ごしでしょうか?

さて秋といえば「食欲」と「読書」ですが
溜まっていた「読書感想文」を
リリースしようと思います。
一部、マンガも混じりますが
まあお気になさらず。

12日「蝿の王」 田中 啓文
13日「震源」真保裕一
14日「感染」仙川 環
15日「クーデター」楡 周平
16日「沈黙の教室」 折原一
17日「迎え火の山」熊谷達也
18日「漂白の牙」熊谷達也
19日「検察捜査」中嶋 博行
20日「アトムの最期」 手塚治虫
21日『篤姫』と島津・徳川の五百年〜
22日「病葉(わくらば)流れて」
23日「幽霊人命救助隊」高野和明
24日「閉鎖病棟」帚木 蓬生
25日「セルラー」(小説版)
26日「神の獣」 巴 啓祐

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「蝿の王」 (角川ホラー文庫) 田中 啓文 (著)

普通、小説「蝿の王」といえば
ウィリアム・ゴールディング作の方だと思います。
少年士官候補生たちが遭難して南の島へ。
まして思春期の「少年」ともなれば。
少年たちに派閥が生まれ、人間性を失い
どんどんカオスに突入してゆく様を描いた小説。

基本は十五少年漂流記なんだけど
人間ってあんな「よいこ」ちゃんじゃないよな?
作者の底意地の悪さが光る作品です。

作者は、読者のうちの何人かが映画化までされた
あの作品と間違えてくれないかしら・・と
「角川ホラー文庫」に収録される際に
「ベルゼルブ」→「蝿の王」改題した
とのことだけど・・
さすがに間違えねーだろ。それは。

あらすぢ
ある遺跡で無数の赤子の骨とひとつの壷が
発見された。その封印が解かれたとき、人類は
未曾有の危機を迎えた。
突如、東京では児童殺人が頻発する。そこには
必ず虫が大量発生するという怪現象が…。
その最中、ひとりの少女が身に覚えのない妊娠を
する。彼女の頭の中では、「自分の子を産み、
「ベルゼブブ」からこの世を救え」という声が
響きわたる。ベルゼブブとは?
前人未到の伝奇ホラーの扉が開かれる。
内容(「BOOK」データベースより)

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ネタバレでいきます。

まず、主人公はビッチな女子高生。そののカレシ
(キーパーソン)は芸能人であるという設定がちょっと謎。
それも人気アイドルグループではあるのだが
一番人気の無い存在であるらしい。
それでも腐っても芸能人。オンナには困らないハズなのに
これまた特別美人というわけでもないビッチの
マジ彼氏であるあたりが、なんとも謎。
(あんまりその設定が活かされていない)

「神」陣営と「魔」陣営が、いずれはアーマゲドン
で雌雄を決するなんてキリスト教には伝承があるけども
実はそこに「正邪」なんてものはなく、たまたま
今のところ、我々が「神」と呼ぶ陣営側が覇権を
握っているに過ぎない。
我々が「神」とよぶ陣営の「神」の使いは使徒「天使」だが
「魔」陣営にとっての使徒は「虫」だ。
人類は、覇権を握った側が、都合で作り出す
勢力維持のための便利な「コマ」に過ぎない。

だから、もしアーマゲドンで「魔」陣営が勝利すれば
神の「しもべ」である天使は、闇に隠れざるをえず
天使は虫に替わって、犬の落し物!の廻りを飛び回り
次の勝利の機会をうかがうのだ。

「虫は偉大だ。もし彼らが己のもつ能力を存分に使い
 地球の支配的地位に取って代わろうとしたら
 簡単に実現できるだろう。なぜそうならないか?
 それは虫がバカだからだ。
 バカのトップに神クラスの知的存在が
 就いたとしたら、どうなる?」

神は身勝手で、人類のコトなんかこれっぽちも
考えていない。彼が考えているコトは、自陣営の維持のみ。
神が主人公ビッチに与える試練は壮絶だ。
「神の子の嘆き」も少しは解ろうもの。

