2008年04月15日

「アウトニア王国再興録 でたまかA」

「アウトニア王国再興録 でたまかA」 
 天地鳴動篇
 鷹見一幸作 角川文庫

北斗氏から借りた「ラノベ」第四弾。
ぼくらの」もカウントすると、
もう「なにがなんだか」になってしまうので、
カウントそのものが無意味に
なりつつありますが。

あらすぢ
前回、またも主人公に恥をかかされた皇帝
アリクレストは、意趣返しに、かつて自分が滅ぼした
旧アウトニア国民が立ち上げた植民星(まだ国家
ですらない)ネオアウトニアに武力侵攻を開始する。
一方その頃、もう黙っていられなかった主人公が
物語正面に復活する。

この巻では、来るべく戦いに備えての各自の奔走と
これから活躍しそうなキャラの小出し、そして
主人公マイドの復活劇がメイン。

帝国辺境の国々は、皇帝の命令であるネオアウトニア
侵攻が踏み絵に使われる。各国とも心情的にも、
物質的にも主人公陣営に味方する。主人公陣営の
これまでの「損して得取る」(あるいは信用を大事にする)を
真顔で実践してきたやり方が、ここへきて少しずつ生きてくる。

辺境国家エデッサの一年会議のエピソードは面白かった。
ひとことで言えば国の総力を挙げての
「サボタージュ」なんだけど。皇帝の命令に逆らうはずも
ない。無論ネオアウトニアはとっちめるべし!
軍備に不備があってはとんでもないので
3か月以上ぶっ続けで会議をすることにする。

ことに「バナナはおやつか食糧か」という人類永遠の課題
までに踏み込んで会議するエデッサ国議会に涙。
会議は終わらないよそれじゃあw

ところで「でたまか」というのは「でたとこまかせ」の略。
行き当たりばったりではなく、あらゆる事態を想定し
それに対する備えを万全しておき、柔軟に対応する
ってことらしい。

それから「帝星ブックス」「マガザン帝国」など、なんとなく
「本」にまつわるネーミングが続くけれども、
そもそも「アウトニア王国」からして、あの今は無き
みのり書房のサブカル雑誌月刊「OUT」をオマージュ
してのネーミングであるらしい。いやはや。こんなところで
月刊「OUT」とは。懐かしいのう。
(お茶の水駅前に集合する日時はいつだっけか?)
作者は出版関係出身なのか?(未調査)

まだ続くよ。
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2008年04月14日

「アウトニア王国再興録 でたまか@」

「アウトニア王国再興録 でたまか@」
 英雄待望篇 
 鷹見一幸作 角川文庫

北斗氏から借りた「ラノベ」第三弾。

あらすぢ
前作の戦いから2年。彼らはその後
どうなったのか?

前作の終わり方が終わり方なもので
(主人公は帝国を敵に回し、重犯罪者として逃亡中)
この@巻には直接本人は出てこない。
相変わらずガンダムに例えればw、Zガンダムで
最終回の盛り上がりの後、新主人公のジュドーが
コロニーでもたもたして全然おもろくない時期の話
のような。話のコアがいないのだから、つまらんのは
しゃーない。

登場キャラ達は、当座の問題を主人公抜きで
それぞれの立場で取り組むわけだが、彼らの回想
というか感傷がちょっとうるさいように感じた。

”「あいつなら、こんな時どうするだろう・・」”とか、
”彼女はすこしも躊躇しなかった。なぜなら、あの人が
 いつかきっと何とかしてくれると
 信じていたからである”とか

前作で奇跡を起こし、そして表向きはいなくなった
主人公を崇めたてまつる周囲の姿勢は、主人公が
まるで新興宗教の親分。それでこその「英雄待望」篇
なのだろうけど。

今回は、主人公不在のまま状況が進み、
新皇帝アリクレストと彼の出身勢力が、景気づけに
戦争を望み、帝国と敵勢力が正面からぶつかる
ことになる。今度は「傭兵艦隊VS田舎の防衛艦隊」
ではなく正規軍同士の戦い。

非常に興味深いシーンとしては、帝国宇宙艦隊司令部も
一応、伊達ではないので、将軍、参謀たちを集めて
事前シミュレーションを行う。要するに軍隊が行う
大規模な戦争シミュレーションゲーム大会。何度も
机上演習を行うが、ゲーム上といえど、どうも帝国軍の
旗色が悪い。そのうち軍人というよりも、貴族である
ついでに軍人ごっこをしている輩から
「シミュレータの設定数値が低いのではないか?」
「この艦隊は、ワシの甥っ子が司令官で、確かに本人は
 戦争未経験であるが、周囲は優秀な参謀で固めておる、
 戦闘力が50では低い。70くらいあってもバチは
 あたらないだろう・・」
とかなんとか、好き勝手な理屈をならべ
(設定数値を好きに変えられるPCゲームでもよくあるw)
あげくは、「栄えある帝国軍の実力を、こんな低い
見積もりにするとは、キサマ敗北主義者かッ!」と
お決まりのセリフが飛び出す始末。

このあたりの描写、ギャグのように思えるけど
実は太平洋戦争前夜、日本で本当にあった話なのだ。
真珠湾奇襲をするにあたり、日本の知性が各部署で
集めたデータを持ち寄り、日本海軍が真珠湾攻撃が
成功するかどうか、戦争シミュレーションを実施した。
今みたいにコンピュータがないから、一昔前に流行った
ボードウォーゲームのように、サイコロを振って
当たり判定を行う、机上演習。

周囲の猛反対を押し切り、山本五十六提督が強行した
日本海軍トラの子空母六隻全部出撃。
かなり危ない橋を渡る奇襲作戦だ。それだけに
関係者も果たしてどうなる事やらと、机上演習に
注目したのだが・・

