2006年12月02日

「輪廻」大石圭

角川ホラー文庫(KHB)より
「輪廻」大石圭

<あらすぢ>
昭和45年、群馬県のホテルで起きた
大量無差別殺人。法医学教授の大森が
自らの家族も含め、宿泊客、従業員ら
11人の命を奪った。動機は不明。
大森も謎の死を遂げ、警察は狂気の犯行
として片付けた。そして35年後の現代。
映画監督の松村は、この猟奇事件の
映画化に取り組んでいたが…。
日本人初、全米ナンバー1を獲得した、
清水崇監督・最新作を完全ノベライズ。

大石圭作品なので
文体も読みやすかったし、
気が付くとページも進んでしまう
先の見えない面白さはあった。

あと少しで突き抜けた傑作に
なりそうだったけど、
所詮は他者作品である「映画」作品の
代作に近い小説化であるからか
さすがの大石圭氏も自由奔放に
書けなかったきらいがある。
そのためかも知れないが
ちょっと納得いかないというか
なんじゃそら?って感じも受けた。

あと、殺されまくった登場人物
一人一人の背景描写が
見事に書き飛ばされているので
(確かに大筋には関係ないから
 やむを得ないとも言えるけど)
作品の奥行きに欠ける。

それから「ネタバレ」に近いが
生き残った「妻」にはもう少し
状況解決に一役買って欲しかった。
あれじゃあ、結局彼女は
事件後の35年間
ぼーーっと暮らしていただけじゃない。
「妻」の奮起に期待。

作品としては「中の中」かな。



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2006年12月01日

「呪怨」大石圭

12月です。どっちかってーと
割りに季節感の無いネット上でも
また、実生活におきましても
散々言われることではありますが
季節の過ぎるのは早いですな。
特にPONにとって2006年は
激動の年でしたよ。

ちびがるた降臨(妊娠発覚)が
今年の正月でしたからね。
去年の今頃は、我が家に
まだニューカマーが居なかった訳で・・

さて、聖夜も控えている12月に
何ですが、しばらくの間
PONが通勤途中に
読んでしまった「本」シリーズを
お送りします。
しかも「ホラー」・「軍記物」中心。
季節感ZEROです。どぞ。

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「角川ホラー文庫」より
大石圭作品 「呪怨(じゅおん)」です。
Vシネマとか映画として
結構作品展開をしたあげく
同じ監督で「ハリウッド」資本でも
映画化したらしいですね。
アメリカの常識では
「ホラー」には必ず「お色気」
ツキモノなのだそうですが
そういうキワモノ思想を全く排除した
製作姿勢に、向こうの映画評論家も
学ぶところがあったんだとか・・

大石圭さんの作品なんで
相変わらず文体は読みやすかったです。
(もったいぶらない書き方、
 イメージしやすい表現方法など・・)

あらすぢ
 老人介護のボランティアをしている
仁科理佳は、寝たきりの老婆・幸枝の様子を
見てきて欲しいと頼まれる。郊外の住宅地に
あるその家の中は、悪臭が漂い、ゴミが散乱
していた。理佳が人の気配を感じて二階に
上がるとガムテープで封印された押入れが
目に飛び込んできた。理佳は、恐る恐る
ガムテープを剥がし…。

「リング」の「貞子」にしてもそうだけど
ものすごい怨念の「存在」によって
無辜の人間が理不尽に殺される。

こういう分野を読んでいると
つくづく思うのだが
そんな殺され方をした人間の中には
そのあまりの理不尽な殺され方に
自分を殺した「怨念」に対して
別の「怨念」となり
結果的に「人類(生者)の味方」に
なったりするような「怨念」が
居ても良いのではあるまいか?