作者の田中啓文氏は、プレステのゲーム
「かまいたちの夜2」にシナリオライター
として参加していたらしい。
なるほど。通りで「ミミミ・・・」とか
美味しい果実が、実は「寄生虫」の卵で云々・・
の「底蟲村」の話とか、あのシュミの悪さ
通じるものがある。

また、この小説には、あるツインタワーの屋上で
団体が集会を開いていたが、悪魔の力をもって
一瞬のうちに建物が無くなり(文字通り跡形も無くなる)
人間たちがグシャグシャと地面に叩きつけられるという
シーンがあったらしい。
ツインタワーといえばそう、グラウンドゼロ。
書き上げてスグに「911」事件が起きてしまったため
惨劇の舞台をツインタワーから変更した。
併せて、読んでてウンザリする描写も、
幾分ソフトな表現に改めたらしい。これでもね。

作者もあとがきで「この作品を最初に書いていた
ころの自分は確かにどうかしていたと思う・・とまで
述べている。
とにかくエロ・グロ・汚いのオンパレード。
ドコまで気色悪い描写、胸糞悪いシチュエーションを
描写できるか、実験小説の面もあったのかもしれない。

登場人物の「メンチョーロー太子(たいし)」
(彼の壮絶な活躍は必見!)が、いいキャラであった。
初登場時の描写からして「顔は歩くキ×タマ」とか
書かれてしまっているし。

何故「顔がキ×タマ」なのかといえば
そんなこと(←見た目)を気にする余裕も無いほどに
人類を救おう(というか「神」陣営を守ろうと)と躍起になり
風呂も入らないことが祟って、全身皮膚病にでも
なってしまったからなのかも知れない。
(PON的ビジュアルイメージとしては手塚治虫氏の
 「火の鳥」にでてくる、鼻がブツブツの男
 あるいは映画「エレファントマン」)

さらに、物語終盤に超巨大な「蝿のコドモ」が一匹
途中で捕食した人間を体内で消化しつつ
新宿ビル群を練り歩く。まさにリアルモスラ。
馬鹿馬鹿しくもオゾマシイビジュアル
この小説は初めから自作品の映画化・ドラマ化なんか
とうに放棄していたことがうかがえます。



面白かったけれど、二度読みはしたくないし
ましてや人には勧めない。
なんかタンツボの中身見せつけられている様でね〜。
「蠅の王」、面目躍如といったところなんだけど。

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2009年09月17日

「媚薬」図子 慧

「媚薬」 図子 慧 

(角川ホラー文庫) 図子 慧 (著)
これまた上司からもらった本。
そもそも以前に読んだ「湘南人肉医」といった
各種ホラーも上司からもらったものなので、
特にヘンでもないのだけど、最近にしては
めずらしいかな。ホラー系をいただくのは。

そろそろ、自分からもなにか渡したいトコロでは
あるんだけど、放っておくと自分の場合
戦国モノか第二次世界大戦モノか、
下手すっとガンダム系だからなあw。
お気に召さない様子。

あらすぢ
内容(「BOOK」データベースより)
マレーシアのラン園で謎の男に出会ったときから、
フリーライターの磯良のまわりでは、次々と人が
死んでいく。
美青年、茅島に仕掛けられた妖しい罠。
調べ始めた磯良の前に、異様に肥った男が現れた。
茅島に恋する啓子は、インターネットで手に入れた
媚薬を彼に密かに飲ませるが…。一方、街中でも
眠るように死んでいく若者が急増していた。
忍び寄る自然の恐怖を描く、美しくもおぞましい
ファンタジック・ホラー。

***********************

>美しくもおぞましい
>ファンタジック・ホラー。

これ・・美しいかなあ。
おぞましいとは思うけれど。

主人公(磯良)は行動力も良識もある典型的な
主人公なので、彼の行動はまあ安心して見ていられる。
その主人公に事件をもってくる男
「美青年」茅島ってのがどうにもよくワカラン。
なにがって、ワザワザ美青年として登場する理由が
いまいち。この作者は自作品に美青年を出すのが
好きなようです。