何故か燃料が無くなってしまい、太平洋上で
立ち往生する空母が出たところ、机上演習を仕切っていた
総参謀長は、どうしたか?周辺には補給船も島もないのに、
「ハイ、補給完了したことにします」と
空母は勝手に動いても良いことにしてしまう。

挙句に艦隊の大型空母「加賀」が、アメリカ軍に
撃沈!されてしまう事態にまで。
するとここでも彼は、
「これは机上演習であり、単にサイコロの出目に
 過ぎぬ。本当の戦いは違うのだ!」と
図上にひっくり返った空母「加賀」のコマを
元に戻してしまったという話が伝わります。

「やっぱり、今の無しんこ」ってことですよ。
子供か!あんたらは。戦争に負けるわけだな。

閑話休題。

いざ戦闘に突入するや、敵の陣営に
黒色僧騎兵艦隊」というものが出てくる。
これはどう考えても例の艦隊のイトコだろう。
PON脳内のビジュアルは間違いなく
アレの集団でした。可哀そうに。どこでもヤラレ役(苦笑)
それと「殉教ミサイル」ブラックさには笑えました。

今回は意外な活躍をする帝国の若きボンボン、
皇帝アリクレスト。彼は見た目は華麗だが、ボンボン育ちで
あることが災いして(今のところは)無能な点が目立つ皇帝。
彼はもちろん、全然すごくないwラインハルト氏って
ことで、PONには脳内変換されておりましたよ。

最初のシリーズである「アウトニア奮戦記」では
完全な悪役として描かれているものの、この小説が
シリーズ化するにおよび、アリクレスト氏が単純な
悪ではなくなり、彼なりに複雑な事情を背負った人物として
描かれつつある。主人公勢力との対決の中から
帝王学を学び、それなりの王者に成長しそうな予感。

この巻、ラストの終わらせ方が秀逸。
意味は違うかもしれないが
「ポケットの中の戦争」でした。

考えたら「敗北主義者」って妙な言葉だ。
主戦論者が慎重派に使う常套句だけども、
さすがに自国が負けることを積極的に
望む人間はあんまりいないんじゃないか?
キサマ、敵国のまわし者かッとか
怒るならまだわかるけど。まあいいや。
次回はいよいよ、主人公が出現します。

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2008年04月08日

「アウトニア王国奮戦記 でたまかA〜B」

・アウトニア王国奮戦記 でたまかA 
 奮闘努力篇
・アウトニア王国奮戦記 でたまかB 
 純情可憐篇

鷹見一幸作 角川文庫

北斗氏から借りた「ラノベ」シリーズ第二弾。
A巻とB巻は立て続けに読んでしまったので
立て続けに一緒の記事にします。

あらすぢ
帝国の貧乏貴族に生まれたマイト・ガーナッシュは
帝国貴族のボンボンを卒業実技でボコボコにしてしまい
アウトニア王国と呼ばれる田舎星系に島流しにあう。
そこでヒロインに出会い、第二の故郷と思うように
なったアウトニアにて守ろうと決意する。
実戦経験は全くないけれど、戦う演技はうまい
(何故なのかは詳しく書かないけれど)
辺境、アウトニア軍を率いることになった主人公は、
隣接する敵性宗教国家のそのまた手先である
傭兵艦隊(正規軍ではないがそれでも自軍よりは
はるかに強い)と戦うことに・・。

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この作品の端緒は、ネット小説、自分が書きたい
スペオペ小説を好きにHPで公表しているうちに
話題になって?作品化したものであるようだ。
道理で。

まず登場人物名が違和感あるな〜と思った。
銀英伝のようにゲルマンやらなにやらで統一せよとは
言わないけど、友人知人?の名前のもじりらしき
キャラクターが多出。その内輪ぶりが少々鼻についた。

作者が触れてきたサブカル文化のエッセンス
(好きなシチュエーション、言葉など)を
散りばめまくった作品。もとはネットの同人誌的
小説なんだから、それは作者の自由だけど
統一感がないというか雑多な感じはどうしても
否めない。ジャンクパーツショップのような小説。

それがこの作品の魅力でもあると思うんだけど。

A〜B巻は、帝国と敵対する勢力との代理戦争
として勃発するアウトニア王国と傭兵艦隊との
戦いを手堅くまとめている。

作戦名「ギャラクシーハラスメント」

正面から戦うばかりが戦争ではないのだ・・ってことで
我々が想像する宇宙船同士の正統ドンパチ・・以外の
あらゆるやり方で、マイドとその仲間たちは
傭兵艦隊に戦いを挑む。
ヤン提督でいえば「まあこれは奇策でも戦略でもなく
【悪知恵】だね」という感じ。
アウトニア艦隊が全力で敵陣営に「嫌がらせ」をする様は
爽快だった。

「こういうこともあろうかと」
 が技術者の本懐よ。

さまざまな悪知恵のエピソードが並ぶが、
お気に入りをひとつ。
オンボロ民間船とは比べ物にならない
スピードを持つ軍艦から追跡を受けることになった
主人公一行。振り切ために実践した
「3枚のおふだ(やまんば作戦)」作戦が好き。

ネタばれだけども・・本物の姫を捕虜とすべく躍起に
なる敵軍に、複数の貨物コンテナを切り離す作戦にでる。
各コンテナには姫に似せたアンドロイドが搭載されており
仕方ないので敵軍は、発見するコンテナを次々に臨検する。
コンテナのアンドロイドにはある「プログラム」が
仕込まれていた・・
「進んで敵船に乗り込むこと」
「その辺のボタンを手当たり次第に押し、
 敵兵に抑えこまれそうになったら、
 真ん中で一番偉そうにしている兵士
 (それが上官である確率が高いからw)
 にしがみついてそのまま機能停止せよ」