やはり「生者」と「死者」の間には
「深くて暗い溝」があるのでしょうかねぇ。

生前にはどんなマトモな
思考や想いを持っている人物でも
死ぬというのは生物にとってトテツも無く
「ショック」なことで
その「衝撃」たるや簡単に生前の理性なぞ
ぶっ壊してしまうとかいうことを
どっかの「ホラー小説」かなんかに
書いてあって
なんとなく納得してしまった
こともあったなあ。

ま、それはともかく
この作品では登場人物がみんな、
あまりにも悪霊の意図にはまりすぎ。
とりあえず二階に行って
ガムテープはがして、XX見て・・。

オレならひとまず外に
出ることを切に希望。
(それ以前にそんなとこには 
 近寄らない(苦笑))
そうはさせない「パワー」こそが
「怨念」たる所以なのでしょう。

なんか小説は「ビデオ」が好調だった
流れを受けてその「前日譚」らしい。
ガンダムで言えば
「ガンダム大地に立つ」前の
「ルウム戦役」のお話。
「正体不明」=「怖さ」に繋がるなら
最初は「ビデオ」から見たほうがよいかも。
(小説単体でも楽しめますが)



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2006年09月19日

「着信アリ」秋元康 

毎日片道1時間半の通勤をこなしている
PONにとりまして、睡眠と文庫は
必需品であります。

結構暑かったこの夏も
終わろうとしていますが
この夏はわりと連続して
「角川ホラー文庫」を読む機会が
多かったPONです。

着信アリ

原作は秋元康

>「携帯電話に自分の死の予告が届く・・・」
>”着信アリ”は未来からの死のメッセージ
>終わりのないチェーン・ホラーの誕生!

・・だそうです。
実はまだ読んでいないんですよ。
ちなみに題名を記述するや否や
(As Soon As Doing)
我が愛すべきIMEはまたしても
「嫡子なり」
と変換。
そんなこと主張してどうしますか?

作者の「秋×康」って奴は
なんかあざといんだよな。

この作品も、
今の若い奴に不可欠なのはケータイ、
ホラーが好きなのは若い奴だから
ケータイに絡めて話を作れば
これはもうもらったようなモンでしょ?

そう言ってニヤける
彼の姿が目に浮かぶようで
なんかね。

商品(アイドル)を人気の頂点のときに
自分のものにしてしまって
ファンの恨みを買ったり、

突然SEGAの「社外取締役」に就任して
当時、売上不振だったゲーム機
ドリームキャストのプロモーションを
見事に失敗したり、

逮捕直前という最悪のタイミングで
堀衛門と旅行に行ったり。
(自分が吸い付く美味しいネタを
 常に探し回っている
 彼の姿が目に浮かぶようで
 この話もむかついた・・)

なんだろ。未だにかつて味わった
(おニャン子の頃)
芸能界での美味しい思いを
まだ追求し続けている
男ってカンジだ。

ああ、彼の悪口言ってても仕方がない。
話が飛びまくったけど
せっかく携帯を購入しても

まったく「着信ナシ」

というのも
ある一定の人間にとっては
恐怖でホラーなんだろうな。
エヴァにも「鳴らない、電話」って
エピソードがあったけれども。
ちょっとそんなことを電車の中で思いついたので。





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2006年07月06日

「墓地を見おろす家」小池真理子

これはね、是非読んでいただきたい。
古本屋の文庫100円コーナーなんかで
角川ホラー文庫の一冊として
大量に余っていると思います。
背表紙が黒なのでわかりやすいし。

墓地.gif
作者は「小池真理子」さん。
どこぞで大臣やっている人とは別人です。

<あらすぢ>
 都心の格安マンションを購入した3人家族。
部屋の窓を開けると寺と墓地が見えるという点を
気にしなければ、掘り出しものの物件。
主人公夫婦はもともと不倫関係で、
前妻を自殺に追いこんだ末に
結婚した過去あり。そんな彼らが
新生活のために越してきたころ、
なぜか周囲の住人はどんどん退居していく。
黴臭い地下階、エレベーターの不調、
不気味な気配。
そして地下で蠢くものが・・

「ひた・・ひたひたひた・・・」

怖いにゃ。
足元から寒さが上がってくる。

以下は多少ネタばれ・・

自分には「弟」夫婦がいるので
劇中の主人公の「弟夫婦」に
実の弟夫婦を勝手に重ね合わせまして、
彼らが大変なことになるシーンでは
「やめろ!行くんじゃない!!」
どきどきしておりました。
弟夫婦よ。すまん。