その茅島を狙っているのが、会社の同僚である啓子。
いまマスゴミでは「アラサー」に続き、「コンカツ」
なんてイヤな言葉を流行らせようとしているみたい
だけども、狙ったエモノは逃がさない、
目的のためなら手段は選ばず・・この小説よんでいると
女性の方がなんかタチが悪い存在に思えてしまう。

ランに限らず「花」って奴は、性器の象徴みたいな
ところがあり、それに東南アジア方面が絡めば、
暑くてじっとりしてて、麻薬だの売春だの、
小説内容がこれまたウンザリテイストになるのは
もう約束されたようなもの。

そういう世界が好きならば、まあ一読されても
よいかと思います。自分は再読しませんが。

150キロのデブ野郎が、びよーーん、びよーーん
ゴム鞠のように追いかけてくるサマは、
「怖い」というよりも「なんじゃそら?」
という気持ちの方が先に来ました。

それよりも、犯人が車で逃走、登場人物がタクシー
にて追いかけるシーンがあるのですけど、
そこが一瞬怖かった。というのも、自分(PON)の
日常生活とまったく無縁というわけではない場所に
むけて、彼らはどんどん逃走してきたからなのです。
アジトがそっち方面にあったためらしく、途中で
追跡を振り切った場所も、おおよそ見当がついたくらい。

作者の図子 慧氏はあの辺に縁があるのか?
それとも単に地図見て書いただけか。



「合法ドラッグ」なんて言葉もあるようだけど
合法じゃなくって単に禁止されていないだけの
こと。
金さえあればネットでなんでも手に入る時代・・
であるからこそ、せめて自分の体内に入れるもの
は慎重に購入先を選ばないと(っつーか合法
でも非合法でも、クスリ、ドラッグの類に
やっちゃイカーーーン!!。
自業自得と断罪するにしては啓子さんが
かなり「おきのどく」でありました。

久々PONスコープでは下の上レベル。

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2009年05月13日

「シャトゥーン―ヒグマの森」増田 俊成

「シャトゥーン―ヒグマの森」 増田 俊成

先ほど読了しました。これまた「羆嵐」に続き
先輩が貸してくれたものです。
「熊のプーさん」の記事ではマンガ、小説とも未読
でしたが、小説版をついに読破です。

「このミステリーがすごい!」で優秀賞に選出された
作品のようですが、この小説がミステリーといえるのか
どうか?という問題の方が割とミステリー。

ミステリーとは?(参考)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%BC

確かに一部ミステリーのような展開もなくもないが。
いずれにしても「このミステリー」は「すごい」のだが
「名作」とか「心に残る」のかといえばまた別問題。

主人公の女性のヒステリー(後半のスーパーサイヤ人化)
のほうがすごかったと言えまする。

あらすぢ
北海道の北端に大樹海が広がっている。神奈川県の広さに
匹敵する広大な森だ。平均気温は北極圏より低く、冬には
マイナス40度を下回る日も珍しくない。そんな土地の
研究林を管理する鳥類学者の元で年末年始を過ごそうと、
彼の親族や学者仲間たちが集まっていた。そこへ、ヒグマに
襲われたという密猟者が逃げ込んでくる。車が横転して
しまい動かず、電話も通じない。小屋に集った人々は完全に
孤立してしまったのだった。やがて、体重350キロを超す
巨大なヒグマが小屋を襲う。秋に食いだめに失敗して冬眠
できず雪の中を徘徊するシャトゥーン(穴持たず)と呼ばれる
危険なヒグマだった。密猟者の銃程度ではヒグマの動きを
止めることはできない。ヒグマによって少しずつ破壊されて
ゆく小屋。そして、人食いヒグマへの恐れが、人々から冷静さ
を奪い去ろうとしていた…。
第5回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞受賞作。
内容(「BOOK」データベースより)