・・まあなんてメイワクな軍事作戦?なんでしょう。



それにしても卒業試験でのちょっとした行為が、
因縁として、マイトの人生だけでなく、彼の周囲、
そして帝国までも巻き込んでいくことになるわけで
マイト自身は、かかる火の粉は振り払わなければと
自衛の戦いを続けるのだが、それが更なる戦いを生む。

そして、彼らは勝つ。勝つのだが勝ちの代償は
とんでもなく高くつく。
最後のほとんど投げ出したかのような
終わらせ方にはびっくりした。
作者が行の向こう側でニヤリと笑った顔が
見えたような気がする。
その笑いを読者が受け入れることが
できればこの作者の勝ち。

「アウトニア王国再興録」篇に続く。
以下、次号。

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2008年04月06日

「アウトニア王国奮戦記 でたまか@」

アウトニア王国奮戦記 でたまか@
問答無用篇

北斗氏から借りた「ラノベ」第二弾。
ラノベと言っても一応角川文庫所蔵なのだな。
作者の「鷹見一幸」氏は北斗氏の
お気に入りの作家と聞いていた。

この「でたまか」シリーズは、既刊分が
まとめて手元に届いたものでw、
PONが最初着手した作業はシリーズを
ナンバー順に並べることからだった。しかもこの
シリーズの存在をPONはまったく
知らなかったので、アラビア数字順に並べることは
できても、どこから読めばいいのか皆目判らん。
この「でたまか」シリーズ、
「王国奮戦記」やら「王国再興録」とかあり、
信長の野望といっしょ。初めての人には
「戦国群雄伝」がシリーズ何作目に当たるのやら・・

とりあえず、パラパラとめくってみたらこの
「王国奮戦記」が最初であったようなので
(主人公が士官学校を卒業するところから
 スタートしているので多分そうだろう)
読み始めた次第である。

あらすぢ
カネなしコネなし色気なしの帝国ビンボー貴族
「マイド・ガーナッシュ」。士官学校を
優秀な成績で進学、未来はバラ色と思いきや
卒業実技試験で大貴族のお坊ちゃんを
叩きのめしてしまったがために・・・・。
配属されたのは宇宙の果ての果ての果て
である惑星国家「アウトニア」の駐在武官
だった。

文庫うしろのあらすじには
「ポップビートスペースオペラ」とある。
スペースオペラといえばPONの場合、昔
永井豪さんの「スペオペ宙学」という
今思えばほんとにスケベでトホホな漫画を
読んでいたので
(スペオペとはスペースオペラの略称)
多少、エッチなイメージがぬぐえないのだが
こういう奇特な存在もレアケースだと
思われるので、次に行ってみよう。次。

スぺオペが
「宇宙をまたにかけた英雄譚With宇宙艦隊」
とするならば、やはりPON的には
銀河英雄伝説」にとどめをさすが、
ラノベ系のスペオペなら猛烈に
読みたくなった時期があった。

その内に突き当たったのが、知っている人は
知っているジャスティ・ウエキ・タイラーが
活躍する、宇宙一の無責任男シリーズ
「無責任艦長タイラー」
である。
植木等のすちゃらか「会社員」シリーズをベースに
した話で、本人の能力というよりも廻りの勘違い
に助けられてとんとん拍子で、最後には宇宙の覇者
になる男の話だが、それはまたの機会に。

その後、和製スペオペが読みたいなあと
星界の紋章」シリーズに手を出したり
海外のSFならばあるいは・・と
アンタレスの夜明け」シリーズ、
銀河の荒鷲シーフォート」シリーズ
なんてのも読んでみた。
もっと、壮大な宇宙歴史モノという意味合いで
アシモフ先生の「ファウンデーション」シリーズ
だったが、PONには文体が固くって途中で断念。
方向転換して、マンガで突き当たった奴が
銀河戦国群雄伝ライ」。
結構楽しめたけど、あくまで「マンガ」だったし。

んで、「アウトニア王国奮戦記」である。
これもまあ「タイラー」シリーズと似たようなものかなあ、
とまた悪いクセである勝手な思い込みから読み始めた。
あるいは要するに性格の良い「ラインハルト」が
ガンガン出世する話じゃないの?とも。
この記事を書いているときはまだ3巻目を
読んでいる最中なんだけど、その辺はまだ外れていない。

ちょっと表紙がね。いまいちかなと。
イラストもあんまり好きになれない。
ローマンスというかちょっと甘アマスウィートな、
主人公と第三王女とのほほ染め合いは
何とかしてくれという感じが。
面白くなりそうな雰囲気は、充分漂うが
なにぶん栄えある一巻目なもので様子見とします。
(相変わらず、スマンですね北斗氏)

いつもならば、お気に入りのフレーズ、セリフを
ネタバレ覚悟で書き連ねるところでありますが
今回も、ツカミだけで長々と書いてしまったので
お気に入りを一か所だけ。

敵の「神聖ローデス連合国」と自陣営の帝国では
コンピュータ(この時代は電子人格とやらが仕切る)が
操る言語体系が違っているとの設定で
神聖ローデス連合国側の言語を「建物」系
マガザン帝国側の言語「果物」系
と呼ぶならわしがあり、両者は数千年前からの
対立なのだそうだ。グゥ。

<つぶやき>
こういう、ラノベ(ライトノベル)には
知る人だけがわかればいい、といった裏設定や
有名作品へのオマージュ、パロディなんかが
お遊びとしてつきもののだけれど、自分も
年をとった。元ネタがよく解らない「お遊び」が
多くなってしまったよ・・・。