問題の地下室は「エレベータ」でしか
出入りできないという設定で
少し、モノを知っている人からは
よく突っ込まれドコロではあるが
(当然、階段も併設されるべきで
 あからさまに建築基準法に違反なんだとか)
安いマンションはなんか理由があると
思ったほうがよいなと
「ヒュー×ー」の「オジャマもん」を見ながら
別の意味で学びました。

理由のない
(少なくとも自分には
 どうしてそうなったのかよくわからない)
ところから来る、
完璧な悪意、邪悪
非常に怖いです。
理屈が通用しないんだもの。
ほとんど、通り魔。

<ネタバレ>
最後に出てくる、問題のマンションの
「再販売告知」チラシが
怖さに追い討ちをかけます。
主人公の家族はどうなったのか?

しかも主人公は最初
「大手住宅販売会社」から
このマンションを購入したのに
問題マンションを再販売しはじめた会社は
「弱小会社(しかも有限会社)」なのです。
値段も大幅に下がって。

危ないワケアリ物件は
すぐ手放す「大手会社」のずるさ
事情を知ってか、知らずか?
そんなモンでも商売の種にしてしまう
「弱小会社」の悲しさ
と怖さ。

ちなみに二社目以降は
「告知する義務がない」
らしいですよ?
(この辺りあんまり自信ない・・)

物品の対価よりも不当に「安さ」を求めると
そこには「リスク」が待っている
ってことで
まとめてよろしいでしょうか。
皆様。



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これもネタバレ
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2006年03月26日

「獣たちの夜」押井守

久々に「小説」のご紹介を。
こんな風に書くとPONがまるで
まったく本を読まない男のようですが
この際、はっきり申しましょう。
ジャンルは偏っておりますが
自分は結構、読書家です。
通勤に片道1時間30分かかっていますので
帰路に「本・雑誌」の類は必需品なのです。
え?朝はどうかって?
無論、寝ているに決まっていますでしょう!

さて、この「獣たちの夜」ですが

「攻殻機動隊」「イノセンス」
「うる星やつら2」「映画パトレイバー」等々

往年のアニメファンが泣いて喜ぶ作品群を
次々に監督した「押井守」氏の小説なのです。

<あらすぢ>
1969年、学生運動華やかなりし頃の日本。
親に反発する気持だけでデモに参加した
高校生「零」は、機動隊に追われて逃げ込んだ
路地裏で恐るべき殺戮現場を目撃する。
犯人はまだあどけないセーラー服姿の
女子高生だった。次の瞬間、彼女は
鈍く光る長刀を零に向かって振りあげた!

まあ、この女子高生が何者なのかとか
なんで殺したのかとか、誰を殺したのかとか
それは読めば分かります。
正直PONもその辺はあんまり
期待していませんでした。

この作品にめちゃめちゃ惹かれたのは
劇中に出てくる怪しげな刑事
「後藤田」の存在。
押井カントク作品を御覧のかたならば
お分かりですね?
そうです。どこから読んでもこの「後藤田」
あの「パトレイバー」に出てくるレイバー隊の
「後藤隊長」
そのものなのです。

この小説世界は「パトレイバー」とはまったく
連結していない世界で時代も合いませんが、
あの後藤隊長が
レイバー隊に飛ばされる前は「公安」にいたこともある
というウラ設定もあるくらいですし。
読んでいるうちに、後藤隊長ならば
こんなことしていてもおかしくないかも?
なんて気がしてきます。
なんと言っても「押井」カントクは
自分の言いたいことを全部
「後藤田」に言わせてしまってますし。

いやあ、「押井カントク節」全開ですよ。
そう、わかるヒトにだけわかる説明するならば
「後藤隊長」と「うる星のメガネ」と「篠原遊馬」と
「栗山千明」が喧々諤々
ってカンジ。

あと、押井カントクが自ら経験したものと
思われます1960年代の
学生運動の薀蓄も学べます。
昔のヒトは熱かったんだなあ。
どうでもいい知識も増えます。
思えば、「押井守」ってカントクは
もともと引き出しを
一個しか持っていない
のかもしれません。