************************

ほとんどあっという間に読破しました。
面白かったですが、二度読む本ではない。

以前、記事にしましたが、小説を読む前から
大方想像していたとおり・・
>宇宙船を北海道の自然に置き換え
>エイリアンを羆に置き換え、
>羆との闘争の中から自己防衛と環境保護
>どちらを優先するか?(羆が悪いのか
>そんなところに踏み込む人が悪いのか)
>についてちょっと考えさせる小説に仕上がっている・・
>といったあたりで、それほど間違った想像には
>ならんのでは?と思う。

という読む前からのヨミどおりでありました。

合間合間(クマが襲撃していない時)に、極寒の地で
サバイバルをしなければならなくなったときのノウハウや
人間がいかに自然を痛めつけてきたか、そしてヒグマが
いかにとんでもない奴なのか・・自然科学者の昭氏が
得々と語ります。
この昭くん、大学で教鞭をとることもあるため、いたって
説明口調。作者に代わり、皆さんに豆知識をつぎつぎと
披露します。PONなんか取り急ぎ、そんな講義する
暇があったら・・

さっさとみんなの意思をまとめてクマ対策しろ!!

と若干イライラしてました。

小説は思ったよりも自然と人間の関係において
人間を否定してはおらず、最後にとってつけたか
のように
「自然を守るなんて発想は、自然の前では
 ちっぽけな存在に過ぎない人間の傲慢ではないだろうか」
という言葉で〆ております。

この作者は自然と人間の共存とかいったテーマは
どうでもよくって、結局スプラッタホラー小説
書きたかっただけなんだな。
そんな場面は嫌なくらい活き活きと書かれていますが、
惨劇と惨劇の間は作者の言葉ではなく、どこかの書籍からの
ウンチクで繋いだ、サイボーグ小説に感じられました。
もう少し煮込めば一体化するんだけど。

この小説のせいで嫌な知識をいっぱい得た。
・一度人肉の味を覚えた(人間をなめた)ヒグマは
 殺す以外にない。
・ヒグマは自分を害した奴を絶対に忘れず
 敵の顔を損壊することで復讐する。
・ヒグマの恐ろしさはその「執念深さ」にある。
・ヒグマにであったらオールORナッシングなんで
 「死んだふり」か「攻撃」に出るかしかない。 
 どちらがいいかは未だに見解が分かれる。



しかし、
生きたまま喰われる
 これほど嫌な死に方があるだろうか。
まさにこの感想につきます。
フィンランド人、その奥様、他お疲れ様でした。

それにしても・・ヒグマのバカ野郎

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完全ネタバレですが
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2007年08月04日

「腐蝕」竹本健治

角川ホラー文庫より。
「腐蝕」 竹本健治 です。

「儀礼とジオイドが。葉緑素とチューリング機械が。
 三原色とデネブ蔓(かずら)が。
 ブラフマンとヒストン八量体が。
 致知格物とタウカプラのケークウォークが。
 そして検索せよ。凡例をあげよ・・・」

<あらすぢ>
地球でない星で生まれ育ったティナは、
航宙エンジニアとして宇宙へのフライトを待つ
学生だった。しかし彼女の周りで人々が失踪し、
不可思議なことが起こってくる。
うっすらと浮きでた黄ばみがゆっくりと進む。
逃げなければ。とにかく逃げなければ。

めんどくさくなって一度手放した作品。
(読むのを止めた)
これさー、ホラー文庫に収蔵してしまうのは
ずるいって言うか、反則でしょう。
ホラー文庫担当者がラインアップを
多様化するための苦肉の策って感じ。
まるっきり「SF」ですもん。
実際1986年に新潮文庫から
「腐蝕の惑星」としてが
初出らしいです。

ベースは「マトリックス」な「不思議の国のアリス」

「うる星やつら2」と「メガゾーン23」
あと「トロン」も
すこーし混じってたかな。
我ながらなんだか支離滅裂だが
そういう感触を得たのだから仕方がない。

SF作品にありがちなんだけれど
読者は、その小説の世界観、生活様式など
イチからすべて把握せねばならないわけです。
(料理の名前からしていちいち説明がいる)
現代劇と違って、世界の把握が
結構、疲れるんですよね。