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2008年03月20日

「ぼくらの Altanatinve 第四巻」

いやー勝手にPONで盛り上がっていました
北斗氏貸与のラノベ「ぼくらの Alt〜」で
ございますが早くも第四巻でございます。

以前にも書きましたが、エヴァンゲリオンに似ている
とか、そういう月並みな印象よりも、何よりこの作品は
名作マンガ「はぐれ雲」の作者「ジョージ秋山」先生の
奇作「ザ・ムーン」のオマージュ作品なんですってね。
コエムシ=肥虫ってことのようで。

あらすぢ
第11章:コモ・カナ(1)
・・・戦いは「アウェー戦」つまり別次元の地球で
   行われることになったが、そこはゲームが審判を
   くださずとも勝手に自滅した世界だった。
   コモ・カナとは別個のキャラであるが
   この章ではワケありでいっしょくたに扱っている。   

第12章:コモ・カナ(2)
・・・圧倒的優勢にあった敵のパイロットが突然逃走する。
   一方、米国は、日本が人形を独占して世界を征服する
   つもりであるという理由で、落ち目のアメリカを
   復活させるための戦争を仕掛ける。子供たちの
   奮闘をよそに、自滅の路線をひた走る「守るべき」世界。

第13章:マリア
・・・「人形」をめぐり対立が深まる日米国。
   そのハーフであるマリアは苦悩するが、
   日本が自衛のためとはいえ人形を戦争の
   道具にしてしまうに及び、日本人と決別する。
   日米戦争の最中に襲来した「敵」は、
   いままでとは毛色が全く違った。そして・・。   

ウシロジュンという、カイ・シデン的キャラがいるが、
今にして思えば、あの「ひねくれモン」の権化のような
カイさんですら、ウシロ氏に比べれば、他人が理解できる
範囲でのひねくれモンだったなって気がする。
牧歌的というかね。

アメリカ大統領が、実は「日本(オタク文化)びいき」
でありながら取り巻きに頭が上がらず・・というのは
面白いけれども、さすがにやり過ぎではw

大「その国の文化への評価と外交的態度は
  全く別物のはずだ・・
  ハリウッド映画の嫌いな人間がどこにいる?
  フランス以外にいたら教えてくれ―」
第11章:コモ・カナ(1)より

国防長官「黒いロボットを「ゴジラ」
     もう一方を「ギドラ」とします」
国防長官はあなたの趣味に合わせましたとばかり。

大統領「あのな、そのコードネームなんとかならんのか?
    ―昔から、軍隊は怪獣にやられるものなのだよ」
国「それは、日本の軍隊モドキがマヌケだからです。
  私の見たシリーズではステイツの空軍が
  やっつけましたが・・」
大「ふざけるな、あんなマグロを食っている奴と
  一緒にするな。おれは認めない」
第11章:コモ・カナ(1)より

第12章:コモ・カナ(2)は盛大に書くと
ネタばれのオンパレードになってしまうから
控えるけれど、オタク(PON)の心を打った
名エピソード「第5章:マコ」とリンクしているので、
またまたココロ踊る(失礼)展開になっていてよかった。
「力の一号、技の二号ってことで。
 逆になっちゃったけど」
の行は素直に楽しんだ。

また、日本国防軍(旧自衛隊)の士官で
子供たちのフォロー、大人代表の「関」一尉が
でてくるが、彼は完全にオタクである。
表にはでてこないけれども。
彼の独り言が結構スキ(←登場人物がだれも
ツッコまないのだ)
「・・・だいたい、とりあえず二号メカには
 羽根さえつけば強そうに見えるって発想は、
 いい加減安易すぎると僕は思うんだ」
第12章:コモ・カナ(2)より

そして第13章:マリア。
映画「インディペンデンスデイ」と
「超時空要塞マクロス」的展開には燃えた。
特に(この時点では)敵であった
米国空軍の戦闘サボタージュの言い訳がグゥ。
いかにもヤンキーが使いそうなとぼけた報告である。

バトルロワイヤルでは生徒諸君に無作為に
貸与された武器にかなりの差があったように
(人によりマグナムだったり「お鍋のふた」だったり)
自分の地球を守るために、誰かから貸与された
ロボット(人形)の能力にも当たり外れがあって
外れを引いた地球はかなり苦労するようだ。
それだけに様々なロボットを貸与された
世界ごとの対応が面白いし、気になるところだ。

「ぼくらの」の設定で唸ったのは、各ロボットの顔に
スリット(溝)があって、パイロットの数だけ
ザクのモノアイのように点灯しているところ。
詳しい理屈は書かないでおくけど、この点灯している
モノアイの数が少ないほど、トーナメントの激戦を
勝ち抜いてきている強敵であると一目でわかる点。

主人公メカだからある程度は仕方ないけど、
主人公たちが最初に乗った時にチュートリアル役で
あった「教師」が、まだなにも判らない子供たちに
「このロボット=「人形」は強い」とシンプルに
言い切った理由が、ここまでくると理解できる。
結局、極地戦闘に特化したメカよりも
基本性能多少秀でたバランスタイプキャラのほうが
戦いやすいってことですかね?
格闘ゲームの主人公キャラのように。

なんか、これとは違う鬼頭版の原作もあるみたい
ですね。自分が読んできた「ぼくらの Alt版」は
ガンダムで言えば、アニメに対する第8MS小隊
みたいなもんで、結局どこまで行っても本流ではない様子。
少なくともマンガ版くらいは読んでおいたほうが
いいのかもしれない。マン喫行く時間もないけれども。



小説は4巻で終わりなのかなあと思っていたら
2008年夏に5巻がでるみたい。
このまま終了でもそれはそれでアリかもと
思っていたのだが。

それと、モジ君。迷惑な存在だな。
デビルマンの「飛鳥」みたい。

いやー5巻発売が待ち遠しいのう。

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<ネタばれにちかい・・ジョーク>
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2008年03月14日