「後藤田」刑事。
敵なのか?味方なのか?果たして・・。

現在は「角川ホラー文庫」に収録されてます。
ブック×フで100円なんて時も。

押井守 著
角川ホラー文庫
H−88−01
定価600円(税別)
ISBN4−04−366601−2



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書き写すのも一苦労(押井節)
posted by PON at 16:47| ☀| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書(ホラー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年05月14日

「湘南人肉医」大石圭

ホラー映画「呪怨」の原作者が送る
カニバリズム(食人)小説。

映画「呪怨」が結構ヒットを飛ばしたようですが
ハリウッドでも同じ日本人監督でリメイクしたとか?
すごい事だな。プロデューサーって「スパイダーマン」の
サム・ライミ監督なんだね。なるほど。
彼ならば日本のオタク文化に
理解があるはずなんで・・サム・ライミ監督!
お願いです。
樋口・ローレライ・真嗣監督にもハリウッドで
SF映画を一本作る環境を与えてあげてください!!


・・って全然「小説」の解説になってないです。
ええーっと「湘南人肉医」について。

「これ後味悪いから・・PON君読む?」
いきなりそう言われて
上司!にいただいた文庫です。
そう、本はすべて出会いです。
ご縁なんです。読破しました。
文が少なくて本が薄く、
ヘンにもったいぶった書き方をしない
(身もフタも無い書き方は「題名」にも現れている)
誠に読みやすい文体。

主人公、「小鳥田(ことりだ)」は137キロの巨漢で
「ゴッドハンド」を持つ「美容整形医」。
表面的には紳士。内面も多分紳士。
小さい頃にいじめに会い、本人も気がつかないまま、
愛の表現法が
「深く静かに」壊れてしまっただけの男。
そして自己の欲望に正直な男。

サイコホラーでありがちならば、主人公は
「引きこもり」にでも設定されそうだが、
この小説では社会的に成功した金持ちであり、
紳士であり、ぎりぎりまで尻尾を見せない。
やっている事は最悪だが。
日本のホラーだと「サイコ野郎」って
見かけも頭髪振り乱したような「サイコ」が
多いけれども彼は社会で「普通」以上に生活できる、
アメリカ式「サイコ者」
な感じ。

名前の通り「湘南」なんで、時折でてくる
「地理」もPONには「なじみ」が深く
それだけに隣町に主人公のような奴がいたら
「嫌だな」とは率直に思ったが、
「怖い」とか「フケツ!」(笑)とかは
不思議と感じなかった。

愛する人を喰らうという行為は
    究極の支配方法・愛情表現


小説中では肉の色々な食べ方が
グルメ漫画よろしく
さりげなく描写されてますが
我々が常日頃食べている料理の材料が
「牛・豚・鶏」肉から
「人」肉に入れ替わっただけなんです。
その肉が肉屋で手に入るはずも無いから
彼は仕方なく「狩り」をしているに過ぎない
のです。

彼は(彼からすると)無駄な殺人もしません。
「食材」も決して粗末にしません。
最後まで大事に食べます。
食べている人間の生前の姿を思い描きながら、
食べてあげるコトを
至上の喜びとしているのです、
最後の方では「主人公」が捕まらないように
応援している自分がいたり。
まあ、この見方は彼の側から最大限
愛情を持って見た解釈で、
周りからすれば
そんな勝手な理屈で殺されるほど
理不尽、かつ許せない事はありません。


文体のせいか「じとじと」していない。
あまり「血」を感じません。
淡々と事実がドキュメントのように記述されている。
もちろん、この小説を映像化したら
そんなこと言っていられないでしょうけど。

「すずらん」ちゃんはその存在自体が可愛そうだった。
藤子F不二雄作の「恋人製造法」を思い出した。

しかし博識だなあ。作者は。
私はこの本を人に薦めません。
読みたいというなら止めません。

湘南人肉医.jpg
角川ホラー文庫 大石圭

5/15追記。なんか映画化してたらしい。
見たとしてもビデオだなこりゃ。

http://www.eigaseikatu.com/topics/392
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posted by PON at 13:40| ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 読書(ホラー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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