それから、男性が書いている小説なんで
主人公(女性)の言動も
どことなく不自然なんだなあ。
この世界の女性はこういうモンなの!って
作者に言われたらそれでお終いですが。

惑星上に腐蝕が発生していき
荒涼な世界が広がってゆく様は
「うる星やつら2」に近いものがありました。



PONスコープとしては
下の上の出来栄え。

 理屈はあくまで理屈に過ぎない。
 そしてそれを押し通そうとすれば、
 擬科学的な方向に転げ落ちざるを得ないのだ・・

「−−だけどやっぱり人間って、
 そうせずにはいられない
 生き物かもしれないわ」

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2007年07月19日

「時計」吉村達也

毎度おなじみ
「角川ホラー文庫」ですよ〜。

<あらすじ>
中伊豆の森で、眼球を反転させた
奇怪な三人の死体が見つかった。
しかも彼らの腕時計は、みなデタラメな
時刻を示して動きつづけていた。
半月後、同じ地域の貸別荘を訪れた男女が
突然、すべての時計が狂い出す現象に
遭遇!同時に室内に異様な気配を察し、
身の危険を感じて逃げようとするが、
ひとりの身体に想像を絶する変化が発生!
人間の常識を覆す怪奇現象の連続に、
電磁波研究者の清水教授は助手の神保真美と
共に現場へ乗り込むが、そこで遭遇したのは
死霊の大群だった。

・・「死霊の大群」??
あれは「死霊の大群」なのか?
粗筋を書いたヒトは「死霊」ってなんだか
知ってのかな?
(毎度、ここに書いている「あらすぢ」は
 実はアマゾンのBOOK
 データベースからの借用なのです)

吉村達也三部作
「卒業」「樹海」に続く、ラスト作品
それがこの「時計」なのだそうです。
実は入手した順番に読んでいるんで・・。
しかも「樹海」はまだ読んでもいないのです。
やっぱ順番に読んだ方が無難か。

結局、この三部作で描かれた「惨劇」は
誰が悪かったんだろう?
そもそもどうしてそんなことになるのだろう。
更にいうなら、作者は何がいいたいのだろう?
「殺人遺伝子」とか言われても。

詳細に読み込めばもう少し
理解できたかもしれないが
そうしようと思うほどには
作品に対して「思い入れ」が生まれなかった。
魅力的もしくは「核」になるような
「登場人物」も出てこなかったし。

うーーん。
「MIM」なるものの正体が明かされたときには
それがどうかしましたか?って
本気で思ってしまいましたよ。

吉村作品にしては
良くも悪くも「すっきりした結末」ではないし、
揃って、二度、三度読みたいと思う
作品ではないなあ。だからこそ、
某ブックオフでは大量流通しているのかも。
・・とりあえず「樹海」を探してこよう。
もう少しなんか判るかもしれん。



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2007年07月13日

「千年世紀末の大予言」 桐生操

ダメだ。この作家。
心底

ツマラねえ〜!!

・・そう痛感。

<あらすぢ>
ヨハネやノストラダムスなど、数多の
大予言者たちが説いてきた“世界の終末”は、
なぜか偶然のごとく、今世紀末に集中
している。偉大な大予言者たちは、
もう何百年も前から、この千年世紀末に
訪れるであろう終末に対して、警告を
発しつづけているのだ。
天変地異や政変が頻発し、世界中を危機感が
取り巻くいまこそ知りたい、
大予言のすべて。

なんだ?この本。
全部、その手の業界の本を
書き写しているだけ
じゃん。
自発的に調査したりとか
自分の意見すらも何もない。

巻末に参考文献が並んでいるんだが
「たま」とか「徳間」とか「ワニブックス」とか
ホント、どうしようも無いところが多数。
挙句に「月刊×ー」まであるよ(笑)
更には「洋書・原書は省略しました」だと。
最初から読んでもいないだろうに。

この本の初版は1996年なんで
日本人が世紀末に漠とした
不安を抱えているこの時期なら
売れるから、21世紀になる前に
書けるだけ書いておけ!って
勢いで書いてみました、