「ぼくらの altenative 第三巻」

「ぼくらの altenative 第三巻」

帯に原作者から「だんだん神がかってきましたね」
と絶賛コピーがあったけど、まさにそんな感じ。
この作者さんたち、いつもこんなコトばっかり
考えているんですかね?
これまで、アニメ・小説・ゲームといった
サブカル群を体験しまくり、感銘を受けた
シチュエーションを片っ端から
この作品に注ぎ込んでいる・・そういった感を
受けます。すげえよ。このラノベ。

でもアニメやコミック化した作品には少々がっかり
しそうな気がする
(今のところ観るつもりはないけど)
小説ならではの情報量だからね。

<あらすぢ>
第8章:コダマ
・・動物虐待を心の友とする思春期。
  兄貴との会話を通して覚醒する。
  ここまでの筋が、かなり重いだけに
  戦闘でのいっそ清々しい戦いぶりが光る。

第9章:マコ
・・オタク街道の人間が、仮に子供を持った場合の
  ある意味理想的展開。話そのものは理想でも
  何もないケド。

第10章:アンコ
・・パパは有名なTVキャスター
  真実を暴く事=正義なのか?
  お嬢様でありながら、もっとも過酷な戦いに
  直面する。
 
やられた・・と思ったのは、第8章「コダマ」。

<CAUTION〜以下、ネタばれになります>
章の終りで、浅はかなPONは「乱丁」発見!と
思ったんですけど・・。作者様どうもすみません。
第10章の「アンコ」でその真意をようやく
理解できました。
<ひとまずここまで>

「命は尊いもの、それが壮大な欺瞞であることを
 知りながらも、なお守ろうとすること。
 それこそがこの世界への、人間というちっぽけな
 存在の渾身の反逆ではないか・・」

思春期特有の命題に対し、猫をエアガンで
撃ちまくりながら探してやっと出した
答えがこれだった。

んで「第9章:マコ」は、まあいろいろあって
元(深層ではいまも)オタクの夫婦の養子として
育ったマコの物語。作者も少々全体の話の進展を
さぼって趣味に走ったようなエピソードに。

養父が見せた若き日のフォトグラフ・・
コスプレのようだった。赤くて通常の三倍の人の。

自分の娘の運命も知らず、「人形」について養父は語る。
「不謹慎かもしれないけど・・それでも、やっぱ
 こいつはデカイし、かっこいい。そう思わないか?」

「やっぱデカイのは男のロマンだよな・・
 500メートルだぞ?イデオンの5倍だぞ?
 ガンバスターの2.5倍
だぞ」

この台詞が出た時は吹き出しました。
まったく同じことを考えたからであります。
この養父は最高です。

愛娘が選ばれたパイロットであることを知った
養父は自問自答する
「―おまえが見てきたアニメの中に、選ばれた役目を
 ホイホイ人に渡せるような物語があったか?と―」

そしてバトル中、父娘は叫ぶ!
父「―へ、ん、け ―」
娘「わかった!やってみる!」

なんかもうこの辺はまんま「トップをねらえ!」

二つの口が同時に。
可変機体は!―・・」
「・・―変形の瞬間が最大の弱点!!」

(Zガンダムがしきりに脳裏に浮かびました・・)

この際、人類滅亡がどうのとか、子供が死ぬこととか
そういうの抜きにして、シチュエーションに浸りましょう。
父よ!あなたは自分の娘をなんて素敵に
育てたのでしょう。(色んな意味で)

第10章の「アンコ」は9章がはしゃぎ過ぎた
反動からか、だいぶ落ち着いた話になってます。
アンコは、人当たりのいい、話のわかる
アスカって感じか。冒頭にも書きましたが、
第8章「コダマ」とのつながりと、
彼女が戦うシーンでは
そうきたか・・と唸ってしまいました。

また、この話でようやく主人公たちが乗る
「人形」に名前が付けられます。
ビールとかパチンコ屋みたいですけど。
―Good luck・・



続くと思います。
・・全然、感想とか紹介文じゃないなあ。

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2008年02月29日

「ぼくらの alternative 第二巻」

4年に一度のうるう日ですなぁ。
今度うるう年を迎えるとき
自分は40を越えていると思います。
確実に。ふう。

************************

著:大樹連司  
原作・イラスト:鬼頭莫宏
小学館 ガガガ文庫収蔵 
月刊IKKI連載作品。

この話は主人公が順番に回ってくる。
ロボット=人形のパイロットになるたび
そいつが主人公になるわけで。
第二巻では主に「チズ」「ワク」「キリエ」の
話になります。

あらすぢ
第5章 ワク :一見、いちばん主人公栄えしているが
第6章 チズ :げげ・・
第7章 キリエ:出来すぎ中学生

「ぼくらの」が凄いのは、ロボット=人形が
作品の表題でないこと。「エヴァンゲリオン」とか
「アクセリオン」etc・・。
ロボットは最後までメインではないんですな。
多分にネタばれになってしまいますが、
「カンオケ」にカッコイイネーミングなんか不要
ってことでしょうかね。

この巻において、戦いはもはや子供達だけで行う
モノではなくなり、最後にはやはり嗅ぎつけてきた
日本政府と日本防衛軍が全面介入してきます。
(一回の戦いで死者が12000人を越えてしまえば
 さすがにどんな国家でも動かないわけにはいかない)

突然、子供たちだけの戦いへ介入してくる
軍人達だったが、そのうちの一人がポロっともらす。
「私たちは― 私たち大人は、君たちにとって、
 そんなに信用できない人間だったろうか」

作者の本気度はともかく、どんな社会にも
「一応まともな大人」も存在するんだよ・・
というポーズの意味も込めてなのか。
唐突な台詞ではありますが
主人公たちの世代からすれば間違いなく
大人であるはずのPONからしても
嬉しいセリフです。