「角川ホラー文庫」にも
こういう感じのラインナップも
少しはあってもいいんじゃない?
誰かヒマで手ごろな作家に
適当にその辺の本から集めて
何冊かデッチあげようよ?
そんな企画会議(思いつき)による本。

この「桐生」とかいう奴は
このほかにも
「美しき殺人鬼の本」
「美しき拷問の本」
「美しき殺人法100」
「美しき惨殺者たち」等々・・

もう読む前から分かる、非常に
「美しく」ない書籍を乱発。
話の上手い下手はともかく
何かしらクリエイティブに書こうとする
「作家」ではなく
単なる「雑文屋」だ。

一昔前に流行りかけた
「本当は恐ろしいグリム〜」というような
系統の本も書いているらしい。

女性二人組だとか高学歴を売りものに
しているようだが、
神様お願いします。
こういう作家ほど
早く消えてください。
(「作家」と呼ぶのも語弊があると思う)

本文を読んでみると
いかに「オカルト系ライター」
いい加減なヤツらばかりかが分かる。
それだけがこの本の救いか。

特に「五島勉」氏
(ノストラダムス「大予言」シリーズで
 大もうけした人物)
まさに
「書き散らかしている」だけ。

予言なんて、数ある予言の中で
1%、ホンモノがあったとしても
そんなの読むだけ無駄。
事実だとしても結局人には
どうすることもできない。

それから「英語」はもとより「フランス語」
「ラテン語」「ヘブライ語」など、異国の言葉を
読み書きできない人種(含む俺)には
予言を解析する能力なんか無いはず。
そもそも、研究対象の「原点」が
日本語訳されている時点で
もう翻訳した人間の有形無形の「意思」が
入ってしまっているのだから。

そんな文体の「言い回し」を
あれこれ論じたところで
どうしようというのか?

ぷんすか。

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2007年07月03日

「天使の囀り」貴志祐介

本日、ご紹介いたしますは
おなじみ「角川ホラー文庫」より

「天使の囀り(さえずり)」です。

相変わらず100円(笑)で買った割には
厚みが3センチ近くもあって
PONに取りまして
コスパに優れたよい作品でありました。

<あらすぢ>
 北島早苗は、ホスピスで終末期医療に
携わる精神科医。恋人で作家の高梨は、
病的な死恐怖症だったが、新聞社主催の
アマゾン調査隊に参加してからは、
人格が異様な変容を見せ、あれほど
怖れていた『死』に魅せられたように、
ついには自殺してしまう。
 さらに、調査隊の他のメンバーも、
次々と異常な方法で自殺を遂げている
ことがわかる。アマゾンで、いったい
何が起きたのか?高梨が死の直前に残した
「天使の囀りが聞こえる」
という言葉の意味は?
前人未到の恐怖が、あなたを襲う。

PONからすると
「前人未到の恐怖」までは
感じなかったけど
充分楽しむことが出来ました。

作者の「貴志祐介」さんの作品は
既に「黒い家」を読んでますが・・
この作者はとっても親切で勉強家ですねぇ。
ある分野を全く知らない人が読んでも
それなりに判るよう、作品内で一生懸命
その分野を説明しています。それが
この小説を「長くしている」原因でも
あるんですが、まあ
安心して読むことはできます。

くだらないこだわりだが
劇中の人物が何かと言うと
「ネット」で検索する。それはいい。
現代的だ。けど、ひと仕事終わると
いちいち電源を切ったり、
時間帯によっては接続が集中して
結果が出るまでにエラク時間がかかる
(忌まわしの「テレホーダイ」ですな)
描写なんかもあったり。
そんなところが古臭く感じるところも。

まあ、このあたりは作者が悪いんじゃなくて
時代の推移スピードが早すぎるだけ。

それから「ときメモ」ファンは
読んでみると結構複雑な思いを
するかも(いろんな意味で)。
気になさらない方はそれで結構です。



「頭」が痒くなるかも(苦笑)