「人形」を調査(あわよくば自国の軍事力
向上に利用)しようと申しでた軍人に対し、
解析したけりゃ止めないが無駄なことだ
と、ゲーム支配人「コエムシ」は
言い切ります。

「そこのあなた、ここでひとつ問題ですけどね
 原始人にノートパソコンを与えたら
 どうなりますか?
 原始時代に情報技術革命が起こりますか?
 ・・せいぜいカドで殴ると痛いステキな箱
 思うんじゃないですか?
 そういうことですよ」

子供達の「人形」(推定全高500メートル)を
調査する日本国だったが、日本の敵性国家が
偵察やいやがらせを繰り返してきて・・

軍人「こんなことなら、洋上じゃなくて
   ジオフロントで調査すれば良かったね」
子供「なんですか、それ?」
軍人「知らない?首都の地下にある巨大秘密基地のこと」
子供「そんなのあるんですか?」
軍人「いや・・ない・・ごめん忘れてくれ」

ジオフロントという言葉はアニメ作品独自の言葉
ではもちろんないのですが、こういう遊びは
やはり嬉しいですね。
(実はホントに布石なのかもしれんけど)

2巻より、田中美純一等空尉
(40歳代の子持ちウェーブ:女性軍人)
が物語に絡んでくるが、このキャラは
エヴァンゲリオンの「ミサトさん」を
当然意識していると思われる。
ある程度きれいで、母性を持ち
かつまだ女性を捨てていない存在。

前にも書いたけれども、この物語は
庵野監督に途中で投げだされ未完成に
なってしまったがために名作扱いされた
「エヴァンゲリオン」を夢中で見た
いちファンが、俺ならここまで面白く作れる!と
ばかりに焼きなおした物語だな。

ラノベとは、比較的、社会の光が
あたりにくい分野であるが、であるからこそ、
本当に好きなものだけを、人目をはばからず
好きに作品化にできるジャンルなのかもしれない。
だからこそ、「大化けする」作品が
でる可能性が高い。

たかだか「巨大ロボット」の物語を、
ここまで昇華してしまうものかね?と
素直に感心しております。

マジンガーZで済んでいた頃は
無邪気だったなあ。
兜甲児くんはホント幸せ者だ。
(碇シンジ君すら実は幸せ者かもしれない。
 この小説の主人公たちの立場に比べたら・・)



まだ続きます。
(3巻以降、読み終わり次第、書きます)

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2008年02月18日

「ぼくらの alternative 第一巻」

著:大樹連司  
原作・イラスト:鬼頭莫宏
小学館 ガガガ文庫(スゴイ名前w)収蔵
月刊IKKI(存在を聞いたことはあります・・)
連載作品。

先日、当ブログにいつも的確なコメントをいただける
「北斗」氏より、大きな段ボールが送られてきました。
中身は、氏がこれまで読破してきたと思われる
ラノベ本(ライトノベル・・コバルトとか
スニーカーとかそういう本)群と
お茶っ葉と、なぜか「柿ピー」・・何故だ?

NEC_0020.JPG

氏、一流のジョークと拝察しますが、PONが
開封するや嫁さんが柿ピーとお茶を奪って
逃走してしまいまして・・こちらの方はPONの口に
ほとんど入っておりませんw

ラノベ本群の方は、以前から「PON氏ならば
ハマること請け合いだから、ぜひ書店で見つけてくれ」
と勧められていたのですが、どうにも腰の重い
PONに業を煮やしてのことのようです。

たくさんあるラノベ本でしたが、真っ先に目に
入ったのは表題の「ぼくらの alternative」。
以前に北斗氏から「エヴァンゲリオン」の操縦者を
たくさん増やして、もっとダークにした話だよ・・と
聞いていたことを思い出し、最近は読書がご無沙汰
(通勤時間はほとんどブログの草稿作成に
 費やしてます)
でしたので、その友としたのでした。
氏にはこの場を借りまして御礼申し上げます。


・・エヴァンゲリオンとかガンダムってロボット?と
おっしゃる方はこの先読まない方がいいです。

力こそがこの戦いの唯一絶対の正義よ

あらすぢ
 夏休み、南の島の自然学習学校に参加した
少年少女15人。いずこからか現れたある少女に
ゲームを提案される。
 ゲームの内容は、「ロボットを操縦し、地球を襲う
15体の敵を倒して地球を守る」というもの。

日々の生活に飽きてきて、アニメみたいな話を
面白そう、と快諾した彼らだったが、島からの帰路、
「コエムシ」となのる正体不明のキャラと
黒い巨大なロボットが現れ、そのコクピットに
転送される。その前にもうひとつ巨大なロボットが
現れ、戦闘へと突入するが・・・
少年少女たちは、ヒーロー譚にはなりえない
大きな代償を払うことになる。

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で、結論。
激ヤバ。ハマるわこれ。

いや、最初は正直なところ
「絶対無敵ライジンオー」みたいなものかなと。
・・PONも見たことはないが筋は知っている、
学校校舎ごと巨大ロボットに変形してクラスメイト全員で
侵略者と戦う話、とかまあ、そんな類の話だろう、
そんでロボットはエヴァンゲリオンライク
なんじゃないの?と勝手に踏んでいたんですよ。

やっぱり、食わず嫌いはいけません。
あの(どの?)北斗氏がハマる「ラノベ」ですから。
一筋縄ではいきませんでしたよ。ええ。

作者がエヴァンゲリオンブームを思春期に
正面から受け「俺なら「エヴァ」をこう書く」と
思い続けた10年後の回答がコレって感じですか。
陳腐な表現になってしまいますけど、
PONとしては
「エヴァンゲリオン」+「バトルロワイヤル」
でした。

こういうキャラクターがたくさん出てくる話って
PONにはそれぞれのキャラを頭に入れるまでが
一苦労なところがありまして、主人公群は
中学1年生。
「カコ」とか「マコ」とか「ワク」とか通称が
カタカナで次々とでてきて、しかも人物描写を
掘り下げる為に、イマドキらしい中学生を活き活きと
描写してある・・といえば聞こえがいいが、
PONには「中学生日記」にしか思えない
個所もありまして・・誰それが好きだとか、
大人はずるいとか、君らの理屈はいいから、
この世界の構造とか社会背景とか、そういう話を
どんどん進めてくれと読み飛ばした部分も
多少あります。最初は。

ところが読み続けるうちに、一見普通の中学生どもにも
いまの社会にありがちである、とんでもなくダークな
背景をもった子供もいたりして、「中学生日記」とか
馬鹿にしていられなくなった・・。

作者流のテレ隠しといいますか、
これこそ同人誌的香りが多少漂うところも散在してまして。

「コエムシ」と呼ばれる、狂言回しキャラがでてくる。

外見は、宙に浮いている「出来そこないのぬいぐるみ」
正体は不明、今回の戦い(ゲーム)の諸事お膳立てをする。
物質の瞬間テレポートがお手の物。
その彼が、あまり自分を大事にしない周囲に言う。
「あんまりふざけたことをぬかしていると、
 今度は石の中に転送してロストさせますからね!
 復活不可ですよ」
とか(第二巻五章)

この戦い(ゲーム)では、主人公たち中学生に
与えられた巨大ロボット(人形と呼称)を駆使して、
いずこからともなくやってくる同じような
巨大侵略ロボットと戦うわけだが、結局、地球に
与えられた「人形」を解析することなった
軍人がこんなことを言う。

軍人A「空にそびえる・・」
軍人B「・・鉄の城、ですか」
軍人A「男の子の夢、だよなあ―」
(第二巻五章)

さらには・・
「・・君たちの「人形」と敵には共通点が多い。
 たとえば「人形」と敵が、敵対する別々の
 誰かの手でつくられたのであれば、もう少し
 異なってくるはずなんだ。連邦がデュアルカメラと
 ゴーグルだけどジオンはモノアイ
だろう?
 「ガンダム」だって」
(第二巻五章)

こういう、ラノベならではの「お遊び」は
結構スキなんでPONには不快では
ありませんでした。

しかしスゴイな〜と。
こういう作品が「ラノベ」扱い
されてしまうのも不幸な気もしますが
(決して一般的なヒットにはならんでしょう)
かといって、新潮文庫などには、よほど
間違わない限り収蔵されるこたぁないでしょう。
角川ホラー文庫ならばあるいは・・。どちらにしても
秋葉的サブカル素地がないと全部は楽しめない
描写もあるんで、一般人にはやっぱ不向きかと。
ちなみに、アニメ化が先でPONが読んでいるのは
そのノベライズ化であるらしい。こっちを先に
読んでしまうと、逆にアニメには行けないかな。
今更。



今のところのお気に入りは
「一之瀬マリア」
キャラがシュミだとか、そういうんじゃなくて
日米ハーフの子。父親は軍人らしいので、
中学一年とは思えない、博識で理路整然と話す
その姿勢が好きなのだ。
それに彼女が出てくると話が早く展開するしw

また続けようと思います。
(読後、感想が完全に変わってしまう可能性もありw)

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2007年07月05日

「ブレードランナー2」

ブレードランナー2.jpg

<あらすぢ>
デッカードは愕然とした。外星から地球へ
逃亡してきたレプリカントは六人いて、
五人は死んだが、あと一人がまだ生きている。
そのレプリカントをさがしだして処分して
ほしいというのだ
 愛するレイチェルそっくりの女性、
タイレル社の総帥サラ・タイレルの依頼をうけ、
デッカードは逃亡レプリカントを命がけで
捜索しはじめるが…P・K・ディック原作、
R・スコット監督の
映画『ブレードランナー』の待望の続篇。

人が神の領域に勝手に立ち入り
「人」と「人に造られた者」の境が
アヤフヤになればなるほど
「自分」は「ホンモノ」なのか?
「ホンモノ」ってなんだ?
「アイデンティティー」?
「レーゾンデートル」?
(なんか知ってる言葉で
 ソレっぽいものを並べてみた)
「P・K・ディック」から続く
単なる思考の遊びに過ぎなかった
「サイバーパンク」の時代は
すぐそこまできている。
怖いな。

ヒット作品の続編を書くのは
許可さえあれば別に「当人」で
なくても良いという感覚。
メジャーなバンドの「ボーカル」が代わっても
バンドは続いてしまうみたいな。
外国は結構ありがちです。

自分の読書力の無さをさらけ出しますが
翻訳者のおかげで外国小説にしては
比較的読みやすかったけれど
それでもなお言い回しや、
情景描写が判りにくく
素直に物語りに入り込めない箇所も見られた。
これでも良くなった方だとは思う。
この辺の問題を、とことん突き詰めると
「アカデミー出版」の「超訳」シリーズに
なっちゃうから。

作者はこの小説が映画化されたときの
「ビジュアル」を意識して
書いている節が多分に見られる。



「攻殻機動隊」のテーマでもあるけれど
個人的には、この
「生と死」「自己と外部の境界」
「生命を取り扱う上での倫理」

もはや「ヒト」には手に負えない
フィールドである気がします。
(文学的にではなく、
 実世界の医学界やバイオ分野など)
神の領域として、
永遠にアンタッチャブルにしておくのも
生物としての「知恵」ではないでしょうか。
そういう方面の「人類の英知」にも期待したい。

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ネタバレ
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2007年07月02日

「二重螺旋の悪魔」梅原克文

角川ホラー文庫より。
堂々上下2冊の大作。こういうのが
某三色系古本屋の100円コーナーに
上下巻ともそろっているのは珍しい。
大概は上巻だけが100円コーナーにあり
下巻は普通の文庫コーナーで
100円以上することが多いからw