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ネタバレ
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2007年06月21日

「ノロイ 小林雅文の取材ノート」林巧

「角川ホラー文庫」より。
薄いです。

<あらすぢ>
怪奇現象研究家の小林雅文が失踪した。
彼はある村に伝わる、相手を呪い殺す儀式を
追っていた。その呪いは現代にも
息づいているという。本書は残された
彼の取材ノートを元に書き起こした
真実の恐怖の物語である。

いやあまあ、これまた「べた」な題名だなと
本書を手にして思いました。

本編はなんかビデオだか
映画化したらしい。
(というか、角川お得意の
 メディアミックス戦略の一環でしょう)
この本はあくまで
盛り立てる「小道具」に過ぎない。

日本の「ブレア・ウィッチ・なんたら」路線に
仕立て上げたかったみたいだな。

妙なところで「仕掛け」が凝ってます。
作中の小林氏は「杉書房」なるB級出版社と
懇意にしている「オカルト系フリーライター」

彼がこれまで送り出してきた作品
コンビニで980円とかで売っていそうな
「実録!日本の心霊スポット」とか
そういった類のDVDが
さも実在するかのように
書籍内で紹介されていたり。
いきなり実名で「アンガールズ」が
オカルトTV番組撮影に登場している。

まあ、こういうところで
たとえば「読売新聞」ではなくて
「読朝新聞」となっているように
実名を避けていたりすると
小説が妙にしらけたりするから。
フィクションとノンフィクションの境目を
ワザと「あいまい」にしておくという
高等戦術も時には必要。

それを読み解けた人間が
真に捕らえた一部の読者を
笑い飛ばせるという構図。



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2007年06月17日

「卒業」吉村達也

もはやおなじみ
「角川ホラー文庫」シリーズより。

シリーズのなかでも屈指の有名作
「リング」シリーズや
「パラサイト・イヴ」なんかは
PONも実は読破済みなんですよ。
けど結構昔なんで、覚えてないのです。
文庫も売っちゃったし。一冊10円。
改めて読む気力は
新しい別の本に廻したいし。

自分でも誰に向かって
言い訳してんだか判りませんが
要するにもうレビューするほど
内容を覚えていないってことです。

今回はコレ。

sotugyou.jpg

<あらすぢ>
 高校卒業の日、積年の怨みを自殺という形で
 あてつけようと、伊豆山中に死に場を求めた
 神保康明は、そこで奇妙な老人と少女に会う。
 「二十年後を待て」
 それが老人の放ったメッセージ。死を
 思いとどまった康明は、やがて愛妻家で
 子ぼんのうのよきパパとなる。
 だが、二十年後の同じ日、平和な暮らしを
 していた康明に、突然復讐の鬼が取り憑いた。
 何も知らぬ妻の前では理想の夫を演じながら、
 陰では人の頭を打ち砕く殺人鬼。
 その背景には常識を超えた驚愕の真相が。

うーーーーん。
うーーん。
そう来たかって感じ。
そのオチというか、肩透かしで
単に読者を翻弄したかったがために
作者はこの本を書いたのではあるまいか。

「驚愕の真相」というほどではないが
そんな風に来ますか。

薄いので読みやすい・・と思ったら
作者自身が
「ワンナイトホラー」と言ってる。
要するに一晩で読み終えるサイズ
といった意味のことらしい。

今後は、この「神保一家」を軸に
三部作で話を進めるらしい。
あとがきに作者自らそう書いてた。
というか数年前のことだから
もう完結している事だろう。
順番に書くとは限らない、とあるがさてさて。
どうしよう。
追いかけようか?

この作品は一応、完結しているようですけど
実は音楽で言うなら長い「イントロ」を
聴かされたようなもので、これからなんだな。
ここで唐突に終了させてしまうのは
いかがなものか?て気もします。
京極夏彦氏ならこの10倍のボリュームに
仕上げている事でしょう。

うーーむ。



PONスコープでは下の上。

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ネタバレ・・
ラベル:吉村達也 卒業
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