あらすぢ
 遺伝子操作監視委員会に所属する
深尾直樹は、ライフテック社で発生した
事故調査のため、現地に急行した。
直樹はそこで、かつての恋人・梶知美が
実験区画P3に閉じ込められている
ことを知る。だが、すでに現場は
夥しい血で染め上げられた惨劇の
密閉空間に変質していた…。
 事故の真相に見え隠れする
DNA塩基配列・イントロンに秘められた謎。
その封印が解かれるとき、人類は未曾有の
危機を迎える!恐怖とスリルの連続で
読者を魅了する、極限のバイオ・ホラー。

〜(「BOOK」データベースより)

nyujyu1.jpg

題名で非常に損している気がする。
まず本を手に取ることを敬遠する人が居そう。
あらすじだけ読んでいると
「ああ、バイオハザードテイスト小説?」って
感じがしますよね。

そう、途中まではそうだった。
第二の?ヒロインである「博士」が
登場する辺りから、話は大暴走を始めるのだ。
そしてもう、力ワザで強引に最後まで
押し切ったという感じ。
少なくとも、上巻と下巻では
主人公はあらゆる意味でもはや
別人になってますw

しかし読後感はなかなかのもの。
期待?は裏切らないと思う。
文体も読みやすいほうに入るし。
ぶっちゃけて言うと
「ハードボイルド系ホラーモノ」と思いきや
「SFモノ」だったのです。これ。
但し、SF作家と作者に言うと怒るそうで
サイファイ」小説家が正しいらしい。
・・確かに自分の作風を
よく解かってらっしゃるかも。

シンプルな英雄(ヒーロー)譚。
漫画ゲームアンド映画世代にありがちな、
エンターテイメント&
ジェットコースター小説。

予定調和的なので
主人公に全幅の信頼を置きながら
安心して読んでいられる。
(だって主人公だからw)
その点ハリーポッターにも似ているかな。

敵は死んだはずだが実は・・
なんてことが結構繰り返されたり、
主人公も苦悩するけど、苦悩の描写が
単に酒量が多くなる程度というような
上っ面だけの人間描写であること、
作者が本当に書きたい所(趣味部)以外は
サラッとまとめ過ぎだったりと

非常にハリウッド映画的で
どこか軽い感じは否めないのだが
だからこそ本人は「サイファイ小説家」を
自認しているのでしょう。

なんでこんなことになったのか。
小説内では幾多のバイオ学説に基づき
一応は説明を試みているところが
多少もたつく上、最終的には説明を
放棄していたりもするけども。

小説のバックボーンは
「デビルマン(原作)」「ターミネーター」
「バイオハザード」「エイリアン2」で、
わかる方にはおわかりになるかと。

あ、「幻魔大戦」もはいってるか!
そうだな、漫画化するなら石川賢さんだ。
あの人もそういうビジュアル得意だったし
話につまれば、とにかく見びらきドアップw

神(EGOD)が、最終目標にしていた
例のアレなんか、描かせたらほんとに好きそう。

PONスコープでは中の中。
(エンターテイメント小説としての評価。
 ホラーとしては下の上かな)

サブカル好きな作者が
自作品のアニメ化を前提にして
書いたような作品だから
サブカル(アニメとかコミック)との
親和性は400%保証だ。

ただ、そうなるとこの小説は
角川ホラー文庫ではなくなる。
むしろ富士見ファンタジア文庫とか。
朝日ソノラマあたりが
収蔵にふさわしいと思う。

ところでソノラマってなに

・・って書いたら、あら
朝日ソノラマ解散!!



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2006年02月28日

「エイリアン 地球殲滅」

「殲滅」ですよ。「殲滅」。
穏やかじゃないなあ、オイ。
という訳で、読者を完全に選ぶ小説
「エイリアン 地球殲滅」です。

「あらすぢ」要りますか?
要りませんよね。
題名が「あらずぢ」です(苦笑)

やめておけばいいものを
制御できると踏んで、軍事研究のため
密かに地球に持ち込まれていた
エイリアンシステム一式
(マザーエイリアン&卵)を
エイリアンに寄生される事が
人類を救済する唯一の方法と信じる
「カルト宗教」が施設ごと解放してしまう。
あとはエラいこっちゃ!よいよい。
です。

それでも最初のうちは人類も
イガミあっている場合ではないので
それこそ総力で反撃に出ます。
「今日はロスの地下道で奴らの「巣」を発見。
 「駆除」に成功。
 ニューヨークでも「巣」を発見、直ちに駆除」

頼もしい報道が連日なされます。
一口に「駆除」と言ってもその影には
無数の「ドラマ」があり
「リプリー」や「ヒックス」
(あるいは「ハドソン」?)
が居たのでしょう。
しかし、何時だって報道がすべてを
伝えきっているわけもなく
なんといっても「地球上の動物の数」だけ
増殖可能な生物です。

まるでゴキブリの巣退治ですよ?
退治するペースよりも増殖するペースの方が速い。

西部劇なんかで地平線の向こうから
バッファローの大群が
土煙を上げてこちらにやってくる・・
そんなイメージが浮かびますか?
その「バッファロー」が
「エイリアンウォリアー」に
置き換わったと解釈してください。
小説も最終的にはそんな風景。

「エイリアン」というと
「よだれ」と「じめじめジトジト」の
ゴシックホラー的イメージですが
あれは別に彼らがあの環境じゃないと
生きられないとか、そんなんじゃなくて
正直どうでもよろしいのです。

増殖さえ出来れば!(笑)

なんといっても「完全生物」ですから。

PONもブックオフの100円コーナーで
ゲットしたんですけれど。



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